■3連メーターの中央は、あんまり見かけたことのないターボ回転計だった
いきなり個人的な事情を告白しますが、東京オートサロン2022でもっとも期待していたのが新型フェアレディZのお披露目でした。
だって、あのZが新型になるんですよ。気にならないわけがないじゃないですか。
何が凄いかって、エンジンですよ。VR30DDTT…といっても、もしかするとピンと来る人はあまりいないかもしれません。
これは最新のV6ツインターボで排気量は3.0L・最高出力は405ps。そう「スカイライン400R」に搭載していているユニットです。
そんな強心臓がフェアレディZに載っちゃうんですよ。これを楽しみといわず、何を楽しみと言ったらいいか。
しかも、興奮を高めてくれるのがトランスミッション。
スカイライン400Rは7速ATとの組み合わせのみでしたが、新型Zには新開発の9速AT、そして待望のマニュアルトランスミッション(6速)が用意されるのです。
あのドライビングプレジャーに満ちたエンジンをMTで味わえるなんて! 新型Zサイコー!
そんなわけで、東京オートサロンの日産ブースではついつい舐めるように、いや舐めまわすように新型Zを細かくチェックしてみました。
まず思ったのは、外観の印象は従来モデルとは全然違うこと。
「基本骨格は先代からの継承」とか「型式はZ34のまま」とか、いろんなことを言われていて、それは実際にそうなのですが、はっきりいってそんなことどうでもいいです。
だってカッコいいんだから。
ちなみにキャリーオーバーと言われるシャシーも大部分が新設計らしいですよ。
では、ドアを開けてインテリアをチェック。
ドアトリム自体は従来モデルと違いますが、インサイドドアノブとかドア自体は先代から受け継いでいるっぽい。
…ってのはまあ置いといて、室内の雰囲気もちゃんと新型車しています。
なぜなら、インパネやセンターコンソールなど見える部分はほぼ新設計だから。メーターは全面液晶だし、大きなセンターディスプレイもついていますね。
誰ですか? 「センターディスプレイの位置が低くて今どきっぽくない」なんて言っているのは。
そこには理由があって、スポーツ走行時に視界の邪魔をしないようにです。他社ですが「GR86」とか「BRZ」も同じでしょ? スポーツカーはそうなんですよ。
インパネといえば、気になるのが中央の3連メーター。何を示すメーターかというと、右からブースト計、ターボ回転計、そして電圧計ですね(2020年に発表されたプロトタイプもそうでした)。
えっ、ターボ回転計!? あまり聞いたことないメーターですね。
実は、一般的なターボ車ではタービンの回転数を把握していません。過給圧だけでターボの状態をチェックしています。
しかしVR30DDTTエンジンはターボの回転センサーを装着。そのおかげでターボの状態をしっかり細かく正確に把握し、綿密に制御できるのです。
VR30DDTTエンジンの凄いところはレスポンスは鋭いのに、高回転のパンチ力も強いこと。
何を隠そう、タービンは小型でレスポンスを鋭くしつつ、回転センサーで限界ギリギリまで使うことで大型タービンに負けない高回転のパンチ力を生み出しているのです。
…というわけで、新型フェアレディZには普通のターボ車では見かけないターボ回転センサーが付いているのでした。
それにしても欲しいな、このクルマ。
(工藤貴宏)