■第1弾は新型軽商用EVの「N-VAN e:」で、純正アクセサリーのサステナブル素材化を目指す
「車の電動化」は、ライフサイクルアセスメントの視点、各国や各地域の電源構成などにより、そのまま脱炭素化に直結しない難しさがあります。政策(政治)なども絡んでいて、電動化は単にカーボンニュートラル社会を目指す意味合いだけではなくなっています。
しかし、バッテリーEV(BEV)やFCEVなどは、ローカルでのほぼゼロエミッション化という利点もあり、駆動用バッテリーの性能向上とコスト削減という課題は依然としてありながらも、スムーズで力強い走りや静粛性など、新しい商品性、商品力を生んでいるのも確かです。
また、自動車業界で急速に加速しているのは、電動化だけでなく各所に使われている素材の見直しです。ホンダアクセスは、ホンダの純正アクセサリーにサステナブルマテリアルを採用し、環境保全への取り組みを強化すると明らかにしました。
ホンダ車の全車種に装着される「フロアカーペットマット」にサステナブル素材が使用され、CO2排出量削減と環境負荷低減を目指す構えです。
第1弾となるのは、2024年春発売予定の新型軽商用EV「N-VAN e:(エヌバン イー)」で、その後も順次適用が拡大される予定です。
日本の自動車メーカーでは、いち早く電動化を宣言したホンダ。2030年までに世界で200万台超のEV、FCEVを生産し、2040年までにEV、FCEVの販売比率を100%にする目標を掲げています。
さらに、2050年までに全製品、企業活動を通じたカーボンニュートラルの実現を目標に掲げ、ライフサイクルで地球資源の消費を可能な限り抑制し、環境負荷ゼロの循環型社会の形成を目指す活動も表明しています。
ホンダグループ企業の一員であるホンダアクセスも、持続可能な企業運営の実現に向けた活動の一環として、純正アクセサリーへのサステナブル素材の採用を発表しました。なお、N-VAN e:は、ホンダ車の廃棄バンパーがリサイクルされた「バンパーリサイクル材」がフロントグリルに採用されます。
第1弾となるN-VAN e:のフロアカーペットマットは、主要素材を従来のポリプロピレンからサステナブル素材であるリサイクルPET素材に置き換え、従来製品に比べて大幅な軽量化も実現したそうです。
この置き換えにより、原材料製造時のCO2排出を削減するとともに、電費や燃費改善、製品輸送時のCO2排出削減への貢献も見込まれます。さらに、フロアカーペットマットとしての使用が終わった後のリサイクル性に配慮されるなど、将来の循環型社会(サーキュラーエコノミー)への対応も見据えた取り組みになっています。
ホンダ全車種でフロアカーペットマットのリサイクルPET素材採用を目指し、適用が随時拡大され、持続可能な社会の実現に貢献する構えです。将来的には2050年までには純正アクセサリー全体でのサステナブル素材使用率100%達成を目指して取り組みを進める予定としています。
(塚田 勝弘)