トヨタがF1撤退を表明。8年間におよぶF1活動の幕を下ろす【今日は何の日?11月4日】

■2002年にF1に挑戦し、頂点を極めることなく2009年にピリオド

最終戦となった2009年第17戦のアブダビGP
最終戦となった2009年第17戦のアブダビGP

2009(平成21)年11月4日、トヨタがF1撤退を発表しました。2002年に初参戦して以来8年におよぶF1挑戦に幕を下ろしたのです。

8年間の挑戦で優勝こそありませんでしたが、あと一歩というところまできており、突然の撤退は多くのファンにショックを与えました。


●WRC、ル・マン24時間レースに続いてF1へ挑戦

トヨタのF1への挑戦は、1999年に奥田社長が、F1に参戦するという発表から始まりました。

2002年トヨタデビュー戦、第一戦オーストラリアGPで6位入賞
2002年トヨタデビュー戦、第一戦オーストラリアGPで6位入賞

WRC、ル・マン24時間レースに続いて、世界最高峰のF1に参戦することは、世界NO.1メーカーを目指すトヨタにとっては、メーカーのイメージアップに繋がり、さらにグルーバルな販売促進に直結することが期待されたのです。

パナソニックをスポンサーにつけ、トヨタらしくフルコンストラクター体制とし、マシンはドイツのケルンにあるトヨタ・モータースポーツで開発。そして2001年には、最初のプロトタイプカー“TF101”が完成し、翌年のデビュー戦に向けて最終テストで改良に次ぐ改良が加えられました。

●トヨタのF1挑戦の履歴

2002年に満を持して挑んだ開幕戦のオーストラリアGPは、ミカ・サロが“TF102”をドライブして6位フィニッシュ。初戦は、入賞しポイント獲得という記念すべき1日となりました。

2005年にラルフ・シューマッハが2位となったハンガリーGP
2005年にラルフ・シューマッハが2位となったハンガリーGP

2005年は、ラルフ・シューマッハが加わり、ヤルノ・トゥルーリが、シーズン第2戦のマレーシアGPで2位に入り、チーム初の表彰台を獲得。続くバーレーンGPでも同じく2位、スペインGPでも3位、ラルフ・シューマッハもハンガリーGPで3位に入り、コンストラクターズランキング4位という、優勝も期待できるシーズンでした。

その後もコンストラクターズランキングは、6位(2006年)、6位(2007年)、5位(2008年)、5位(2009年)と善戦しましたが、結局8年間を通して、トヨタのレース最高位は2位(5回)、表彰台13回、入賞87回で、優勝間近と期待されましたが、結局ポディウム頂点に立つことなくF1挑戦を終えたのです。

●ホンダのF1挑戦の履歴

ホンダのF1挑戦の歴史は、トヨタに比べれば遥かに長く、そして輝かしい成績を残しています。

1964年のドイツGPでデビューすると、翌1965年のメキシコGPで早くも優勝。その後、コンストラクターあるいはエンジンサプライヤーとして休止期間を挟みながら長きにわたり参戦を続けています。

1965年にメキシコGPで優勝したRA272
1965年にメキシコGPで優勝したRA272

第1期(1963年~1968年:優勝3回)に続いて、ウィリアムズやマクラーレンとタッグを組んだエンジンサプライヤーとして黄金時代を築いた第2期(1983年~1992年:優勝69回)、エンジンサプライヤーからコンストラクター(2006年~2008年)で挑戦した第3期(2000年~2008年:優勝1回)、エンジンサプライヤーとして復帰した第4期(2015年~2021年:優勝16回)。2021年12月には、マックス・フェルスタッペン選手がアブダビGPで優勝を飾り、ドライバーズチャンピオンを獲得。ホンダとしては、1991年のアイルトン・セナ選手以来30年ぶりの栄光を勝ち取り、これをもってホンダF1第4期の挑戦はいったん幕を下ろしました。

そして今年2023年5月、ホンダは2026年にアストンマーチンにエンジンを供給するエンジンサプライヤーとしてF1復帰を発表し、多くのファンを喜ばせました。


2008年にリーマンショックによって世界的な不況が起こり、経営状況が悪化したことが、トヨタにとってF1撤退の最大の理由と思われます。復帰を期待したいところですが、豊田章男社長は自分が社長をやっている限りF1復帰はないと公言。しかし、今年4月に佐藤恒治社長に交代したので、もしかすると復帰の可能性はあるのでは、と期待してしまいます。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
続きを見る
閉じる