「スバルは電気でもSUBARU!」清水和夫がMCした「ソルテラ」で初秋の北海道を満喫しながら未来を考えてみた

■清水和夫がBEV「ソルテラ」の進化を見て、未来のスバルに期待することとは?

●改良点はまだまだある。でも、SUBARUの未来が見えてきた!

スバル・ソルテラを北の大地で満喫!
スバル・ソルテラを北の大地で満喫!

CセグメントクロスオーバーSUVのスバル・ソルテラは、トヨタ「bZ4X」と共同開発され、兄弟車として2022年から発売されています。

クリッカーでは、2022年3月19日公開で、国際モータージャーナリスト・清水和夫さんのソルテラ雪上試乗動画を紹介。

スバル・ソルテラのリヤビュー
スバル・ソルテラのリヤビュー

そのソルテラが、2023年5月にソフトウェアアップデートを実施。急速充電の回数や充電速度、メーター表示の充電容量をパーセント表示へ…など、実用性が高められました。

そして!「SUBARU Safety Sense(スバル セイフティセンス)」の機能拡充と、低温環境下における急速充電性能を向上させ10月25日に発表されました。

スバル・ソルテラ改良点はコチラ
スバル・ソルテラ改良点はコチラ

【主な改良点】
■安全性能
・アドバンストドライブ(渋滞時支援)
・レーンチェンジアシスト(LCA)
・フロントクロストラフィックアラート(FCTA)
・後方車両への接近警報
・セカンダリーコリジョンブレーキ(停車中後突対応)
・後方車両接近告知
・周辺車両接近時サポート

ステアリングは上部もマルじゃなくオーバルにしたことで、メーターが見やすくなったのをジャパンモビリティショー2023で確認してきた
ステアリングは上部もマルじゃなくオーバルにしたことで、メーターが見やすくなったのをジャパンモビリティショー2023で確認してきた

■機能装備
・オーバルステアリングホイール
・パドルスイッチでのS-PEDALモード選択機能(AWD車のみ)
・フロントパワーシートの調整範囲拡大
・ナノイーX(ET-HS標準装備)

今回の改良では、SUBARU Safety Senseの機能を拡充。オーバルステアリングホイールを採用することで、メーター視認性を改善しました。

さらに、冷間時のバッテリー暖機性能向上等により、外気温による充電時間のバラツキを低減。低温環境下での電欠ランプ点灯時から80%までの急速充電時間を最大で約30%削減し、実用性を向上させています。

2030年の電動車販売比率を「バッテリーEVのみで50%」を目標に掲げるスバルの中軸を担うであろうソルテラを、北の大地でテストドライブした清水和夫さんはどう感じたのでしょうか? さっそく動画をチェックしてみましょう。

●これからのスバルにとって、重要なブランドになっていくのが「ソルテラ」

静かでトルキー、走りはWRX風味もあり!
静かでトルキー、走りはWRX風味もあり!

私の世代というか経験では、SUBARUといえばレオーネ、レガシィ、インプレッサ、フォレスター。最近はクロストレックとかレヴォーグなど、いろいろなモデルがあります。

しかし今回、このバッテリーEVで『ソルテラ』という名前が出てきましたので、これからの時代のスバルを担う、重要なブランドがこのソルテラだと思います。

今回、ソルテラがかなりアップデートしたので、走りっぷりが変わったんじゃないかなと思うんです。その第一印象をレポートしてみます。

スバル・ソルテラのファーストインプレッションは約1年半前
スバル・ソルテラのファーストインプレッションは約1年半前

前乗ったのがどんなフィーリングだったか…ちょっと忘れちゃったけど(←オイッw)、あの時は…富山から軽井沢の方まで走ったんだけど、乗り心地が初期モデルのサスペンションの硬さみたいなところがあった。ハンドリングはちょっとスバルっぽくてしっかり感があって。

これは前後モーターの4駆。EVなのでもちろん、加速は静かでトルキー。この辺は快適です。

改良すべき点はまだあるけど、でも、イイぞソルテラ!
改良すべき点はまだあるけど、でも、イイぞソルテラ!

だからね、バッテリーEVって本当の競争領域は、乗り心地とか性能じゃないかなと思うんだけど、なかなかそういう考え方っていうのは一般的じゃなくて。とにかくバッテリーEV、EV!って、そういうことをたくさん言うんです。

北海道~♪
北海道~♪

多分ね、重心が低いとか、前後慣性モーメントがないっていうことで、運動性能が飛躍的に上がりますよね。だからそういう意味では、スバルが得意としている走りを、一番磨きやすいプラットフォームなのかも。


●ソルテラは、背の高いポルシェ? しかもWRXの香りもするゾ♪

乗るとちょっと…やっぱり硬いかな?って感じはしなくはない。けど、ただこれは背の高いポルシェに乗ってると思えばいいカモ。マカンとかカイエンの、ポルシェのSUVのGTとかGTSはこんな感じなので。

そういう意味では、ソルテラはSUVのBEVですけど、相当スポーティに作られてるなっていうのが分かりますね。

今、電比が出てますけども1kWhあたり6.5kmぐらい走っています。ま、これは決して悪い数字じゃないと思う。BEVの電比も、もしかしたら改善しているのかも。

ワインディングは本当に面白い!
ワインディングは本当に面白い!

お! ステアリングが結構重めだね。だからやっぱりスバルっぽいなって感じ。軽くフッていくんじゃなくて、ググッ!と重い感じがあるので、この辺はWRXに通じるところがちょっとあるね。

さて、これより高速道路。帯広広尾自動車道・幸福インターです。

ハンドルも重め、ブレーキも重め。この辺は重さを合わせています。でもステアリングはセンターから切るとダイレクト感があって、結構スポーティ。

安全性もさらに向上したスバル・ソルテラ
安全性もさらに向上したスバル・ソルテラ

規制速度が70km/hで設定速度が70km/h。今ACCとLKAS両方使っています。ちょっと車線に近づくと、ステアリングでセンターに戻し、レーンキープが使えます。この状態でクルーズすると…今1kWhあたり6.2km走るから、10kWhで60kmぐらいか。まぁ大きいSUVで空気抵抗も大きいので、これは標準的といえば標準的だね。

走りは前よりしっかり感が出た感じがあって、乗り心地の部分のサスペンションがちょっとドタバタしちゃっていたところもなくなった。でも、ロードノイズはもう少し、気持ち抑えた方がいいかな。

まぁこの辺は、スポンジ入りタイヤ(内側に消音としてスポンジが貼り付けてある)を使えば一発で直るので、対応はそんなに難しくない。

結構、気持ちよく走ってますね、アップデートしたソルテラ。

スバル・ソルテラ
スバル・ソルテラ

2023年4月に、特にこのパワートレーンのところ、充電とかシステムのところのアップデートが行われました。それが『アップデート・フェーズ1』。

今回、ジャパンモビリティショー2023で発表された『アップデート・フェーズ2』では、特に運転支援機能のところ、SUBARU Safety Senseの領域をもっと積極的にアップデートしたモデルが登場しました。

今乗ってるのはアップデート1ですけど、今回の運転支援ADASの領域まで踏み込んだフェーズ2にアップデート。環境面と安全面で、大きな進化を遂げるという風に期待していいと思います。

●峠でも『走りのスバル』本領発揮!

さあワインディングです。おぉ~。サス固めだからこういうコーナリングはいいよね。ウン、こういう走りしたら、やっぱりスバルって面白い。

ひゃっほ~!
ひゃっほ~!

あと2ヵ月もしたらこの辺はマイナス20度くらいで雪になるんでしょうけど。ドライのターマックもEVは走やすいし、4駆は雪道で走りたいよね。ステアリングのセンター締まっているし、こういったところはSUVだけどスポーティ。ちょっと路面が悪いところでサスペンションの硬さが目立つところはありますけど、こういう風に路面がいいところは抜群の操縦性です。

然別湖(しかりべつこ)まで来ました。かなり紅葉が進んでいます。意外にこう狭いところ、ステアリングがクイックだから走りやすいね。本当楽しい。すごくハンドリングがいい。重量を全然感じないし。こう微妙に回生ブレーキで0.15Gくらいの減速度があるから、アクセルオフだけでコーナリングできる。

●北海道の大自然でこそBEVのソルテラ。でも長距離ドライブは計画性をたてろ!

ソルテラに乗ったらスバルの未来が見えた!
ソルテラに乗ったらスバルの未来が見えた!

この雄大な北海道を前にすると、やっぱりどこまでも走っていきたい!っていう気があるので、電気自動車だとどうなんだろう?っていう気がしてるんですけど。

とはいえ、東京をフェリーで出発し、苫小牧で上陸して一路、この上士幌まで来ました。電気自動車だと、ロングドライブではやっぱり計画しないとなかなか難しいところがありますけど、ただ普段乗ると、この静かでトルキーっていうところは、やっぱりちょっと病みつきになりますね。

普段エンジン車乗っていると「やっぱエンジン車いいな♪」って思うんだけど、こういう大自然なところでエンジン車がいると「エンジンうるさい!」っていう話もあるので、BEV車の可能性っていうのは、いろんな価値をこれから作り上げていってくれるかなと思っています。

●2030年のスバルはどうなっている? オレにはちょっと見えたかも!?

スバルが最近かかげているのが、2030年に向けて大きくスバルが生まれ変わる…と言っていいかどうかわかんないけど、たとえばバッテリーEVで言えば、およそ2030年に120万台+αの販売計画を掲げていますが、そのうち約50%をバッテリーEVにしたい。

これはスバルの考え方なんだけど、それにユーザーがついてくるかどうか?っていうのは、これからの車作りの重要なところ。

どれだけ魅力あるBEVが作れるかどうかがポイント
どれだけ魅力あるBEVが作れるかどうかがポイント

魅力あるBEVが作れれば、今までは水平対向、AWDできたスバルですけど、バッテリーEVのAWD、これもこれからのスバルの1つの課題だと思います。

もう1つ同時に、スバルは2030年に市販される車の交通事故死亡ゼロを掲げています。そこに向けて、アイサイトをさらに進化させて、自動運転というか、おそらく高度運転支援のレベル2だと思いますけど、いわゆるADASですね。これがあと4~5年で、もっと進化してリアルワールドにおける事故低減に資するような技術に進化する。結果として2050年、カーボンニュートラルと交通事故死亡ゼロを掲げたのがスバルなので。

実はこの2030年がゴールではなくて、そこから新しいスバルの車作りが始まる。シーズン2なのかシーズン3なのか分かりませんけど、そういった意味での期待感っていうのは大きいですね。

BEVの長距離ドライブは、充電できるところがどこにあるのかのチェックも忘れずに
BEVの長距離ドライブは、充電できるところがどこにあるのかのチェックも忘れずに

今回このソルテラをいろいろなところで乗ってきて思ったのは、まだまだ改良すべき点というのは多々あるんだけど、かなりアップデートし、特に充電や航続距離、メーターの表示とか。ユーザーが「使いやすいね!」っていうような領域に向けて、いろいろなアップデートが行われています。

これはソフトウェアのアップデートですけど、何年かすれば今度、ハードウェアも変えることができれば、まだまだこのEVの進化の幅っていうのは、これからもっと大きいかなと思っています。

そういう意味で、未来が見えた旅だったかなと思いました。


清水和夫さんの自動車人生は、初めての愛車スカイラインGT-R(PGC10)から始まり、スバル・レオーネにラリーの世界へ引きずり込まれ…という経緯があります。なので、SUBARUは清水さんにとって良き相棒のような感じ。だからこそ、未来のスバルの姿が見えるのかと。

スバル・ソルテラ改良版試乗のすべては、動画で!

(試乗:清水 和夫/動画:StartYourEnginesX/アシスト:永光 やすの

スバル・ソルテラの主なスペック
スバル・ソルテラの主なスペック

【SPECIFICATIONS】
車名:SUBARU SOLTERRA ET-HS
全長×全幅×全高:4690×1860×1650 mm
ホイールベース:2850mm
トレッド(前/後):1600/1610mm
車両重量:2030kg
最小回転半径:5.6m
乗車定員:5名
フロントモータ最大出力:80kW/4535-12500rpm
フロントモーター最大トルク:169Nm/0-4535rpm
リアモーター最大出力:80kW/4535-12500rpm
リアモーター最大トルク:169Nm/0-4535rpm
駆動方式:四輪駆動
交流電力量消費率(WLTCモード):148Wh/km
一充電走行距離(WLTCモード):487km
サスペンション形式(前/後):ストラット/ダブルウイッシュボーン
ブレーキ(前/後共):ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(前/後共):235/50R20
車両本体価格(税込):7,150,000円~

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この記事の著者

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、スーパー耐久やGT選手権など国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。
自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。clicccarでは自身のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』でも公開している試乗インプレッションや書下ろしブログなどを執筆。
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