4代めエクストレイルが持つ2種のメーターをあれこれいじくってみた!【新車リアル試乗 10-5 日産エクストレイル メーター表示編】

■多彩なメーター表示ご紹介

まあ、いろんな情報があるわ、あるわ・・・
まあ、いろんな情報があるわ、あるわ・・・

今回は、いつものライトのお話に移る前に、エクストレイルのメーターについて解説していきます。

●従来型のアナログ式、先進派全面液晶式、あなたはどちらがお好みですか?

4代めエクストレイルが持つメーターは2種類。

ひとつは、最廉価機種S(とS e-4ORCE車)が装備する従来型の指針式アナログメーター。

パワー、バッテリー残量、速度、燃料残量が本当の指針で示され、パワーメーターと速度計の間には7インチのカラー液晶ディスプレイが備わっており、取扱説明書上ではこれを「メータータイプB」と称しています。

ということは「メータータイプA」があるわけで、これはS&S e-4ORCE以外のXとX e-4ORCE、GとG e-4ORCEに与えられる上級版で、全面を12.3インチのカラー液晶表示にしたものです。

携帯電話と違って操作がすべて画面タッチになること、画面を見ながら歩いたり運転したりのヤツが多いことから、どちらかといえばスマートホン嫌いの筆者、何となくスマートホンを連想させるので全面液晶のメーターは好まず、デザイン次第で精緻な印象を抱かせることができるアナログメーターのほうが好みですが、メーターデザインを変えたり、安全デバイスの状態、その他情報を多彩に表示できるのは全面液晶の強みであることは認めざるを得ません。

なお、「画面を見ながら歩いたり運転したりのヤツが多いから」はスマートホンを嫌う理由にはならず、あくまでも使う人間の側の問題で、スマートホンそのものに罪はありません。そのへん、ちゃんと心得ています。

それはともかく、全面液晶のメリットを活かし、エクストレイルの全面液晶メーターは2種類のデザインを持っています。

中央の情報エリアを拡大した「エンハンス表示」。
中央の情報エリアを拡大した「エンハンス表示」。
アナログ表示の「クラシックッ表示」。
アナログ表示の「クラシックッ表示」。

ひとつは、従来のアナログ式をそのままアニメーション化したかのような絵柄で見せる「クラシック表示」。

もうひとつは、パワー計、速度計を、斜めに立てた厚めのディスクのようなアニメーションで示す表示で、こちらは「エンハンス表示」と称しています。

「エンハンス:enhance」は、英和辞書では「(質・価値・地位など)を高める、向上させる、増す」「(コンピューターで)ソフト・ハードの機能を高める」「強化された」の意とありますが、たぶんパワー計、速度計を省スペース化して左右に押しのけ、エクストレイルで「ソフト・ハードの機能」に相当する先進安全デバイスほかの状態表示エリアを優先拡大する考え方であることからの呼称のようです。

●センター部の表示項目

パワーメーターと速度計の間は多彩な表示エリアになっています。

表示項目は次の8グループ。

1.ホーム
2.エコグループ
3.エネルギーモニター
4.ナビゲーション情報
5.オーディオ情報
6.走行支援グループ
7.警告
8.設定

各表示の様子は次のとおり。

ただし、「設定グループ」についてはカスタマイズ編にて解説します。

1.ホーム:ホーム/表示なし

ナビでルート案内をしていればルート案内情報を表示、ほかにオーディオを入れていれば放送局などを表示。ダイヤルを上下させればブランクも(何も表示しない。)。

2.エコグループ:車速、ドライブコンピューター、平均燃費/エコインジケーター/エコペダルガイド、2分間燃費

車速や平均車速を表示。

ドライブコンピューターはドライブ情報1、ドライブ情報2、給油後走行情報の3つをセット。

平均燃費は言葉のとおりで、エコインジケーターはアクセル操作に応じて経済運転状況を3段階で点灯、エコペダルガイドはアクセルペダル踏み加減をバーグラフで表示。

2分間燃費は、最大30分前までの2分ごとの平均燃費を棒グラフで表示する。

3.エネルギーモニター:エネルギーモニター

エンジン、リチウムイオンバッテリー、タイヤ、3者間のエネルギーフローを表示する。

4.ナビゲーション情報:ナビゲーション、マップ表示、コンパス表示

ナビゲーションを目的地設定して走行中、次の右左折までの距離や向きなどを表示する。

マップ表示は、ナビシステムで目的地設定しているとルートガイド画面を表示する。

コンパス表示は、自車の進行方向を表示する。

5.オーディオ情報:オーディオ

現在聴いているオーディオ情報を表示する。

6.走行支援グループ:運転支援、クルーズ、制限速度標識

運転支援は、運転支援システムのON・OFF状態を表示する。

クルーズは、プロパイロットの作動状態を表示する。

制限速度標識は、最後に検知した最高速度標識を表示する。

7.警告:警告が発生しているときのみ表示。通常はブランク

車両の異常を検知すると、マスターウォーニング点灯と同時に、その警告内容を表示する。異常がないときは何も表示されない。

●操作法

アドバンスドドライブアシストディスプレイの操作スイッチ。
アドバンスドドライブアシストディスプレイの操作スイッチ。

操作はハンドル左スポークのスイッチで行い、センターのダイヤル上下で「項目選択」、ダイヤル押しで「決定」、両サイドが「カーソル左右移動」であると同時に、左は「戻る」を兼ねています。

照度調整はこちらで。
照度調整はこちらで。
トリップリセットスイッチは、インパネ右にある。
トリップリセットスイッチは、インパネ右にある。

「戻る」を選択して押すのではなく、きちんとひとつのボタンとして独立させているのは親切ですが、ダイヤル上下で選択するならダイヤルそのものも左右移動可能にしたほうが操作感はいいのではと感じました。

親切なのは、これらスイッチの下に「ショートカットメニュースイッチ」があることで、このボタンを押すことで「よく使用する設定項目画面をすばやく表示することができます。(取扱説明書より)」。

 

CX-60のときだっけ、「全面液晶はデザインで遊んでいたり、情報過多であったりなので好まない」と書きましたが、実際に眺めた印象を述べると、エクストレイルの12.3インチメーターは、情報過多の印象を受けました。

リアル試乗の過去9回で採りあげた車種の全面液晶メーターで1歩も2歩に秀でているのは前々回のCX-60。あちらはアナログ表示イラストがシンプルで見やすいし、文字や目盛りの大きさまでをも調整できる。アダプティブクルーズコントロール(ACC)使用時なら、レーンの行く先のカーブを描くばかりか、隣接車線の車両までをも白い四角で表示。もっとも前回のステップワゴンも負けてはおらず、お隣りレーンのクルマは乗用車、トラック、バイクをリアルなイラストで描くときたもんだ。

エクストレイルのメーターはそこまで凝っていないですが、特段見やすいわけでもない。むしろ中途半端な点が散見され、ブレーキを踏むとエクストレイルのリヤビューイラストではストップランプは点灯しますが、テール、ウインカーの点灯までは表現してくれない。突如として現れる文字や走行モードの表示配列もごちゃついていて、もうちょい整理よくならんものかと感じる・・・自在にレイアウトを変えることができる全面液晶のメリットを活かしきれていないと思うわけです。

パネルの輪郭は自動車用メーターの形はしていても、全面液晶ならパソコンやタブレットと同じなのだから、CX-60のときに提唱した「高速走行モード」も作ったらいいと思います。高速道路を長距離淡々と走るときは車速と燃料残量がわかればひとまずよしとし、他は一切消す。必要ならACC状態を表示。どこかに車両不具合が起きたらその項目の警告を浮かび上がらせる。

ほかに、どうせ凝るなら、1960年代、70年代、80年代風のメーターをモチーフにしたデザイン画面にしてもおもしろいのではないか。

xt5 meter 70 true classic desighn ver.1960's ex.bluebird 510
3代めブルーバード(510型・1967年)のメーター。この時代に多かった横バーメーターを模してみたら?

例えば60年代なら3代めブルーバードの横バーメーターをモチーフにする。この時代では夢のデバイスで、いま実現しているプロパイロット他安全デバイスの表示を当時のデザインで表示したらどうなるかがデザイナーの腕の見せどころ。

70年代ならサニーやスカイライン、セドリック/グロリア、フェアレディZなど、当時の日産看板車種あたりのメーターを再現し、80年代なら80年代時点のグリーンカラーの蛍光管表示のデジタルメーターを・・・現状の「クラシック表示」を「標準モード」と改名し、こちらこそを「クラシック表示」として試してみたらおもしろいのでは?

というヘンな提案をしたところで今回はここまで。

次回は「ライト編」です。

(文:山口尚志 写真:中野幸次(★マーク、フェアレディZメーター写真のみ)/山口尚志/日産自動車/モーターファン・アーカイブ)

【試乗車主要諸元】

■日産エクストレイル G e-4ORCE アクセサリー装着車〔6AA-SNT33型・2022(令和4)年7月型・4WD・ステルスグレー&スーパーブラック2トーン/ブラック内装〕

★メーカーオプション(税込み)
・アダプティブLEDヘッドライトシステム(オートレベライザー付):3万3000円
・クリアビューパッケージ(リヤLEDフォグランプ):2万7500円
・BOSE Premium Sound System(9スピーカー):13万2000円
・ステルスグレー/スーパーブラック 特別塗装色:7万7000円
・ルーフレール+パノラミックガラスルーフ(電動チルト&スライド、電動格納式シェード付):18万1500円

★販社オプション(税込み)
・グリルイルミネーション(インテリジェント アラウンドビューモニター付車用):6万3840円
・日産オリジナルドライブレコーダー(フロント+リヤ):8万6302円
・ウインドウ撥水 12ヶ月(フロントガラス+フロントドアガラス撥水処理):1万1935円
・ラゲッジトレイ:1万7800円
・デュアルカーペット:3万9800円
・滑り防止マット:1980円
・アドベンチャーズパッケージ(リモコンオートバックドア・インテリジェント アラウンドビューモニター付車用):16万3118円(セット内容:フロントアンダーカバー、リヤアンダーカバー、フロントバンパーフィニッシャー(ブラック))
・フードディフレクター:2万9800円

●全長×全幅×全高:4660×1840×1720mm ●ホイールベース:2705mm ●トレッド 前/後:1585/1590mm ●最低地上高:185mm ●車両重量:1880kg ●乗車定員:5名 ●最小回転半径:5.4m ●タイヤサイズ:235/60R18 ●エンジン:KR15DDT型(水冷直列3気筒DOHC) ●総排気量:1497cc ●圧縮比:8.0-14.0 ●最高出力:144ps/2400-4000rpm ●最大トルク:25.5kgm/2400~4000rpm ●燃料供給装置:ニッサンDi ●燃料タンク容量:55L(無鉛レギュラー) ●モーター型式(フロント):BM46 ●種類:交流同期電動機 ●最高出力:204ps/4501-7422rpm ●最大トルク:33.7kgm/0-3505rpm ●動力用電池(個数/容量):リチウムイオン電池(-/-) ●モーター型式(リヤ):MM48 ●種類:交流同期電動機 ●最高出力:136ps/4897-9504rpm ●最大トルク:19.9kgm/0-4897rpm ●動力用電池(個数/容量):リチウムイオン電池(-/-) ●WLTC燃料消費率(総合/市街地モード/郊外モード/高速道路モード):18.3/16.1/19.9/18.4km/L ●JC08燃料消費率:-km/L ●サスペンション 前/後:ストラット式/マルチリンク式 ●ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク ●車両本体価格478万8700円(消費税込み・除くメーカーオプション)