東武鉄道「スペーシアX」のデビューで魅力度をアップした日光・鬼怒川観光特急

■多彩な座席を設定した豪華列車「スペーシアX」

東武鉄道の新型特急車両N100系「スペーシアX」の営業運転が、2023年7月15日(土)から始まりました。

7月15日から営業運転を開始したN100系「スペーシアX」
7月15日から営業運転を開始したN100系「スペーシアX」

「スペーシアX」は6種類の座席を設定。全座席にコンセントを配置しています。

スタンダードシートはリクライニングシートを2+2列で配置しています
スタンダードシートはリクライニングシートを2+2列で配置しています

基本となるスタンダードシートは、3〜5号車に設置。リクライニングシートを2+2列で配置しています。

浅草〜東武日光・鬼怒川温泉間の料金(以下同)は1920円です。

プレミアムシートは1+2列配置でゆったりとしています
プレミアムシートは1+2列配置でゆったりとしています

2号車に設置されているプレミアムシートは、電動リクライニングシートを1+2列配置。リクライニングが後席に干渉しないバックシェル構造を採用しています。料金は2520円。

ホテルのラウンジを感じさせるコックピットラウンジ
ホテルのラウンジを感じさせるコックピットラウンジ

東武日光・鬼怒川温泉側の1号車は、コックピットラウンジを設置。1人用、2人用、4人用のテーブル席を配置しています。

料金はスタンダードシート料金(人数分)に特別座席料金を加算するシステム。コックピットラウンジの特別座席料金は、1人用200円、2人用400円、4人用800円です。

ボックスシートは2組設置されています
ボックスシートは2組設置されています

5号車に設置されたボックスシートは、2人用セミコンパートメント。座席幅がとても広いので、親子で並んで利用することもできます。スタンダードシート料金(人数分)+特別座席料金400円で利用できます。

コンパートメントは小グループ旅行に最適です
コンパートメントは小グループ旅行に最適です

4人用コンパートメントは、浅草側の6号車に4室設定。大型テーブルを囲むようにコの字型ソファを配置しています。スタンダードシート料金(人数分)+特別座席料金は6040円が必要です。

コックピットスイートは3方向の景色を楽しむことができる贅沢空間
コックピットスイートは3方向の景色を楽しむことができる贅沢空間

6号車の運転室背後には定員7人のコックピットスイートを設定。車体幅をいっぱいに使っていて、左右と運転台越しの景色を楽しめます。スタンダードシート(人数分)+特別座席料金1万2180円で利用することができます。

カフェカウンター「GOEN CAFÉ SPACIA X」ではドリンクやスイーツなどを販売
カフェカウンター「GOEN CAFÉ SPACIA X」ではドリンクやスイーツなどを販売

1号車にはカフェカウンター「GOEN CAFÉ SPACIA X」を設置して、クラフトビールなどのドリンクやスナック、スイーツなどを提供します。

1号車コックピットラウンジの利用客に優先販売し、当面の間2〜6号車の利用客にはオンライン整理券を時間単位で発行します。

「スペーシアX」は浅草〜東武日光・鬼怒川温泉間を月〜水曜日に2往復、木・金・土休日に4往復運行します。

●下り列車
スペーシアX1号 浅草7時50分→東武日光9時39分
スペーシアX3号 浅草9時00分→東武日光10時50分
スペーシアX5号 浅草13時00分→東武日光14時48分
スペーシアX7号 浅草14時00分→鬼怒川温泉16時03分

●上り列車
スペーシアX2号 東武日光10時45分→浅草12時35分
スペーシアX4号 東武日光11時55分→浅草13時45分
スペーシアX6号 東武日光15時43分→浅草17時35分
スペーシアX8号 鬼怒川温泉16時37分→浅草18時45分

※スペーシアX1・2・5・6号は木・金・土休日に運転

現在「スペーシアX」は2編成が稼働していますが、今後2編成を増備して4編成体制となる予定です。

●「スペーシアX」だけじゃない! 魅力的な日光・鬼怒川特急車両

「スペーシアX」は2・4往復の運行となりますので、引き続き100系「スペーシア」が日光・鬼怒川温泉への主力特急車両となります。

日光・鬼怒川特急の主力となる100系「スペーシア」
日光・鬼怒川特急の主力となる100系「スペーシア」

100系「スペーシア」は、1990年にフラッグシップ車両として登場しました。6両編成のうち1〜5号車は、リクライニングシートを2+2列で配置。6号車には、4人用コンパートメントを6室配置しています。

2011〜2012年にリニューアルを実施して、座席のモケットを交換していますが、基本設計はバブル期だったためか、クッションがふかふかしていて座り心地は「スペーシアX」に引けを取りません。

100系「スペーシア」の座席はふかふかで快適
100系「スペーシア」の座席はふかふかで快適
100系「スペーシア」のコンパートメント
100系「スペーシア」のコンパートメント

100系は現在、7編成が在籍していて、浅草〜東武日光間の「けごん」、浅草〜鬼怒川温泉間の「きぬ」のほか、JR直通特急(後述)にも使用されています。

2017年にデビューした500系「リバティ」は浅草〜東武日光間の「リバティけごん」、浅草〜鬼怒川温泉間の「リバティきぬ」のほか、野岩鉄道、会津鉄道に乗り入れて、浅草〜会津田島間を運行する「リバティ会津」で活躍。

また、伊勢崎線のビジネス特急「リバティりょうもう」や、通勤特急「アーバンパークライナー」などマルチに活躍している特急車両です。

500系「リバティ」は野岩鉄道・会津鉄道にも乗り入れています
500系「リバティ」は野岩鉄道・会津鉄道にも乗り入れています

500系は3両編成を基本として、3・6両編成で運転。全車がリクライニングシートを2+2列で配置しています。全座席にコンセントを配置しているのでとても便利です。

500系「リバティ」の座席。「スペーシアX」と同様全座席にコンセントが備わります
500系「リバティ」の座席。「スペーシアX」と同様全座席にコンセントが備わります

2006年からは、JR新宿駅から東武日光・鬼怒川温泉に直通する特急も運行しています。2023年3月のダイヤ改正以降は、新宿〜東武日光間の「スペーシア日光」を1往復、新宿〜鬼怒川温泉間の「きぬがわ」を1往復運行するのが基本で、土・休日には臨時列車を増発することがあります。

「スペーシア」日光には東武100系「スペーシア」「きぬがわ」にはJR東日本253系1000番代を使用しています。

東武100系を使用してJR新宿に乗り入れている「スペーシア日光」
東武100系を使用してJR新宿に乗り入れている「スペーシア日光」
JR東日本253系1000番代を使用した「きぬがわ」
JR東日本253系1000番代を使用した「きぬがわ」

253系1000番代は「成田エクスプレス」用の車両を転用改造した車両です。全車が普通車でリクライニングシートを2+2列で配置しています。

253系1000番代の座席。オール普通車です
253系1000番代の座席。オール普通車です

JR直通特急のメリットは、新宿・池袋から日光・鬼怒川温泉に直通することができることです。

運行開始当初は、かつて日光を巡って乗客の奪い合いをしていた、東武鉄道と国鉄・JR東日本がタッグを組んだことで話題を呼びました。

東武日光駅に並ぶ特急車両。左から100系「スペーシア」、500系「リバティ」、N100系「スペーシアXです」
東武日光駅に並ぶ特急車両。左から100系「スペーシア」、500系「リバティ」、N100系「スペーシアXです」

コロナ禍も明けてインバウンド需要が戻ってきたことで、日光・鬼怒川も賑わいを取り戻してきました。「スペーシアX」の登場で選択肢が増えた日光・鬼怒川観光へ特急車両に注目です。

(ぬまっち)

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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