■水素社会のモビリティとして電車もジャパンモビリティショー2023に展示
10月26日から11月5日まで東京ビッグサイトで開催しているジャパンモビリティショー2023。
ホームページではTokyo Future Tourのイメージイラストに実物の電車が描かれていて、その姿がJR東日本の燃料電池ハイブリッドの試作車FV-E991系HYBARI(ひばり)にそっくりだったので、「HYBARIが展示されるのでは?」と噂になっていましたが、本当にHYBARIの実車が展示されています。
HYBARIは、HYdrogen-HYBrid Advanced Rail vehicle Innovation(変革を起こす水素燃料と主回路用蓄電池ハイブリッドの先進鉄道車両)に由来しています。
燃料電池ハイブリッド車は燃料電池装置で、水素と空気を化学反応させて発電した電力と、蓄電池に充電した電力を掛け合わせて走る電車です。HYBARIは発電の際に二酸化炭素を排出しないゼロ・エミッションを目指して開発された試験用車両で、2022年から鶴見線で実証実験を行っています。
ジャパンモビリティショー2023の会場に展示されたのは、水素タンクと燃料電池装置を搭載した2号車Tzc’車FV-E990-1。展示に備え、HYBARIは神奈川県の総合車両製作所に運ばれた後、2号車をトレーラーに載せて陸送。東京ビッグサイトに搬入されました。
FV-E990-1の屋根上には水素貯蔵ユニットを4ユニット搭載。1ユニットは圧力70Mpa、容量51Lの水素タンクを5本で構成しています。水素タンクの製造についてはトヨタの知見も活かされています。
燃料電池装置は日立製作所が製造。床下に出力60kWの燃料電池を4台搭載しています。
なお、HYBARIは本来2両編成です。会場で展示されていない1号車のFV-E991-1は蓄電池と制御装置、モーターを搭載した動力車となっています。
2両編成の展示ではなくなった代わりに、普段見ることができない連結部分を見ることができるので、これはこれでアリだと思います。
鉄道車両がジャパンモビリティショー2023に展示されるというのは、画期的な出来事です。自動車や二輪車だけではなく、鉄道車両も立派なモビリティです。
東京モータショーからジャパンモビリティショーに名称を変えたことの意義がここにあると言えるでしょう。
JR東日本もジャパンモビリティショーのコンセプトに賛同してHYBARIを展示することになったようです。
ジャパンモビリティショーは11月5日まで開催。HYBARIは12月から鶴見線での実証実験を再開するそうです。営業用車両ではないのでなかなか見るのが難しいHYBARIですが、この機会にじっくりと観察してみてはいかがでしょう。
(ぬまっち)