目次
■長期放置では、エンジンオイルとガソリン、バッテリー、タイヤの劣化対策が必要
●劣化を抑えるため、最低でも月に1回、短時間でも走行するのが安心
バイクは冬場には乗る機会が減り、長期間放置することが多いので、常時走行している場合に比べてむしろ各部の腐食や劣化が進みます。3ヶ月以上放置した状態から何もせず再始動すると、不具合や故障の原因になります。
バイクを長期間放置する際の主要部品のメンテナンスについて、解説していきます。
●バイクを長期間放置するとダメージを受けるのは?
バイクは長期間動かさないと様々な部品の腐食や劣化が進み、不具合や故障の原因となります。ここでの長期間とは、おおむね1ヶ月以上ですが、劣化状況は放置する場所や環境条件などによって大きく異なります。特に屋外に放置すると、温度や湿度の変化が大きく、紫外線を受け、また空気中の埃、砂塵等の影響を受けてしまいます。
長期間放置して久しぶりに始動する際の、主要部品であるエンジンとバッテリー、タイヤ、ガソリン、ボディの注意点とメンテナンス法について説明します。
●エンジン
エンジン各部の潤滑オイルは、時間とともに下方に落下するのでピストンライナーや各ジャーナルの摺動部で油膜切れを起こします。オイルがなくなり、空気に触れやすくなると約1ヶ月程度で腐食が進みます。この状態でエンジンを始動させると、摺動部が傷つき摩耗によってエンジンが不調になるリスクが高まってしまいます。
3ヶ月以上放置して再始動する際には、オイルを交換するのが安心です。新しいオイルをエンジン上部のフィラー(補給口)から投入すれば、シリンダーヘッドなどエンジン上部にもオイルが補充されて各摺動部へオイルが補給されます。
●バッテリー
バッテリーは、エンジンを作動させなくても自然放電によって劣化(容量低下)が起こります。これを防ぐため、バッテリーのターミナルは外し、外したバッテリーは温度変化が少ない室内で保管することが大切です。
始動したときに、スターターの回転が弱々しい、あるいは回転できない場合は、バッテリー容量が減っているので充電が必要です。充電しても回復しない場合は、新品バッテリーに交換しなけれいけません。
バッテリー電圧を計測すれば、バッテリーが寿命かどうか分かります。フル充電しても13V近くまで復活しない、あるいは一時的に復活してもすぐに電圧が下がる場合は、寿命になったと判断します。
●タイヤ
タイヤの空気は、走行しなくても少しずつ抜けてきます。また、保管中は、バイクが動かないのでいつもタイヤの同じ部分が接地して周辺のゴムが歪みます。空気圧の低下やゴムの歪みが発生すれば、それだけ表面にひび割れや亀裂が発生しやすくなります。
大型バイクは、メンテナンススタンドを使ってタイヤを浮かせ、紫外線を避けて屋内やバイクカバーで覆うことが大切です。再始動の前には、空気圧が正常か、表面にひび割れなどが発生していないかチェックが必要です。
●ガソリン
ガソリンは、放置すると低沸点成分の蒸発や酸化を起こして劣化します。劣化具合は、温度や湿度などの環境条件に大きく影響されますが、一般的には3ヶ月経過した頃から劣化が始まります。
また、ガソリンが少ない(タンク内に空気が多い)と、外気との温度差でタンク内に発生した水滴がガソリンに混入して、ガソリンの劣化が促進されます。したがって、燃料タンクは満タンにしておく方が、タンク内の空気が少なくなるので劣化が抑えられます。
●ボディ
屋外放置では、紫外線や大気中の埃、砂塵などによってボディ表面が傷みます。バイク全体を覆うバイクカバーが有効です。
動くことで本来の機能を発揮するバイクを長期間放置することは、主要な部品の劣化や腐食を招きます。3ヶ月以上も放置した状態で、突然始動させることは非常に危険です。
その間のメンテナンスは必須ですが、できれば1ヶ月に1回程度は短時間でも走行するのがお薦めです。
(Mr.ソラン)