所得税などに対する大型減税策が2012年末に失効するのに加えて歳出の強制削減が重なるいわゆる「財政の崖」の対応に追われる米国ですが、今のところ自動車販売に関しては好調で、2013年度についても引き続き順調に推移するとの見方が支配的なようです。
11月の米自動車販売台数は前年同月比15.0%増の114万台となっており、1月からの累計で見ても1313万台(同+13.9%)と高水準。2012年度は2007年以降、最高水準となる1440万台程度に達すると予測されており、2013年度は1500万台超えが確実視されている模様。
ちなみに米国に於ける2012年度1-11月の乗用車累積販売台数では「ラージ」クラスが前年同期比で‐87.5%と極度に落ち込んでおり、反面「スモール」クラスが+26.3%、「ミッドサイズ」クラスが+19%とそれぞれシェアを伸ばしています。
SUV系でも同様に大型モデルは敬遠(前年同期比:‐10.1%)され、スモールクラスは15.0%増と、明暗がはっきり分かれています。こうした小型車への移行傾向は経済情勢と密接にリンクしているようで、日・米・欧共に同傾向にあるようです。
上表のとおり、日本車の回復基調が鮮明となっており、トヨタ、ホンダ、スバルが前年同期比で20%以上の伸びを示すなど、車名別ランキングでも日本車が上位を独占している状況。
こうした好調ぶりを踏まえて日本車メーカー各社は米国に於ける増産体制を敷き始めており、「カローラとフィットが全面現地生産へ!? 日本からの輸出撤廃か」や「ホンダが次期シビック・アコードの開発を北米拠点へ移管 !」などでご紹介したとおり、ホンダが米国での人気車生産を現地化、2014年には次期「フィット」の生産をメキシコに建設中の専用工場へ全面移管する予定と言います。
トヨタに至っては来年稼動予定のMAZDAのメキシコ新工場に「デミオ」ベースの北米向け小型車を2015年から5万台程度生産委託するなど、各社共に現地生産拡大に向けた準備に余念が有りません。
そうした中、新聞報道などによると日産も2013年後半、米国向けにメキシコで小型車「NOTE」の生産を開始するようです。
こうした動きの背景には日本から米国へ輸出すると2.5%の関税がかかる為、円高の影響を受け難く、関税ゼロで米国に輸出できるメキシコ生産に切り替える狙いが有ると思われます。
加えて中国並みの労働コストという点も利幅の少ない小型車生産にとっては重要な要素に。
ここへ来て、中国に於ける自動車販売が若干回復しつつあるようですが、各社の動きからは米国とASEAN市場にリスクマネジメントの矛先を求めている姿が垣間見えそうです。
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