産業用無人ヘリが多様なニーズに応えるチャレンジ【ヤマハ発動機ニュースレター】

■自動航行型の無人ヘリコプター「FAZER R G2」の可能性

ヤマハ発動機は、二輪車や電動アシスト自転車、マリンなどのほか、産業用無人ヘリコプターも手がけています。こうした幅広い事業領域や活動を、広報グループがニュースレターという形で発信しています。

無人ヘリコプターは、人が立ち入ることができない場所で活躍している。噴火を繰り返す霧島新燃岳で、衛星通信飛行による磁場測定に成功。新燃岳全体の磁場構造の把握に貢献
無人ヘリコプターは、人が立ち入ることができない場所で活躍している。噴火を繰り返す霧島新燃岳で、衛星通信飛行による磁場測定に成功。新燃岳全体の磁場構造の把握に貢献

そのニュースレターでも何度も取り上げられているのが、産業用無人ヘリコプターです。

UMS(Unmanned System/無人システム)事業推進部の森本琢也さんは、同社による産業用無人ヘリコプターの取り組みを報告しています。

「年を追うごとに、私たちのもとに寄せられる相談ごとの領域が拡大しています。ニーズの質も高くなっていて、積み上げてきた技術と創意工夫、弊社らしいチャレンジ精神で、各種課題の解決に貢献していきたいと考えています」と、自動航行型の無人ヘリコプター「FAZER R G2(フェーザー・アール ジーツー)」の前で話す森本琢也さん。

「それまでできなかったことを、技術でできるようにする。それがこの仕事の喜び」と森本さん
「それまでできなかったことを、技術でできるようにする。それがこの仕事の喜び」と森本さん

同氏は、長時間飛行や重量物の搭載などの無人ヘリならではの利点を活かし、多様な課題の解決に向き合うエンジニア。

「ヤマハ発動機の無人マルチソリューションの特徴は、人が近づくことができなかったり、手が届かなかったりする領域に、空からアプローチして任務や業務を遂行することです。従来できなかったことをできるようにすることに、やりがいや達成感を感じます。空が好き、モノづくりが好きな自分にとっては、大きな喜びでもあります」と続けます。

UMSの事業推進部には、様々な相談が持ち込まれるそうです。

森本さんたちは、汎用性の高い機体「FAZER R G2」をはじめ、適切な通信方法(衛星通信など)や機材、装備(高精細カメラや計測装置、搬送用パレットなど)を組み合わせることで、その困難な要望に応えているそうです。

無人ヘリコプターということで、人が近づけない領域での任務、業務があります。たとえば、噴火した火山の観測や、地滑り等を起こした被災地の調査などが挙げられます。

人の手が届かない業務には、航空会社と連携された離島間の物流、電力会社の依頼による山中への建設資材の運搬や送電線の点検などの実績があるそうです。

離島と首都圏を結ぶJALによる貨物輸送実験。産業用無人ヘリと陸送、JAL定期便を連携させ、長崎県の離島から都内のレストランに鮮魚を運んでいる
離島と首都圏を結ぶJALによる貨物輸送実験。産業用無人ヘリと陸送、JAL定期便を連携させ、長崎県の離島から都内のレストランに鮮魚を運んでいる

森本さんは、「観測、調査、計測、防災、そして運搬など、多岐にわたる要望に対し、相談をいただいてからシステムやツールを開発していたのでは、期待に応えることはできません。
そのため、目視外航行や遠隔地での情報共有、先進の通信技術、多彩な搭載方式など、どのようなニーズにも応えられるような準備が必要です。ニーズ予測型の開発が欠かせません。
言い換えれば、未来の引き出しづくりといえます。豊富な引き出しの中から、必要な技術をいくつも取り出し、組み合わせることで、最適な解決策を提案していきたいと思います」と説明。

優れた性能と機能、高い汎用性を持つ「FAZER R G2」は、顕在化していない課題の解決に向けて大きな可能性を秘めています。

「活躍の舞台を拡げていくこと、そしてポテンシャルを使い切って、この製品の機能を限界まで拡張していくことが大切です。想像力を広げながらチャレンジしていきたい」と、無人ヘリコプターによる挑戦は今後も続いていきます。

(塚田 勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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