日米欧の自動車メーカーが燃料電池を共同開発

水素によって発電する燃料電池を使って電気モーターでタイヤを駆動する燃料電池車は、次世代のゼロ・エミッションビークルとして期待を集めています。

が、燃料電池(FC)や水素貯蔵システムのコストダウンが普及させるためのハードルとなっている状況です。

そこで今回、ダイムラー、フォード、ルノー日産アライアンスが共通の燃料電池システムを共同開発する3社間の合意書に調印しました。

今後は、共通の燃料電池スタックと燃料電池システムを開発するといいます。ただし、搭載する車両についてはオリジナルとなる予定。それぞれのブランドごとに全く異なるデザインで市場投入されるということです。

燃料電池車はその名前の通り電池をエネルギー源とする点では電気自動車の一員ですが、燃料(水素)を充填することで充電よりもエネルギー補給時間を短縮できること、また同程度の重量であれば航続距離が稼げるというのが一般的にいわれるメリット。

ただし水素供給インフラの整備など、普及へは車両本体だけでなく数々の課題があるとも言われています。今回の日米欧メーカーによる共同開発宣言が、そうしたインフラ整備を後押しするということも期待できるところといえましょう。

なお、日産の研究・開発担当バイスプレジデントである山下光彦氏は「燃料電池自動車は、自動車産業がより持続可能な輸送手段に取り組んでいる中で、今日のバッテリー式電気自動車を補完する次のステップとなることは明らかです。私たちは、ゼロ・エミッションのラインアップにバッテリー式の電気自動車以外にFCEVを新たに加えることで、将来的に多くのお客さまのニーズに応えられることを楽しみにしています。」とコメントしています。 

ユーザーの運用において排ガスを出さない電気自動車や、水しか排出しない燃料電池車の普及により、モビリティ由来の環境負荷が大幅に減少されることも期待できそうです。

(山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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