意外と似てる? トヨタ「クラウン スポーツ」を「フェラーリ・プロサングエ」「ランボルギーニ・ウルス」「アストンマーティンDBX」と比べてみた【クルマはデザインだ!】

■スーパーSUVスタイルで世界市場に打って出る!「クラウン スポーツ」

ようやく正式発表されたクラウン・スポーツ。最新のスーパーSUVスタイルを武器に世界市場へ挑戦する
ようやく正式発表されたクラウン・スポーツ。最新のスーパーSUVスタイルを武器に世界市場へ挑戦する

2023年10月16日にようやく正式発表された、トヨタのクラウン スポーツ。シリーズ第2弾であり、従来にはないタイプということで期待は膨らむ一方ですが、よく見ると「これ、あの車に似てる?」と思えるところがソコかしこに…。

ということで、今回はクラウン スポーツのデザインに影響を与えたかもしれない?3台をピックアップしてみましょう。


●最新の技術を使った新時代のフロントフェイス「フェラーリ・プロサングエ」

フェラーリ史上初の4ドア4シーターを持つプロサングエ。観音開きのドアを使い無用な拡大化を避けた凝縮感のあるスタイル(写真は海外仕様)
フェラーリ史上初の4ドア4シーターを持つプロサングエ。観音開きのドアを使い無用な拡大化を避けた凝縮感のあるスタイル(写真は海外仕様)

クラウン スポーツを見て、たぶん多くのユーザーが最初に思い浮かべたのがフェラーリのプロサングエじゃないでしょうか。昨年日本に上陸した同車は、フェラーリ史上初の4ドア4シーターとして「ついにフェラーリまでSUVに手を出したのか!」とファンをヤキモキさせたばかりです。

フェラーリ・プロサングエ
フェラーリ・プロサングエ

イメージが重なるのは他でもない、いわゆるハンマーヘッドタイプのフロントフェイスなんです。ただ、LEDランプの小型化が進んで、フロント部の横一文字表現が可能になった今、ランプ部に視覚的なボリューム感を持たせるため、この形になるのはもう必然かと。

プロサングエではもうひとつ、サイドシルからリアフェンダーの大きな張り出しにかけての造形もソックリなところ。短いリアオーバーハングによるプロポーション自体はかなり違うのですが、リアタイヤに重心を置く表現がよく似ているのです。

●スーパーSUVというジャンルの水先案内人「ランボルギーニ・ウルス」

スーパーSUVの名を全身で表すランボルギーニ・ウルス。エッジの効いたシャープさと前進感に溢れる肢体が特徴だ
スーパーSUVの名を全身で表現するランボルギーニ・ウルス。エッジの効いたシャープさと前進感に溢れる肢体が特徴だ(写真は海外仕様)

2台目はランボルギーニ・ウルス。世界初の「スーパーSUV」を名乗って2018年に登場した同車は、グループ内のアウディQ7やフォルクス・ワーゲン・トゥアレグとプラットホームを共有、5mを越える堂々としたボディを持っています。

ランボルギーニ・ウルス
ランボルギーニ・ウルス

同ブランドらしくエッジを効かせたボディは、ナナメに駆け上がったキャラクターラインも手伝って力強く前傾したシルエットが特徴。ウラカンなど、他モデルのエッセンスを十分以上に持ち合わせたSUVのスーパーカーそのものです。

攻撃的とも言えるウルスのボディですけど、それでもクラウン・スポーツを見たときにこの車を想起してしまうのは、軽快なリアエンドのスーパーSUVスタイルそれ自体のため。横一文字のテールランプなど細部の共通点もありますが、この新ジャンル感の印象が大きいんです。

●スタイリッシュSUVの中に見える共通性「アストンマーティンDBX」

DBシリーズの一員として、あくまでも美しさと贅沢さを忘れないボディ。弓なりのキャラクターラインが優雅さを生み出している(写真は海外仕様)
アストンマーティンDBX707。DBシリーズの一員として、あくまでも美しさと贅沢さを忘れないボディ。弓なりのキャラクターラインが優雅さを生み出している(写真は海外仕様)

3台目は、昨2022年に追加されたハイパワーバージョンが話題沸騰中のアストンマーティンDBX。同車はブランド初となるSUVですが、DBシリーズの一員として伝統的なフロントグリルを踏襲するなど、独自の美しさや贅沢さをしっかり追求している点がキモです。

アストンマーティンDBX707
アストンマーティンDBX707

例えば、リアに向けて緩やかに下がる特徴的なキャラクターラインにより、一般的なSUVよりもスリムで流麗なスタイルを生み出しています。この滑らかな面構成と、美しいガラスエリアを持つキャビン形状が、クラウン スポーツのプロポーションとイメージを共にしているんです。


さて、今回は「クラウン スポーツにソックリかも?」な3台をピックアップしましたが、一方でまったく似ていないのが価格帯です。ウルスやDBXはベースモデルでも2000万円台後半だし、プロサングエに至っては5000万円近い。500万円台からのクラウン スポーツとは、文字通り桁が違うのです。

ただ、そこがクラウン スポーツの独自性でもあります。最新のスーパーSUVスタイルを持ちつつ、極めてリーズナブルで、しかも居住性など高い実用性や低燃費性能までも併せ持っているこのニッポンの高級車が、世界市場でどのように評価されるのか、今から実に楽しみなのです。

(すぎもと たかよし)

この記事の著者

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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