「欧米に於ける2012年度の日本車販売番付はこうなっている !」の中でも触れましたが、韓国のHYUNDAIと傘下KIAの欧米での躍進が目立ちます。
米国でHYUNDAIグループは2012年に累計126万台(前年比+11.5%)を販売しており、5位のホンダに続いて総合6位に、また欧州販売でも累計77万台(同+11.6%)を販売しており、日本車メーカーを抜いて総合7位に食い込んでいます。
米市場で上位10位内を独占する日本車メーカーと肩を並べるまでになり、目立つ存在になったこともあってか、昨年11月にはEPA(米国環境保護局)からHYUNDAIの「ソナタ」や「エラントラ」など8車種、KIAの小型車「リオ」など5車種、計13車種を対象に燃費の過大表示を取り沙汰される羽目に。
HYUNDAIグループは同社表示の燃費性能を信じて購入したユーザーに対する補償を即座に決定したものの、その後、車両価値低下分の補償を求める集団訴訟が発生。その対応に追われたようですが、今のところ販売に大きな影響は出ていない模様。
同グループの2012年度世界販売は710万台(うちHYUNDAIは441万台)で世界第5位。
HYUNDAIは韓国内で66.7万台(前年比-2.2%)と販売を落としたものの、海外販売では374万台(同+10.8%)と好調で、2013年度の世界販売は466万台(+5.7%)、KIAを含めたグループ全体の販売計画では前年比約4%増の741万台を目標に置いているようです。
一方、日経新聞によると、同グループの販売台数は2010年をピークにそれまでの急激な成長が鈍化。08年の金融危機を契機にウォン安と小型車を武器に世界で急成長して来ましたが、トヨタの米国での巨大リコールを目の当たりにして急拡大に伴う品質への影響を懸念しているといいます。
年明けにチョン・モング会長がグループ社員に「質的な成長で未来の競争力を確保する」と呼び掛けたそうで、労働時間短縮など労働環境改善に伴う生産量の低下を許容、世界生産も800万台以内に抑える模様。 その上で小型車から上級車(SUV含む)へのシフトを進め、トヨタやVWに対抗して行く方針。
HYUNDAIはデザインで日本や欧米のメーカーに対抗。生産性やコスト低減では18種類有ったプラットフォームを6種類に統合、売れ筋の小型車は現地生産に切り替え、上級車は各国とのFTA(自由貿易協定)活用して韓国から輸出するなど、経営効率向上に取り組んでおり、品質向上にも力を入れたことで米国でのインセンティブを前年比で40%削減したとか。
品質で先を行く日本車などの長所を積極的に取り入れると共に失敗事例を含めて研究するなど、したたかな様相を見せており、日本車メーカーも従来以上に注視せざるを得ない存在となりつつあります。
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