井出有治のスーパー耐久レース、ドライバーとしての2021ラストレースでシリーズ2位確定!第5戦鈴鹿は予選1位、決勝4位で表彰台乗れず

【※2021年11月11日に文末の動画を追加で掲載しました】(clicccar永光)

■予選トップは、#290にもマクラーレン720S GT3にとっても初の快挙!

●…だったけど、2021 S耐で初めて表彰台を逃す(悔)

Floral Racing with ABSSA
Floral Racing with ABSSAの #290 Floral UEMATSU FG 720S GT3(マクラーレン720S GT3)

三重県にも新型コロナウイルス感染症・緊急事態宣言が発令されていた2021年9月18日(土)~19日(日)、鈴鹿サーキットにて行われた『スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook』第5戦SUZUKA S耐(5h×1レース)。

クリッカーの試乗テストドライバー&元F1レーサーの井出有治さんが参戦している最高峰クラスST-Xは全5台で争われました。

井出さんがDドライバー&アドバイザーを務めるFloral Racing with ABSSAの #290 Floral UEMATSU FG 720S GT3(マクラーレン 720S GT3)は、第1戦もてぎは2位、第2戦SUGOは3位、そして第3戦富士24時間も3位、そして前回、第4戦のオートポリスでは2位でチェッカーを受けたものの、正式結果では初の優勝!と、常に表彰台に上がってきた#290にとって、第5戦の鈴鹿はシリーズ優勝をかけた大切なレース。

井出有治
井出有治さんにとって、この鈴鹿がドライバーとしては2021ラストレース

最終戦の岡山国際(11月13日~14日)は2クラスに分けての3時間レースとなるため、井出選手のドライブは無し。ということで、井出有治さんにとってこの鈴鹿戦は2021年のラストレースとなるのです。ここはぜひ、ポールtoウィンで決めていただきたいところです!

●予選はトップ! が…燃料満タンだと重い、乗り難い(涙)

井出有治さん予選
自分がセットアップした予選ではパフォーマンス良かったのに…

【予選】
18日に行われた予選は、Aドライバー・植松忠雄選手=2分05秒005、Bドライバー・澤圭太選手=2分02秒482と、揃ってトップタイムをたたき出し、A、Bドラのトータルタイムで決められる予選順位は4分07秒487でもちろん、トップ! これは2021年から参戦している#290 Floral UEMATSU FG 720S GT3にとって、またマクラーレン 720S GT3にとっても初の快挙です。

井出有治さん「セットアッパーとして、自分がセッティングした方向性が正しかったことが証明できたので、予選トップは素直に嬉しかったです! ただ…。自分が担当したDドライバー予選で、燃料をたくさん積んだ状態で走るとバランスがとても悪いことが判明。なので、決勝レースではとても厳しい戦いになることは予想していました…」(井出)

S耐Rd.5鈴鹿
#290 Floral UEMATSU FG 720S GT3(マクラーレン720S GT3)にとって初のポールポジションです

【11:30 決勝スタート】
スタートドライバーは澤選手。堂々ポールからスタートするも、2周めには#777 D’station Vantage GT3に、3周めには#31 LEXUS RCF GT3、5周めには#81 DAISHIN GT3 GT-Rに抜かれて4番手に。6周目の#31のドライブスルーペナルティにより3番手へ上がるも、26周めには再び4番手へ。35周め、#290は1回めのピットイン、植松選手へバトンタッチです。

#290 Floral UEMATSU FG 720S GT3
予選ではマシンバランスも良かったけど、決勝になるとガス満タンもあり、厳しい状態に

コースイン後は#777、#81、そして#290がトップ3を成形していきますが、後続の#16 PC Okazaki 911 GT3Rにジリジリ詰められ50周目には4番手へ。66周めに3番手へ上がった後、70周めで井出有治選手へドライバー交代です。

井出有治さん「決勝レースに向けて、いろいろな角度で解析して出た結果は、『タイヤとのマッチング』でした。決してタイヤが悪いとかではなく、今シーズンで一番、路面温度や気温が高い中、ボクらのマシンはミッドシップであったりダウンフォースが大きく寄与しているマシンであったりと、全ての条件が合わさりバランスが悪く、一発タイムだけでなく全くペースを上げられない状況に。
レースでは敢えて攻めずに、簡単にいうと『タイヤを潰さないように走る』でした。これはセッティングでどうにかなる範囲ではないので、とにかくドライバーがドライビングで誤魔化すしか方法はなかったんです」(井出)

●2021年の井出有治選手ラストラン!

#290 Floral UEMATSU FG 720S GT3
実績もある他マシンたちは、さすがに強かった…

【14:10頃 LAP71】
4番手でコースへ出ていく井出選手。前を走る#16とは50秒前後の差です。その後#81のトラブルからのピットインにより3番手へ上がりますが、85周め…#290はピット作業違反によるドライブスルーペナルティを消化します。3番手はキープしつつ、前をいく#16とは1分20秒前後の差、後ろの#31とは2秒、3秒、そして9秒と差を広げていく井出選手。

 #290 Floral UEMATSU FG 720S GT3
ピットスルーペナルティになってしまったけど、チーム一丸となり挑んだS耐Rd.5鈴鹿

#16ピットインにより2番手へ、#777ピットインタイミングで#290はトップ。そして2021年、井出選手のラストランを終え、105周めに川端伸太朗選手へ交代のためピットインしていきます。

井出有治さん「予想通りにコースイン直後から症状を感じたので、とにかくタイヤに合わせたドライビングに徹しました。燃料が軽くなる前にタイヤを壊せば後半にもっと厳しくなると思い、我慢して周回を重ねることに。最後の数周でタイヤを使い切るつもりで少しプッシュしたけど飛んでいきそうになったので、諦めてそのまま川端選手へ繋ぐことにしました」(井出)

【15:30頃 LAP106】
5時間レース、ラスト、井出選手からバトンを渡された『松本恵二、最後の弟子』川端選手。

川端伸太朗選手と井出有治選手
「松本恵二、最後の弟子」川端伸太朗選手は、S-GT GT300でも頑張っています

3番手でコースイン、前を行く#16とは1分30秒ほどの差、後続の#31とは5秒、4秒…コンマ2秒まで追いつかれてきた132周めに抜かれて4番手へ。その後も追い上げは叶わず4位でゴールです。

優勝は#777 D’station Vantage GT3、2位は#16 PC Okazaki 911 GT3R、そして3位には#31 LEXUS RCF GT3という正式結果になりました。

井出有治さん「同クラスのライバルたちがペナルティを受けたこともあり、レーストータルで上位を目指したけれど、ウチもちょっとしたアクシデントでドライブスルーペナルティを受けてしまったことで、万事休す(涙)」(井出)

●残る1戦(岡山)を残し、#290はシリーズ2位が確定!

この第5戦鈴鹿の結果により、ST-Xクラスは#777のシリーズ優勝が確定。そして井出有治さんの乗る#290マクラーレン720 GT-3はシリーズ2位が確定しました。

#290 Floral UEMATSU FG 720S GT3
マクラーレン720S GT3、どの角度から見てもやっぱりカッコイイ♪

2021年、スーパー耐久レースに初参戦したFloral Racing with ABSSAの #290 Floral UEMATSU FG 720S GT3(マクラーレン720S GT3)は、実績データの無い中、マクラーレン・カスタマーレシングからのサポートと、そして第4戦オートポリス戦からはS-GTでも実績のあるグランバレイ社のデータロガーキットを使用し、ドライバー個々のドライビングを解析するなど、レースアナリティクスを活用しシリーズ優勝へ向けて戦ってきました。

井出有治選手
この鈴鹿でドライバーとしては2021年ラストレース。最終戦の岡山はアドバイザーに徹します(井出)

第1戦から第4戦まで常に表彰台に上り、第5戦鈴鹿で初めてポールポジションからのスタートでしたが、初めて表彰台を逃してしまっただけに、シリーズ2位とはいえ…ちょっと、かなり悔しい結果なのではないでしょうか…。

井出有治さんに心情を聞いてみました。

井出有治さん「D’stationチームが優勝して、自分たちが今シーズン初めて表彰台を逃して4位でゴールしたことで、チャンピオンはD’stationチームとなりました。とても残念ではありますが、みんながやり切った結果なので悔いはありません。最終戦は3時間レースなので自分は走りませんが、帯同してチームのサポートに徹します。優秀の美を飾れるように岡山も頑張ります!」(井出)

スーパー耐久レースは、最終戦の岡山国際(11月13日~14日)を残すのみ。シリーズ2位は決まったものの、ラストレースこそポールtoウィンを見せてください!

●#290 Floral UEMATSU FG 720S GT3、鈴鹿戦YouTube動画がコレ!

最後に、井出有治さんがレポーターとして登場する鈴鹿戦の動画が完成しましたので、追加で掲載いたします(2021年11月11日)。

(文:井出 有治永光 やすの/画像:折原 弘之・井出 有治)

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【関連リンク】

井出有治オフィシャルwebサイト
https://www.yuji-ide.com/

Floral Racing channel
https://www.youtube.com/channel/UCQqPHs5ia7ehJ2Pg4udHt7Q

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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