ダイハツ「テリオスキッド」デビュー。コンパクト・オフロード車テリオスの弟分の軽オフロード車【今日は何の日?10月6日】

■人気のジムニーとパジェロミニに対抗し、ダイハツが放ったテリオスキッド

1998年にデビューしたテリオスキッドカスタムは年々マイナーチェンジを進め、エアロダウンモデルも登場(弊社刊「ニューモデル速報 統括シリーズ 2000年 軽自動車のすべて」より)
1998年にデビューしたテリオスキッドは年々マイナーチェンジを進め、エアロダウンモデルも登場(弊社刊「ニューモデル速報 統括シリーズ 2000年 軽自動車のすべて」より)

1998(平成10)年10月6日、ダイハツのコンパクト・オフロード車「テリオス」の軽自動車バージョンとして、「テリオスキッド」がデビューしました。

当時人気を獲得していたスズキ「ジムニー」と三菱自動車「パジェロミニ」に対抗するために、ダイハツが放った軽オフロード車でした。


●テリオスは、コンパクトながらユーティリティに優れたオフロード車

テリオスキッドがデビューする前年に、それまでダイハツのオフロード車「ラガー」や「ロッキー」の後継車として登場したのが、コンパクト・オフロードのテリオスです。

1997年にデビューしたテリオス
1997年にデビューしたテリオス

多くのコンパクト・オフロード車が3ドアだったのに対して、5ドアのテリオスは使いやすくユーティリティ性に優れているのが特徴でした。パワートレインは、1.3L直4 SOHCと5MTおよび4ATの組み合わせ。4WDシステムは、本格的なメカニカルセンターデフ付きのフルタイム4WDを採用して、優れた悪路走破性を発揮しました。

決してヒットモデルではありませんでしたが、コンパクトで使い勝手の良いオフロード車として、堅調な販売を記録しました。

●14年のロングセラーも1代限りで生産を終えたテリオスキッド

テリオスデビューの翌1998年、軽自動車の規格変更に対応してテリオスを縮小した、まさに弟分的な軽オフロード車のテリオスキッドがデビューしました。

ボディは、モノコックにラダーフレームを組み合わせた“ビルトインラダーフレーム式”を採用。オフロード車らしく、大型タイヤを履いて最低地上高175mmを確保、ロングホイールベースの5ドアによって、テリオス同様に悪路走破性とユーティリティの両立が特徴です。

パワートレインは、660cc直3 SOHCインタークーラー付きターボエンジンと、5MTおよび4ATの組み合わせ。駆動方式は、テリオスと同じメカニカルセンターデフ付きのフルタイム4WDとFRが用意されました。

2002年にデビューした2代目パジェロミニ
2002年にデビューした2代目パジェロミニ

ベースモデル119.5万円(5MT)/129.5万円(4AT)の車両価格で、クロスオーバーSUV的な要素を持って差別化を図ったテリオスキッドでしたが、2012年に1代限りで生産を終了。ジムニーとパジェロミニの2強を脅かすには至りませんでしたが、14年もの長きに渡り一定の人気を獲得したロングセラーとなりました。

ちなみに当時の大卒の初任給は、19.6万円(現在は約23万円)程度でした。

●ジムニーの魅力は、テリオスキッドよりも高いオフロード性能

軽のオフロード車として、テトリスキッドと同年の2012年に、パジェロの弟分として人気を博していたパジェロミニも生産を終えました。結果として、現在はジムニーの独壇場が続いています。

1998年にデビューした3代目ジムニー
1998年にデビューした3代目ジムニー

3つのモデルを比較すると、エンジンはいずれもターボエンジンで性能に大差はありません。ボディ構造は、強度に優れる“ラダーフレーム”のジムニーに対して、テリオスキッドとパジェロミニは“ビルトインラダーフレーム式”を採用。さらにジムニーが悪路走行で威力を発揮する前後リジッドアクスルに対して、テリオスキッドとパジェロミニはフロントがストラット式の独立懸架です。

以上のように、ジムニーは本格的なオフロード性能に徹していることが分かります。これが、オフロードを楽しむユーザーにとっては、大きな魅力となっているものと思われます。


テリオスキッドは、ハイトワゴンのような利便性の高い軽自動車が主流となった中では、実力ほど評価されませんでした。ジムニーのように本格的なオフローダーの道に進んだ方がひょっとすると良かったかもしれませんね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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