■高額なライダーなどのセンサーがあるため車両保険の加入は必須!?
世界初の自動運転「レベル3」は2017年に予定されていたアウディA8になるはずでしたが、法律が追いつかず、結果的にホンダ・レジェンドの「Honda SENSING Elite」搭載車になりました。
その中の「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)」は、国土交通省から自動運転装置として型式指定を取得した第1号となっています。なぜ、渋滞運転機能なのでしょうか?
ホンダ・レジェンドの「トラフィックジャムパイロット」は、前後に車両がいる状態で30km/h以下で作動し、50km/hを超えると解除され、ドライバーに運転を促します。
これは、国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)において、国際基準が成立したことに準じています。
2020年に策定された乗用車の自動運転装置(高速道路などにおける60km/h以下の渋滞時などにおいて作動する車線維持機能に限定した自動運転システム)では、「ドライバーモニタリングシステムの搭載」「ドライバーがいつでも運転を引き継げる(オーバーライド)こと」「ドライバーにオーバーライドできない場合は車両を停車させること」「サイバーセキュリティ対策」「シミュレーション試験、テストコース試験、公道試験および書面審査」などが盛り込まれています。
さらに、無線通信を使ったメインECUのソフトウェアアップデートも盛り込まれているほか、車外のクルマやオートバイなどに向けて自動運転であることを示すステッカーがリヤに貼付されます。
ホンダも今後、同機能を進化させて安全性が担保されれば、作動条件を60km/h以下まで引き上げる可能性もあるはず。
なお、ホンダ・レジェンドの「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)」もこうした条件を満たし、型式指定を取得しているわけです。なお、ホンダは1000万通りのシミュレーション、テスト車で約130万kmを走行してきたとしています。
また「Honda SENSING Elite」には、自動運転「レベル3」を実現するべく最先端のセンサーが搭載されています。現行レジェンドは、単眼カメラを搭載してデビューしています。一方の「Honda SENSING Elite」はデュアルカメラ化し、前後に5つのライダー(LiDAR)、さらに5つのミリ波レーダー(中・長距離)を搭載。
もちろん、パーキングセンサーなど近距離の障害物検知に使われるソナーも搭載されています。ライダー(LiDAR)スキャナーのコストの高さはやはりネックで、性能を発揮するためバンパー下にカバーを付けずに装着されています。
余談ですがユーザー(リース販売)には、車両保険の加入をオススメしているとのこと。こうしたセンサー類が多重に備えられているのは、万一に故障などに備える安全性・信頼性の理由からで、ブレーキやステアリング、セカンドバッテリーとDC-DCコンバーターも2重系になる冗長性が保たれています。
さらに、ダイナミックマップ基盤による「高精度3次元地図データ(HDマップ)」もレベル3に欠かせません。
高精度3次元地図データと高精度な自車位置精度により車両制御が行われています。自車位置情報は、マルチGNNアンテナがGPSや準天頂衛星(みちびき)などのGNSS(全世界測位システム)から受信。地図ユニットは、通信ユニットを通じて高速道路や自動車専用道の形状、道幅、勾配、道路標識などの情報が記録された3次元の高精度地図、交通情報を受信し、自車360度をセンシングする上記のセンサーによる情報を統合することで、高い自車位置精度を実現しています。
(文:塚田 勝弘/写真:平野 学)