Mr. ソラン 
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■GTOに続いた39万円安価な弟分のコンパクトクーペ
1971（昭和46）年10月19日、三菱自動車から「ギャランクーペFTO」が発表されました。
前年にデビューしたスペシャリティカー「コルトギャランGTO」の弟分として、コンパクトながらダイナミックなスタイリングを採用した2ドアクーペです。
●三菱自動車の設立とともに登場したコルトギャランGTO
三菱自動車が三菱重工から分離独立して設立された1970年、スポーツモデルのフラッグシップとして、“ヒップアップクーペ”のキャッチコピーとともにコルトギャランGTOがデビューしました。
典型的なロングノーズ・ショートデッキに、シャープなダイナウェッジライン、リアは日本初となるファストバックにキュッと上がったダックテールの個性的なスタイリングを採用。
エンジンは、1.6L直4 SOHCのシングルキャブ仕様と、SU型ツインキャブ仕様の2機種、トップレンジの「GTO・MR」には三菱初の1.6L直4 DOHCにソレックス仕様が用意されました。
GTO・MRは、最高出力125PS/6800rpm・最大トルク14.5kgm/5000rpmを発揮し、最高速度は200km/h超え、0ー400mは16.3秒と、当時のトップレベルの走りを誇りました。MRの車両価格は112.5万円、ちなみに当時の大卒の初任給は3.7万円（現在は約23万円）程度ですから、今なら約700万円もする高価なスポーツモデルでした。
三菱自動車設立に際して、それまでの三菱車のお堅いイメージを一新するという役目を担った車だったのです。
●GTOの弟分としてより若年層をターゲットにしたFTO
ギャランGTOの弟分として翌年の1971年に登場したギャランクーペFTOは、主要なコンポーネントはコルトギャランから引き継いだものが多く、比較的高価なGTOに対して、安価でより若い層をターゲットにしたクーペです。
スタイリングは、ワイド＆ローのダイナミックなファストバックとノッチバックをミックスさせたコンパクトな2ドアクーペ。インテリアとして、4連メーターのインパネや3本スポークステアリング、バケットシートなどでスポーティさが演出されました。
パワートレインは、1.4L直4 OHVのシングルキャブ＆ツインキャブ仕様のエンジンと4速MTの組み合わせ。1973年には、高出力対応に応えて新世代1.6L SOHCエンジンを追加設定し、ホットモデル「1600GSR」の車両価格は73.5万円で、上記のGTO・MRよりも39万円も安価でした。
比較的手頃な価格で入手でき乗り回しに優れていたFTOでしたが、GTOの弟分というイメージが強いためかGTOほどには注目されず、後継車「ランサーセレステ」の登場とともに1975年に生産を終了しました。
●20年経った1990年代前半にGTOとともにFTOも復活
1980年代後半に、バブル景気やパジェロなどのRVブームの成功によって絶好調となった三菱は、1990年に「GTO」、1994年に「FTO」を復活させました。
新型FTOは、曲線基調でワイド＆ローの典型的なクーペスタイルで、プロジェクターランプを組み込んだヘッドライトや楕円グリル、流れるようなサイドエアダム、リアスポイラーなどでスポーティさを演出。パワートレインは、1.8L直4 SOHCエンジンおよび2.0L V6 SOHC 24Vエンジンと、そのMIVEC（可変動弁機構）仕様エンジンにスポーツATが組み合わされました。
新型FTOは順調に滑り出し、その後も堅調な販売を続けますが、1990年代後半に入ると市場はミニバンやSUVの時代となり、一方で不況に陥った三菱は、FTOを車種削減対象にして2000年に生産を終了しました。
兄貴分であるGTOの多くの部品を流用して廉価をはかり、若者たちに向けての実質的なスポーティ走行を強く体現していたFTOですが、脚光を浴びたGTOの印象も強く、現在ほどコストパフォーマンスは語られない時代でもありました。FTOがいまひとつ注目されなかった理由は、そんなところにあるようです。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
（Mr.ソラン）
