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■100%EVモデル「ニンジャe-1」もジャパンプレミア
カワサキモータース(以下、カワサキ)は、2023年10月28日から一般公開される「ジャパンモビリティショー2023(東京ビッグサイト)」で、世界初のストロングハイブリッドバイク「ニンジャ7ハイブリッド(Ninja 7 Hybrid)」と、コンパクトなEVスポーツモデル「ニンジャe-1(Ninja e-1)」を出展することを発表しました。
これら2モデルは、すでに欧州など海外では発表されていますが、日本には初上陸。カーボンニュートラルの実現に向けて、バイクや車の電動化が進むなか、カワサキが手掛ける注目モデルがお披露目されます。
●エンジンと電気モーターを搭載するニンジャ7ハイブリッド
今回展示される新型2機種は、いずれもカワサキ製スポーツモデル「ニンジャ」シリーズの名を冠し、フルカウルのアグレッシブなスタイルを持つ電動化モデルです。
まず、ミドルサイズの車格を持つニンジャ7ハイブリッドは、前述の通りバイクでは世界初のストロングハイブリッドを搭載していることが大きな特徴です(主要メーカーのスクーターを除く量産モーターサイクルとして世界初、2023年10月6日現在。カワサキモータース調べ)。
ちなみに、ストロングハイブリッドとは、エンジンと電気モーターの2つのパワートレインを搭載するシステムのこと。発進時などに電動モーターがエンジンの動力をアシストする「マイルドハイブリッド」と区別する場合によく使われます。
エンジンで走るだけでなく、エンジンと電気モーター両方の動力でも走行可能なことで、パワフルな動力性能を発揮。また、電気モーターのみでも走れることで、高い燃費性能を両立します。4輪車では、トヨタの「プリウス」を代表する多くのハイブリッドモデルに採用されていることでおなじみのシステムですね。
ニンジャ7ハイブリッドでは、451cc・水冷並列2気筒エンジンを搭載。カワサキが「トラクションモーター」と呼ぶ電動モーターとマッチングしています。
また、一般的なバイクが変速操作をシフトペダルで行うのに対し、このモデルでは、6速ボタンシフトミッション機構を採用。つまり、ボタンでシフト操作するってことですね。
そして、これらにより、ニンジャ7ハイブリッドは、エンジン搭載バイクとは一味違う、新しいライディング体験を提供するといいます。
実際に走行する場合、状況などに応じ、ライダーは以下の3つの走行モードを選択ができます。
1:エンジンとモーター、ふたつのパワーユニットのポテンシャルをフルに引き出す「スポーツハイブリッド(SPORT-HYBRID)」
2:トラクションモーターで発進し、EVからHEVへシームレスに移行し高い燃費性能を実現する「エコハイブリッド(ECO-HYBRID)」
3:静粛で低振動、しかもゼロエミッションの低速・近距離用「EV」モード
これらにより、このモデルでは高い環境性能と自在に操れる楽しさを両立。まさに「次世代のモーターサイクル」と呼べる走りを味わえるといいます。
●カワサキ初の電動バイクがニンジャe-1
一方のニンジャe-1は、カワサキ初の100%電気で走るEVスポーツです。欧州A1ライセンス、排気量125cc以下かつ最高出力11kW(15馬力)以下の車両に該当するコンパクトな車体を採用。400ccクラスのロードスポーツモデルをベースにした車体には、軽量なトレリスフレームを装備し、軽快なハンドリングに貢献するといいます。
車体サイズは、全長1980mm×全幅685mm×全高1105mmで、ホイールベース1370mm。シート高は785mmで、足つき性の良いスリムなシートデザインを採用。ハンドル、シート、ステップの位置関係を最適化することで、幅広い体格のライダーに快適なライディングポジションを提供します。
パワートレインには、低速域での力強いレスポンスを持つコンパクトな電動モーターを採用。すでに発表されている欧州仕様車などの場合で、最高出力9kW(12PS)を発揮します。
また、取り外し式のリチウムイオンバッテリーを搭載することで、家庭用コンセントからの充電も可能。一回の充電あたり72kmの走行距離を実現します。
さらに、バッテリーをバイクに搭載したまま充電することも可能(要専用アダプター)。バッテリー1個あたりの充電時間は、フル充電(0%から100%)で約3.7時間、部分的な充電(20%から80%)では約1.6時間となっています。
走行時には、2つの走行モードを設定。
1,通常走行のための「ROADモード」
2,出力を制限することによってバッテリーの消耗を抑制する「ECOモード」
を用意し、ライダーの好みや走行条件に合わせた選択が可能です。
また、短時間の出力向上を可能にする「e-ブースト(e-Boost)」も設定。作動時はスロットルを開けた時の加速がより強くなり、最高速度が向上します。ただし、オーバーヒート防止のため、作動時間は15秒間に制限。e-ブースト解除後は、一定時間の経過で再び使用可能状態となり、条件が整えば走行中、発進時のどちらでも使用することが可能になっています。
さらに、足まわりには、フルサイズの17インチホイールとスリムなタイヤの装備で、電動モデルならではの力強い加速に対応しつつ、軽快で俊敏なハンドリングに貢献。フロントブレーキには大径の径290mmディスク&デュアルピストンキャリパー、リヤブレーキには径220mmのディスク&デュアルピストンキャリパーを装備することで、高い制動力を発揮します。
ほかにも、従来のバイクで燃料タンクとなる部分には、グローブなどの小物を収納することが可能なストレージボックスを配置(容量5L、収納重量3kg)。メーターには、4.3インチのフルデジタルTFTインストゥルメントパネルを採用し、ライディングモードインジケーター、e-ブーストゲージ、バッテリーパック温度計など、EVモデルならではの表示機能を備えます。
ちなみに、カワサキは、このニンジャe-1に加え、欧州や北米などではネイキッドの電動モデル「Z e-1」も発表していますが、今回のジャパンモビリティショー2023では展示のアナウンスはないので、ちょっと残念ですね。
その代わり、開発中のモーターサイクル用水素エンジン(モックアップ)も展示する予定だとか。ガソリンの代わりに水素を燃料とする新世代のパワートレインなども注目です。
(文:平塚直樹)