楽ナビ25周年展に行ったら懐かしいリモコンと箱型スピーカーに感動した

■カーナビのパイオニアが「カロッツェリア楽ナビ」で目指したのは楽に使いやすいこと

●パイオニアが自動車メーカーと同時期に世界初の市販GPSを誕生させた

カーナビといえばパイオニア・カロッツェリアを思い浮かべる人は多いでしょう。ボクもそうです。

それもそのハズ、GPSを使った日本最初の市販ナビを登場させたのがパイオニアで1990年6月のことでした。自動車メーカー純正カーナビではマツダ・コスモがその2ヶ月前に市販したのが最初ですので、ほぼ同時期でした。

まあ、当時自動車メーカーのカーナビといえば、最上級グレードにのみ付属で設定され価格設定がなかったり、メーカーオプションでも50万円とか100万円近い価格設定で、しかも当然新車を買える人にしか手にすることはできなかったわけです。

世界初の市販GPSカーナビ「パイオニアAVIC-1」
世界初の市販GPSカーナビ「パイオニアAVIC-1」

ところが、パイオニア最初のカーナビ「AVIC-1」は、価格こそ当初は必要ユニットを揃えると50万円超にはなったものの、持っている車に取り付けられ、その大きなGPSアンテナが後付のGPSが付いてるんだという自慢、アピールになったものでした。

その後、価格は30万円を切るようになり、20万円前後というのがなんとなくカーナビの相場感でしたね。

そして1997年、カロッツェリアはカーナビの最先端を走るべく、高性能・高機能をウリにした初代サイバーナビ「AVIC-D909」(ただし、商品名はボイスコントロールDVDカーコンピューター)を登場させます。それまで地図データはCD-ROMに収録されており、全国を表示

初代サイバーナビのカロッツェリア「AVIC-D909」
初代サイバーナビのカロッツェリア「AVIC-D909」

させたければ3枚、さらに都心の細街路まで含めると更に1枚、計4枚のCD-ROMが音楽CDの他にダッシュボードにスタンバイさせていなければならず、遠出をすると、途中でCD-ROMの入れ替え作業なるものが発生したのでした。

しかし、サイバーナビは世界初のDVD採用カーナビで、地図データは1枚のDVDに納められCD-ROMの入れ替えが不要となりました。当時、「いや〜、こんな日が訪れるのは夢のようだ」と感じましたね。

ただし、D909はナビユニットのみで23万円(以下同)、モニターとしての液晶TVパックが17万8000円でしたので、取付金具や工賃など含むと40万円に届いてしまう商品でした。

●20万円を切って1998年に楽ナビ登場

楽ナビ1998
楽ナビ1998

そして、前置きが長くなりましたが、25年前の1998年、最初の楽ナビ「AVIC-500」が登場します。

散々パイオニアはカーナビのまさに先駆者として、ハイスペック、ハイレベル、高性能、究極を目指して頑張ってきたのに楽ナビだって? 楽だとか操作しやすいとか、ハイテク機械求めてる人に必要ないでしょ〜! それになにその気の抜けたネーミング。それにせっかくDVD出したのに、またCD-ROMモデル出しちゃって、企画倒れなんじゃないの???とボクは思ったものです。

しかし、登場時の価格は188,000円。5.6型TVモニターも込みです。

そして、ボクの予想は見事に外れて楽ナビはヒット商品となり(ただ、なんとなくの記憶では大ヒットとなったのはDVD楽ナビとなった2000年からだった気がします)、現在まで続いております。最新機種はオンライン化でWi-Fiとしても機能します。DVDもそうでしたが、常にサイバーナビに採用され、少し経ってから楽ナビに降りてくる、というパターンで開発が進んできました。ちょうど、レクサスとトヨタのような関係でしょうか。

●ニコタマ蔦屋で楽ナビ25th展やってます

歴代楽ナビを展示
歴代楽ナビを展示

そんな楽ナビの25周年を記念したイベントに行ってまいりました。場所は二子玉川いわゆるニコタマの蔦屋家電です。

楽ナビ25thラッピングの日産サクラ
楽ナビ25thラッピングの日産サクラ

といってもおしゃれな本屋さんの一角という雰囲気で、家電量販店とはまったく違います。

歴代モデルも並んでますが、残念ながら通電はできないそうです。一部はフリマアプリのメ●カ■で買い揃えた機種もあるとかないとか。

なので、モニターを見ても懐かしいとはあまり思えませんが、リモコンには歴史を感じます。とにかくわかりやすくて使いやすいが楽ナビのコンセプト。操作の基本となるリモコンは、手を変え品を変えた歴史を辿って行けます。

初代楽ナビ(1998)
初代楽ナビ(1998)

初代モデルのリモコンは、まだカッコ付け感が抜けきれず、自動車のスイッチ感をイメージさせますね。

楽ナビ(2001)のリモコン
楽ナビ(2001)のリモコン

ボクが印象強かったのは2001年モデルのころかなぁ。リモコンの「お出かけ」ボタン。コンパクトカーか軽自動車のような横のシルエットがボタン形状になっています。

自動車のパーツで汎用性を考えると、ボディ形状を特定しないというのが定番。スポーツカーのユーザーに受け入れられないじゃん!って言われそうですよね。発話ボタンにもゆるキャラの横顔みたいなイラストがファニーです。だけど、その思い切りが良かったのでしょうか。2000年前半から楽ナビはグイグイ売上を伸ばしていったのです。

●楽ナビ以外の注目アイテム「アウトドア」と「ボックススピーカー」

会場には、もちろん最新の楽ナビの他に、最新のサイバーナビ、発売間もないスピーカー類なども展示されています。

その中でもボクが個人的に注目してほしいのが2つあります。

アドベンチャーシリーズの展示
アドベンチャーシリーズの展示

ひとつが アウトドアをイメージしたというアドベンチャーシリーズ。オフベージュのカラーリングに統一された同シリーズは、キャンプ道具と見間違いそうです。アースカラーの車にもとても似合うんじゃないでしょうか。今回、製品を使うに当たっては必要ない、購入時のパッケージの箱まで新デザインとしたこだわりようにも目を惹かれました。

ボックス型スピーカーシリーズ
ボックス型スピーカーシリーズ

そして、80年代からの車好きだったら絶対知っているボックス型スピーカー。大ヒットとなったTS-X9やTS-X11、憧れましたね。いま、ボクはいま何も調べずに品番を書くことができました。それくらい印象に残ってます。とにかくアレを、リヤトレイに置きたかったのです。自分じゃ殆ど見えないのに、後続車に見せつけたかったんですね〜。付けてるとモテると信じて疑わなかった、いや、付けてないからモテないんだと自分に言い聞かせてました。

TS-X170とTS-X210では背面ロゴのサイズが違うこだわり
TS-X170とTS-X210では背面ロゴのサイズが違うこだわり

そんなボックス型スピーカーをパイオニアは作り続けてくれてて、新製品を出してくれたのです。2種類もラインアップしてます。お手軽なTS-X170と、アッパーな「TS-X210」です。肝心の後ろ姿に注目して下さい。carrozzeriaのロゴのサイズが違います。X170はちょっとヤンチャにロゴが大きく、X210は落ち着いた雰囲気で小さめです。

この部分、ぜひ光らせてほしい!と開発者にお願いしたら、車好きのオジサンたちには100%言われます。だそうです。

ジムニーシエラのデモカーを展示
ジムニーシエラのデモカーを展示

その他にもジムニー・シエラ、日産SAKURAのデモカーも展示してありますので、この週末は二子玉川の蔦屋家電へ。月曜祝日はやってませんのでお間違いなく。

■「楽ナビ」25周年記念イベント概要

●日時:2023年10月5日(木)~8日(日)10:00~20:00 ※ 7日(土)、8日(日)は18:00まで
●会場:二子玉川 蔦屋家電
●入場料:無料
●出展内容
「楽ナビ」ストーリー:初期モデルからの機能の進化や使いやすさを追求したインターフェースの変遷など、「楽ナビ」シリーズが歩んできた歴史を振り返ります。ヒストリーボードに加え、初代楽ナビや、その後の代表モデルの実機も展示されます。
「オンライン対応の最新モデル」:今年3月に発売されたオンライン対応の最新モデルを展示。壁面パネルでいち押しの便利機能なども紹介されます。また、実際に楽ナビを搭載したデモカー(日産 サクラ、スズキ ジムニー)で機能やサウンドも体験できます。

【関連リンク】

「楽ナビ」25周年スペシャルサイト
https://jpn.pioneer/ja/carrozzeria/brand_event/brand/rakunavi25th

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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