進化したトヨタ「GRカローラ」はどう変わった? 清水和夫が試乗「ステアリング系はもっとシャキッとさせなきゃダメ!」

■また出た特別仕様「GRカローラ」、今度は525万円/限定550台!

●改良版でいろいろ進化。残念なお知らせは購入申込はすでに終了していること…

今度のGRカローラは550台限定
今度のGRカローラは550台限定

2022年12月に抽選申込受付が開始され、500台限定で発売された「GRカローラ」が再び進化し、今度は550台/525万円で発売されました。抽選申込を受け付けていたのは8月。2023年10月現在は、すでに…購入申込受付は終わっています。

さて、改良されたGRカローラはどうだ?
さて、改良されたGRカローラはどうだ?

2022年版と同じGRカローラでは追加販売する意味は無し。ってことで、一部改良で進化したGRカローラに国際モータージャーナリスト・清水和夫さんが首都高で試乗した動画をご紹介です。

スーパー耐久レースなど、モータースポーツ現場での学びを生かし、シャシー部品を締結するボルトの一部に締結剛性向上ボルトを採用、フロントバンパーダクト形状を改善することで、ホイールハウス内の空気の流れを最適化。ステアリング操作に対する応答性と直進安定性、操縦安定性の向上を図った…という、進化したGRカローラを、清水和夫さんはどう評価したでしょうか?

●旧バージョンのGRカローラ当選・購入済みの方は買い替えたほうがいい?

清水和夫×GRカローラ
清水和夫×GRカローラ

GRカローラの一部改良モデルが登場しました。『この間、新車が出たばっかなのにまた出たの? ちょっと早いんじゃないの?』みたいな感じ。最初の限定500台のお客さんから見てどう思うのか…?

直列3気筒DOHC+ターボは変わらず
直列3気筒DOHC+ターボは変わらず

私の知り合いのアカデミアのとある先生も、GRカローラが当たったので買うかどうか悩んでたんだけど、私がSNSで「絶対買え!」みたいなことを言っちゃった手前、「またアップデートしたんですか?」って。

そして、この一部改良のGRカローラ。最近はソフトウェアのアップデートっていうのが流行ですけど、GRカローラはなんとハードウェアのアップデート。

ということで、どのくらい進化したのか、これから乗っていきたいと思います。

●旧GRカローラも、ちょっとのDIYで新バージョンにアップデートできそう

GRカローラのリヤビュー
GRカローラのリヤビュー

2023年8月23日に発表された、この一部改良モデルのGRカローラは、限定550台。先に出たGRカローラ500台があっという間に売れてしまったので、車両を追加するわけです。

空力パーツも改良
空力パーツも改良

でも、同じものを作ってもしょうがない、ちょっとでもよくできれば改良したい!ってことで、フロントのサブフレームとパワーステアリングのギアボックスを繋げるボルトを頑丈なものにした。あと、リアサスも同じですね。一部空力パーツも追加されている。

大体、数点の部品を購入するだけで、旧GRカローラオーナーは失望することなく、この新しいバージョンにアップデートできます。それはユーザーにとって嬉しいですよね。車買い替えなきゃいけないような大幅な改良だったら大変だけど。

●まだまだ改良の余地あり! 特にステアリング系

GRカローラのコクピット
GRカローラのコクピット

絶対評価で見ると、最近、アルファ ロメオ・トナーレとかが出てきて、当たり前のようにイタリアの車はステアリング系がシャキッとしてますからね。だから、GRカローラで一部改良でなにかやったとしても、絶対値で言えば、ヨーロッパのミニとかアルファ ロメオ、ルノーなどの車に比べると、日本はまだまだ、このステアリング系が弱い。

それは、パワステの部品メーカーの話じゃなくて、ウ~ン、やっぱり基本的なフロントのサスとかジオメトリーとか、その辺の剛性が効いてるかなと思いますけど。

まぁでもね、GRカローラは『できることは全部やった』という風に言ってましたから、それは非常に喜ばしいかなと思います。

締結ボルト類を強化
締結ボルト類を強化
締結ボルト類を強化
締結ボルト類を強化

今回、バネとかダンパー、ボディ剛性、エンジン、トランスミッションは一切変更がなくて、フロントとリアのボルトを頑丈のものに変えて、一部空力パーツ、あとアルミテープ。

アルミテープは買ってきて貼ればいいので、日曜大工(DIY)でできる話です。器用な人だったらディーラーで部品だけ買ってきて、自分で下潜って交換できるかなっていうような改良。これは非常に面白い取り組みではありますね。

●運次第で買える新GRカローラは上質感もあり!

清水和夫×GRカローラ
清水和夫×GRカローラ

絶対評価で言うと、1年くらい前に乗ったGRカローラ、これはサーキット試乗だったんだけど、そんなに大きな違いはあるとは思えない。新旧で乗り比べてみたら、まぁ確かに違いはあるんでしょうけどね。これからGRカローラを買う人、欲しい人は、この改良版550台抽選に当たんないといけないんだけど。

あと、シアンメタリック(ブルー系)っていう限定色のボディカラーが550台中50台。綺麗なブルーなので、それに人気が殺到するかなと思います。

ウ~ン、ステアリングのシャッキリ感がもっと欲しい
ウ~ン、ステアリングのシャッキリ感がもっと欲しい

絶対評価で見て、GRヤリスよりもリヤサスがしっとりしてるので、車全体が上質な感じ。Bセグメントベースで作ったヤリスとは違って、カローラはC-HRとかプリウスなどと同じCセグメントですからね。

マニュアルは楽しい♪
マニュアルは楽しい♪

でも、もっとこのステアリングはセンターフィールをしっかりと中央に寄せて、シャキッと詰めないとダメ。ハンドルの手ごたえがまだちょっと軽いっていうか。GRカローラのイメージからしたら、ここはもっと骨太にしてもいいんじゃないかな。

まぁ、でもこういうホットハッチのマニュアルって久しぶりだけど、やっぱり楽しいね♪


新GRカローラの申し込み受け付けはすでに終了…。中古で出てくるのを待つしかない!? が、旧GRカローラ・オーナーの方も、ちょっとのパーツ交換で新GRカローラを味わうことも可能そうですね。清水さんの言うステアリング系の更なる進化は、次期GRカローラへ期待!でしょうか。

(試乗:清水 和夫/動画:StartYourEnginesX/アシスト:永光 やすの

GRカローラの主なスペック
GRカローラの主なスペック

【SPECIFICATIONS】
車名:GR COROLLA RZ
全長×全幅×全高:4410×1850×1480mm
ホイールベース:2640mm
トレッド(前/後):1590/1620mm
車両重量:1470kg
乗車定員:5名
最小回転半径:5.5m
エンジン型式/種類:G16E-GTS/直列3気筒DOHC+ターボ
内径×行程:87.5×89.7mm
総排気量:1618cc
エンジン最高出力:224kW(304ps)/6500rpm
エンジン最大トルク:370Nm(37.7kgm)/3000-5550rpm
燃料タンク容量:50L
ミッション:6速MT
燃料消費率(WLTCモード):12.4km/L
サスペンション形式(前/後):マクファーソンストラット/ダブルウイッシュボーン
ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(前/後共):235/40R18
車両本体価格(税込):5,250,000円

【関連記事】

  • 日本未発売レクサス版ヤリスクロス「LBX」を清水和夫が特別試乗。バッテリーの違いが走りを変えた
    https://clicccar.com/2023/10/12/1320052/
  • 日本では売らないレクサス「TX350」「TX500h」プロトタイプを清水和夫が初乗りで鬼攻め!「重厚感もあり、新センチュリーのレクサス版か!?」
    https://clicccar.com/2023/10/16/1320091/
  • 清水和夫はレクサス「LM500h」(プロトタイプ)のどこに座る?「ショーファーだけど運転したい!と思わせるドライバーズカーだわ」
    https://clicccar.com/2023/10/17/1320720/
  • 2024年日本導入予定のレクサス本格クロカン系「GX550」と水素燃料バギー「ROVコンセプト」に清水和夫が試乗。「ガッツリ走れて楽しいよ」
    https://clicccar.com/2023/10/19/1321509/
  • トヨタ「GRカローラRZ」の四駆システムGR- FOURが確実に進化!と、清水和夫もウキウキ♪
    https://clicccar.com/2022/12/14/1244103/

この記事の著者

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、スーパー耐久やGT選手権など国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。
自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。clicccarでは自身のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』でも公開している試乗インプレッションや書下ろしブログなどを執筆。
続きを見る
閉じる