ホンダ新型バッテリーEV「PROLOGUE(プロローグ)」は航続距離約482km。シングルモーターとデュアルモーター仕様を設定

■急速充電は150kW以上の高出力充電にも対応し、充電はコンボ規格とテスラによるNACSも対応へ

アメリカン・ホンダモーターは、2024年年初に発売が予定されている「PROLOGUE(プロローグ)」を現地時間の2023年9月28日に発表しました。同モデルは、北米で販売される新型バッテリーEV(BEV)。なお、2022年秋に内外装の写真が公開済みで、「ジャパンモビリティショー2023」にも出展される予定になっています。

ホンダ・プロローグのエクステリア
ホンダ・プロローグのエクステリア

ホンダは、ソニーと「ソニー・ホンダモビリティ」を立ち上げ、新型ブランド「AFEELA(アフィーラ)」のもと、2025年に量産EVをリリースするとアナウンス済みです。

米国では、それ以前からゼネラルモーターズ(GM)とタッグを組んでいて、新型プロローグは、「Ultium(アルティウム)」バッテリーが搭載されたGMとの共同開発モデルになります。なお、ホンダは、2040年までにEV、FCEVの販売比率をグローバルで100%とする目標を掲げています。

プロローグのラゲッジスペース
プロローグのラゲッジスペース

バッテリーを含めた電動パワートレーンは、走行性能と航続距離の両立が掲げられています。フロントとリヤにプロローグのために最適化されたマルチリンク式サスペンションが採用されています。ホンダが誇るダイナミクス技術によるスポーティな走りを実現しているとのこと。さらに、シングルモーター(FWD)とデュアルモーター(AWD)の両仕様が設定され、多様なユーザーニーズに応えています。

中でも最高出力約288hp・最大トルク約333lb.-ft.を発生するデュアルモーター仕様は、よりパワフルな加速と意のままの走りをもたらすそうです。また、航続距離は85kWhのバッテリーにより、EPA(米国環境保護庁)が定める基準で300マイル(約482km)以上が掲げられています。DC急速充電では、150kW以上の高出力充電にも対応し、約10分で航続距離65マイル(約104km)相当の充電も可能になります。

ホンダ・プロローグのリヤビュー
ホンダ・プロローグのリヤビュー

外観は、写真を見る限り、最近のホンダらしいスリークで、スマートに映ります。コンセプトは、「Neo-Rugged(ネオ・ラギッド)」で、シンプルで洗練されたデザインでありながらも逞しさを抱かせるアウトドアスタイルが追求されています。

ワイド&ローの流麗なシルエットも特徴で、最上級グレードには、21インチの大型ホイールが備わり、スタイリッシュなムードの中にもSUVらしい力強さを強調。

ホンダ・プロローグのインテリア
ホンダ・プロローグのインテリア

水平基調でシンプルなデザインをベースに、上質な素材が採用されたという内装も目を惹きます。インターフェースには、質感の高い11インチのデジタルメーターパネル、直感的に操作できる11.3インチのタッチスクリーンを採用。最上級グレードには、7×3インチのヘッドアップディスプレイが備わり、運転中でも視線移動を減らしながら、運転支援などのさまざまな情報を確認することが可能。

ホンダ・プロローグのリヤシート
ホンダ・プロローグのリヤシート

コネクティビティでは、車内でのシームレスなデジタルサービスを目指し、アコードと同様に、車載向けコネクテッドサービス「Google built-in(グーグル ビルトイン)」が標準装備されます。「Googleアシスタント」「Googleマップ」「Google Play」などが車内で使用可能です。ソフトウェアは、「OTA(Over the Air)」により一部機能や性能のアップデートができ、常に最新化されたサービスを享受できます。

予防安全性能、衝突安全性能も高い性能が追求されています。先進安全運転支援システムの「Honda SENSING(ホンダ センシング)」が標準装備され、米国の安全性能評価試験で米国道路安全保険協会(IIHS:Insurance Institute for Highway Safety)の最高評価である「トップセーフティーピック+」、米国高速道路交通安全局(NHTSA:National Highway Traffic Safety Administration)の最高評価である5つ星の獲得を目標に開発されています。

ホンダ・プロローグの走行シーン
ホンダ・プロローグの走行シーン

なお、ホンダは、北米で信頼性の高い充電インフラの整備を目的に、自動車メーカー7社(アメリカン・ホンダモーター、BMWグループ、ゼネラルモーターズ、ヒョンデ、キア、メルセデス・ベンツグループ、ステランティスN.V.)でEV用高出力充電網を構築する合弁会社の設立に合意済みです。

また2025年からは、北米で販売するEVの充電ポートに北米充電規格(North American Charging Standard以下、NACS)が採用されることも、「NACS」を展開するテスラと合意してます(NACSは元々、テスラが整備してきたスーパーチャージャー)。

プロローグは、ホンダEVの序章として成功なるかにも注目
プロローグは、ホンダEVの序章として成功なるかにも注目

プロローグは、いわゆるコンボ規格であるCCS(Combined Charging System)用充電ポートが採用されていますが、2025年以降は、充電アダプターを使うことでNACSにも対応できるよう開発を進めています。ホンダは、EV投入の拡大とともに、こうした柔軟な姿勢で、充電環境の整備にも取り組むことで、EVの普及を加速する構えです。

(塚田 勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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