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■SAやPAが決められた間隔にあるの知ってた?
高速道路とトイレは切り離せない関係です。高速道路を走行中に尿意を感じたものの、まだ大丈夫と思って直近のパーキングエリアを通過してしまったのが運命の分かれ道。
次のパーキングエリアが近づくも、車線変更のタイミングを逃して入れず。すぐに次があると自分に言い聞かせて先へ進むも、次のパーキングエリアがなかなかありません。
ようやくたどり着いたサービスエリアは駐車場の空きがなく、おまけにトイレには長い行列が。最初のパーキングエリアで用を足しておけばと後悔しても時すでに遅し。
このように高速道路では、ちょっとした油断が大惨事(!?)につながることもあります。
トイレや休憩、給油など、高速道路を利用するうえで欠かせないパーキングエリア(PA)やサービスエリア(SA)は、おおよそ決まった間隔で設置されていると聞いたことがありますが、実際はどのような基準で設置してあるのでしょうか。
●利用者の便に配慮してPAは約15km、SAは約50km間隔で設置
まずはサービスエリアとパーキングエリアの違いを知っておきましょう。
国土交通省の資料によると、駐車場やトイレの他、食堂や給油所が備わる施設が「サービスエリア(SA)」、駐車場とトイレに加え、必要に応じて売店などが備わる施設を「パーキングエリア(PA)」と呼びます。
とはいえPAとSAの明確な区別はなく、実際は設備が充実したPAもあれば、最低限の設備しか備わらない簡素なSAもあります。
全国には2023年時点で852ヵ所ものPAとSAが設置されており、PAが約15km間隔、SAは約50km間隔を目安として設置されています。
ただし設置間隔はあくまで目安であり、PAは最大25km、SAでは最大100kmの間隔まで許容されているため、必ずしもPAやSAが等間隔で設置されているわけではないのですね。
そうであっても、100km/hで走行すれば10〜15分ごとにひとつのPAを通過する計算になるため、高速道路を利用するうえでトイレと休憩に関して不便を感じることは少ないでしょう。
NEXCO中日本によれば、SAやPAの設置間隔は、利用者の立ち寄り状況や道路環境などを考慮して、高速道路を快適に使用できる距離感を意識して決定されているとのことです。
しかし全国に目を向ければ、設置間隔が不十分といえる区間も少なからず存在しています。
●一部区間は例外あり! 魔の空白区間に注意
PAやSAの設置には施設の立地環境も影響するため、路線によっては利用者から不便の声が上がっても容易にPAやSAを新設することができません。
茨城県内の圏央道には、76kmに渡ってSAはもちろん、PAすら備わらない区間が存在するなど、PAおよびSAの間隔が25km以上離れている区間が2023年現在全国に100ヵ所以上存在しており、2016年時点ではガソリンスタンド間の距離が100km以上離れている区間も77ヵ所存在していました。
前述の圏央道は、現在新たに坂東パーキングエリアの設置工事が進められており、2024年の供用開始が予定されています。
しかし、空白区間へのSAやPAの設置要望を聞き入れて着工しても、供用できるまでには年単位の長い時間を要します。さらにSAやPAの新設は、用地確保や設置コストの問題が挙がるほか、利用客が少なければ管理費用だけが膨れ上がるため、安直に数を増やすことは難しいのが実情です。
現在、この全国に点在するPAやSAの空白区間問題を解消するために、各地ではインターチェンジからの一時退出を認める社会実験が行われています。
この試みは、ETC2.0搭載車を対象として、インターチェンジを出ても2時間以内であれば、利用料金はそのままで高速道路を一時退出し、最寄りの道の駅やガソリンスタンドで休憩や給油ができるというものです。
この方法なら、コストを最小限に抑えながら高速道路環境を充実させられます。国土交通省によれば、2016年時点で存在していた150km以上のガソリンスタンド空白区間16ヵ所に関しては、インターチェンジの一時退出で解消できたとのことです。
●PAやSAが等間隔に設置されていても油断は禁物
日本の高速道路は、道路自体の利便性や高速道路料金の高さに関しては問題の声が上がっているものの、休憩施設の数や質に関しては世界に類を見ないほどきめ細やかなサービスを提供してくれています。
しかし、土地勘がないと空白区間を見落としやすいうえ、行楽シーズンともなると場所によっては渋滞や駐車マス不足、トイレ待ちなど不測の事態が発生しがちです。そのため尿意や眠気、ガス欠や電欠の不安を感じたら先延ばしをせず、直近のPAやSAに立ち寄ることをおすすめします。
特に、長距離移動時は、尿意や眠気を感じずとも2時間走行したら15分以上の休憩をはさみたいところです。風圧で疲労が蓄積しやすい二輪車は、1時間に1回の休憩を取ることが安心で安全。休憩の際は、軽いストレッチと深呼吸が疲労回復と眠気解消に効果的です。
ただし、眠気覚ましに効果的なコーヒーや緑茶、エナジードリンクなどのカフェイン飲料は、利尿作用もあるため判断が難しいところ。また、各地のSAでは様々な名産が食べられるものの、満腹は運転中の眠気を誘発します。
高速道路の事故防止には、PAやSAでの休憩方法や飲食への気配りなど、自己管理も大切といえそうです。
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