八丈島でクルマ健康診断プロジェクト始まる!「整備士」人材不足へ日産自動車大学校が何をやる?【Dr.Kプロジェクト】

■日本の基幹産業「自動車産業」の中でも整備士不足は深刻

日本の自動車産業は550万人を超える従事者を創出していると言います(自工会より)。

そんな自動車を安全に走らせるために必ず必要なのが、整備士のお仕事。電気自動車になろうが、場合によっては空を飛ぼうが、機械である以上壊れたり、メンテしたり、確実に必要な人材です。

ところが、そんな整備士が不足しているのをご存知でしょうか? 修理や整備というと、一見地味なイメージなのか、各種産業で人材不足が叫ばれる中にあっても、特に自動車整備士は人手不足、後継者不足なのだそうです。

整備士を育てる日産自動車大学校では「このままじゃいかん!」と立ち上がりました。

クリッカーでもおなじみ、自動車評論家の国沢光宏さんとともに、考えました。整備士というお仕事があるのを知ってもらう、整備士に興味を持ってもらうことから始めよう、ということがまずは重要ではないか。

そこで、モノを点検、修理して大事に使うことの大切さや基本を知ってもらう活動から始めよう、ということにたどり着きました。

南国リゾートのような八丈町役場
南国リゾートのような八丈町役場

そうして、離島で使用される車両は塩害などで厳しい環境にありながら、点検や整備がおろそかな場合が多い、と国沢さんの経験談から、八丈島で使われる車両の点検を学生にやってもらい、その姿勢を通じて整備士という仕事を理解してもらおう、という草の根運動を思いつきます。

実は、八丈島はバスも走っていますが、約7000人の人口よりもクルマの数が多いのでは?と言われるほど、移動は自動車に頼っています。けれど、整備が十分とは言えないクルマも多く見かけるのも事実です。

それに八丈島には移住者が多いそうで、3割くらいは元々住んでいた人ではないそうです。その中には警察官、教員などの公務員や、子育てを自然の中でやりたい、リタイヤして第二の人生を島で過ごしたい、などという人が含まれます。彼らはそれまで乗っていたクルマを島へ持ち込んだりするわけですが、整備工場に知り合いがいないと点検、修理をどこへ持っていって良いのかわかない場合もあるそうです。

そのような状況で、学生による無料点検サービスを実施して、整備が必要な車両、不安な人には町の整備工場を紹介しようというものです。

無料点検会場を予定している八丈町役場の広場
無料点検会場を予定している八丈町役場の広場

点検を行うのは4年制に通う3年次の学生で、すでに2年間の学習、実習によって国家資格2級整備士となっており、初めての実際に使われている他人のクルマに触れる事で、将来、社会へ出たときへの実地訓練ともなるはずです。

すでに、八丈町役場、島内の全整備工場、八丈高校、八丈観光協会などとは話が進んでおり、八丈島の盛り上げにも貢献できるかもしれません。

経営は必要ではありながら、学校は、単に利益追求団体とは違う組織です。日産自動車大学校の取り組みは、自校の生徒数を増やす直接的なプロモーションとは異なります。日本の産業の根幹であり、我々も愛してやまない自動車の産業やファンを将来へ繋ぐため、クリッカーもDr.Kプロジェクトを応援し、その様子をお伝えしていきます。

(小林 和久)

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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