『パナソニックが社運を賭けて軸足を「家電」から「自動車」へ!』でお伝えしたとおり、パナソニックが「テレビ事業からの脱却」を決意。同社の津賀社長が2013年1月初頭にラスベガスで開催されたCES(国際家電見本市)の基調講演で、競争の激しい家電事業の比率を縮小する一方、自動車事業の拡大を宣言しました。
その後、2月8日に同社は車載用ニッケル水素バッテリーを活用したアイドリングストップ車向けの「12V エネルギー回生システム」を発表。
パナソニックはリチウムイオンバッテリーは勿論のこと、特に車載用ニッケル水素バッテリーについては1997年に開発をスタートしており、2004年には量産を開始。長期に渡って高い充放電能力を維持可能な電池特性と、能力を最大限に引き出す制御システムで長年の実績を持っています。
今回の「12V エネルギー回生システム」は従来よりEV、PHV、HV用バッテリーで培った技術をベースに、新たに高温下での充電効率や耐久性を高めたセルを新たに開発したことで、エンジンルームへの設置が可能になるなど、設置自由度の高いシステム設計としているところがポイント。
同社が2月22日までに新聞報道などで明らかにしたところによると、国内外の自動車メーカーへの供給を予定しているようで、既に同社のバッテリー活用を前提に設計段階に入った自動車メーカーもあるとか。
2014年初頭にパナソニックのエネルギー回生システムがアイドリングストップ機能を持つ車両に搭載される見通しとなっているようです。
このように同社は津賀社長の年初宣言のとおり、自動車分野を戦略事業の一つに位置付けており、アイドリングストップ車が売れている国内や欧州に加え、成長が見込めるアジアなどで事業を積極展開して行く模様。
「12V エネルギー回生システム」はワゴンRが「ENE-CHARGE」システムで採用した東芝製リチウムイオン電池システムと考え方自体は同様と推測。
アクセルオフ時やブレーキング時に発生する減速エネルギーで発電した電気をメインバッテリーとは別のサブバッテリーに蓄電。アイドリングストップ時にエアコン、カーオーディオなどの電装品に電力を供給することで、メインバッテリーやオルタネーターの負荷を軽減すると共に、エンジンの再始動頻度を低減させることで燃費向上に貢献するというもの。
HVシステムを持たない小型車や軽自動車が最大の販売ターゲットと思われ、パナソニックはこの「12V エネルギー回生システム」をエンジンルーム内で変圧無しにメインバッテリーと並列接続することで、配線の簡略化、メインバッテリーの寿命延長(約6倍)、従来アイドリングストップシステムの約2倍の燃費改善率が得られるとしています。
ニッケル水素ベースのバッテリーであればリチウムイオンバッテリーのような制御面での気難しさも無く、コスト的にも有利なことから普及に繋がると判断したものと思われます。
今後自動車は地球環境保護の観点で化石燃料からの脱却が急がれるだけに、こうした日本の家電産業が培ってきたエレクトロニクス技術が寄与出来る領域は少なく無い筈。
そうした意味でパナソニックの自動車事業拡大は日本の家電産業復興に向けた一つの指標になるのかもしれません。
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