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■これ、自分の愛車にも欲しい!と思える装備はどれだ?
トヨタ・ノア、ホンダ・ステップワゴン、日産セレナという宿敵ともいえる国産ミニバンの代表選手3台。それぞれの走りやデザインを、3人のレビュアーが徹底比較しクロスレビューする今回の特別企画ですが、走り編に続く第3回では「ついているとすごく嬉しい装備」に注目してみました。
ベテラン自動車ジャーナリスト、実力派レーサー、車に一家言あり!なモデル女子という個性バラバラな3人は、各車のどんなポイントに惹きつけられたのでしょうか。
●トヨタ・ノアの嬉しい装備
・工藤貴弘「“開かないスライドドア”は革新的」
その1:ロングスライド
7人乗りモデルでは、3列目を使わないときに2列目をぐっと後ろへスライドして足元ゆったり。こういうのはミニバンならではですよね。3列目を使わなくてもミニバンを買おうかな、っていう気分にさせてくれます。
その2:開かないスライドドア
メーカーオプションで用意している「安心乗降アシスト」は、革新的な装備。レーダーで後方の状況を把握し、車両や自転車が近づいていると判断すると、内側から電動スライドドアが開かない仕組みになっているのです。車から降りる際の事故を防ぐというわけですね。こういう先進装備は大歓迎です。
その3:ハンズオフ
渋滞は本当にイヤ。そんな気分をかなり軽減してくれるのが、メーカーオプションで装着できるハンズオフ機能。高速道路渋滞時の上限速度40km/h以下に限られますが、ハンドル操作をサポートしてくれ、手放し運転を実現するのです(もちろん車速もアクセルを踏むことなく自動調整)。気分はもう自動運転ですね。
ちなみに、この機能をより高度化して上限速度を高めたものが、セレナの「ルキシオン」に組み込まれる「プロパイロット2.0」です。
・井出有治「ユーザーファーストな設計に脱帽!」
その1:ボディ側面にあるリヤゲート開閉ボタン
ノアはなんといっても、サイド部分にリヤゲートを開閉するボタンがあるのが使い勝手の部分でいいですね。足で開けるっていう機能があるミニバンも多いですけど、まぁそれはそれ。ココにスイッチがあるかないかで、長く乗っていく中では大分使い勝手は違ってくると思いますよ。
その2:3列目シートの収まり具合
3列目シートの畳み具合は、さすがトヨタの技あり!って感じ。左右跳ね上げ式だけど、上げた先に収納の逃げがあり、そこの窪みにスッポリと収まってくれるんですよ。この逃げ部分、設計時点であ~だこ~だ、意見が出されたんじゃないかな?って想像。
畳めばいいだけで終わらず、畳んだ後の荷室スペースも考え、逃げを作ってそこに収める。ユーザーファーストな設計、恐れ入ります!
・久保まい「幅広い年齢層へ寄り添う安心・安全な装備が◎」
その1:ドリンクホルダーの多さ
飲み物だけでなく、車のカギを置いたり小物入れとしても代用できるドリンクホルダー。冷たい飲みもの、温かいもの…置き場所がない…なんてことがたまにあるので、数は多いほうが嬉しいです。置ける場所を増やそうとして外付けタイプにすると、ぶつかってしまったり、乗り降りの際にあたって取れてしまったりなどがあるので、初めから数多く装備されているのは良かったです。
その2:ユニバーサルステップ
少しの段差でも子どもや高齢の方には危険が伴うことがあるかもしれません。ファミリー層に人気の高いミニバンだからこそ、幅広い年齢層に寄り添い、誰もが安全に、というホスピタリティの高い装備があることは安心できていいなと思います。
その3:バックドアの使い勝手
バックドアは車の後方の「横」にスイッチがあり、後ろが狭い場合でも開けられるし、途中停止が出来たり。便利だし安心ですね。
●ホンダ・ステップワゴンの嬉しい装備
・工藤貴弘「まるで最初から無かったかのように格納できる3列目」
その1:3列目格納
ステップワゴンの3列目格納方法は、ライバルとは全く違う仕掛けで床下格納。畳んだ3列目は、まるで最初から無かったかのように消えてしまうので、日常的に3列目を畳んでおくというユーザーと相性がいいでしょう。
その2:オットマン+ロングスライド
セレナにはない超ロングスライド機能。オットマンやシートヒーターもついています。実はどちらも、ノア&ヴォクシーにも設定があります…が、超ロングスライド時の1列目との間隔は、ステップワゴンのほうが広いのはちょっとした自慢。僅差ではありますが。
その3:減速セレクター
ライバルのハイブリッド車のなかで、減速セレクター(パドルシフトのようなものでアクセルオフ時の減速度を調整できる)を備えるのはステップワゴンだけ。これがあると、下り坂での車速調整などに便利ですよ。
・井出有治「“床下収納”にも自信アリ!な積載上手」
その1:3列目シート下の広い収納スペース
3列目シートを床下収納する箇所は、大容量スペースに。ここまで深いと、3列目を使用していてもけっこーな収納力ですよね。やっぱりミニバンは収納力がないとミニバンじゃないです。他車種も床下収納スペースはあるけど、見ただけで広いと確信するステップワゴンのこの床下部分は、荷物多めな子育て世代にとっても、ありがたい箇所です。
その2:3列目シートの収まり具合
3列目シートの畳み具合で1番お気に入りなのが、ステップワゴン。ノアとセレナは左右に跳ね上げる方式なのに対し、ステップワゴンだけは床下にスッポリ、スッキリと収納できるんです。そして、収納したらカバーもあるので、隙間に物が落ちるのも防げます。
その3:運転席周りの広さ
ステップワゴンが今日の3台中、1番、運転席周りのスペースがありました。ここが広いと運転するのも楽ですよ。スポーツカーじゃないので、この辺りのスペース、ボクは重要だと思っています。
・久保まい「ステップワゴンのポイントはなんといっても“四角”!」
その1:全体的なデザイン性
やっぱりステップワゴンは四角いほうが好き!「丸みがあって可愛い」よりも「四角くてかっこいい」という見た目が、個人的には好みというのと、幼いころに見ていた初代のステップワゴンの印象が「四角大きくてかっこいい」だったので、今のデザインが好きです。
その2:四角いドアハンドル
ドアハンドルも全体的なデザインに合わせて四角い。パッと見た時に全体的に統一感を感じられたのは、細かい部分も同じような四角いデザインだったからだと気が付きました。前後で、繋がってみえるすっきりした印象。開閉時もしっかり握れる程よいホールド感も良かったです。
●日産セレナの嬉しい装備
・工藤貴弘「ガラスハッチ開閉&3列目スライドが便利!」
その1:リヤハッチ
狭くて車両後方にスペースのない駐車場でも荷室にアクセスしたい! そんなわがままを聞き入れてくれるのが、ガラス部分だけを開けることができるセレナの仕掛けです。こういうのは、ライバルにはないですよ。
その2:3列目シートスライド
荷物が多いから3列目をちょっと前へ出したい…。そんな願いを聞き入れてくれるのが、3列目のシートスライド機能です。とっても便利ですが、備わるのはライバルの中でセレナだけ(三菱「デリカD:5」にもついていますが、デリカは一つ上のクラスという認識です)。
その3:プロパイロット2.0
この機能、気分的にはもう自動運転ですね(気分だけですよ、あくまでも!)。高速道路でACC(アクセルを操作しなくても設定速度内で前を走る車に合わせて速度を自動調整してくれる機能)に加えて、ハンドル操作も自動化。ハンドルから手を放したまま走り続けられるという魔法のような機能が、セレナ「ルキシオン」には標準装着されているのです。
使える速度上限は高速道路の制限速度(+10km/h)。渋滞以外でも使えるこの機能はなんと、世界中のミニバンの中でもセレナだけの採用です。
・井出有治「車内のあちこちに用意されている電源に驚き!」
その1:コクピットからの見た目のデザイン
セレナのココ、カッコよくないですか!? 横長12.3インチのワイドディスプレイと、その下のタッチパネル式オートエアコン(しかも、プラズマクラスターも搭載!)操作部分。なんたってデザインが洗練されていてカッコいいですよね!
この辺の、運転席周りの使い勝手やデザインは、その車を印象付けるポイントでもあります。それに、ディスプレイが上方向に変に出っ張っていないので、スッキリ収まっている感じ。大事な部分だと思います。
その2:電源供給箇所の多いところ
昭和な時代には、車から電源をとるっていったら、シガーライターソケット部分から…って、古すぎますかねw? でも、令和のミニバンには(昭和ミニバンは無い?)各所から電源が。100V AC電源(1500W/メーカーオプション)や、タイプA/タイプCのUSB電源が各所(全部は発見できなかったような気がする!)にあり、スマホの置くだけワイヤレス充電も、もちろん準備されています。
セレナはそこらへんが用意周到で、ホント、この辺りの装備の充実度は、長く乗っていく中での発見が多いんだと思います。
・久保まい「足元のスペースに余裕が生まれるハンドルデザイン」
その1:D型ハンドル
その名の通り、ハンドルの下部が直線になっているアルファベットのDのような形のハンドル。運転前にハンドル位置の調整をしても何かしっくりこないというか、足元のスペースが少し狭いなと思うことが車種によってはあるのですが、D型ハンドルなら円形のものよりも余裕が生まれ、ストレスなく運転できるのが良かったです。
その2:大きなコンソールボックス
深さもある大きめのコンソールボックス。肘置きとしても機能するので安定感が抜群。意外と細かいものを置きがちなので(ウェットティッシュやビニール袋など)、大き目のコンソールボックスがあれば1ヵ所に収納出来るので、すっきりして良さそうです。
・その3:上半分だけでも開けられるバックドア
バックドアは、デュアルバックドアと言って、ドアの半分から上(今回の車輛でいうと2トーンの黒い部分から上)だけが開けられて、後ろの空間が狭い場合にも安心です♪ バックドア全体も開くので、2パターンの使い方ができるのも便利ですよね!
【レビュアー紹介】
工藤 貴弘:若手フレッシュ自動車ライターがいつの間にか大御所のひとりに。大雑把な部分から重箱の隅まで、走りの車種からのんびり車種まで、あらゆる知識と興味が豊富。
井出 有治:元F1ドライバーにして現在一児の父。子どもが生まれるまではミニバンに興味なかったものの、もっか愛車セレナを子守り仕様へと改装するのに夢中。
久保 まい:車、タイヤへの愛があふれる長身モデル。運転大好きで、愛車のミッドシップスポーツカーが修理不能になって、次の購入車には再び同じ車種のMTを選択!
●トヨタ・ノア ハイブリッド S-Z E-Four 主要諸元
全長×全幅×全高:4695×1730×1925mm
ホイールベース:2850mm
車両重量:1710kg
エンジン:直列4気筒
総排気量:1797cc
最高出力:98ps(72kW)/5200rpm
最大トルク:142Nm/3600rpm
フロントモーター最高出力:95ps(70kW)
フロントモーター最大トルク:185Nm
リヤモーター最高出力:41ps(30kW)
リヤモーター最大トルク:84Nm
駆動方式:4WD
トランスミッション:電気式無段変速機
サスペンション:前マクファーソンストラット 後トーションビーム
タイヤ:前後205/60R16
車両本体価格:389万円
●ホンダ・ステップワゴン e:HEV スパーダ プレミアムライン 主要諸元
全長×全幅×全高:4830×1750×1845mm
ホイールベース:2890mm
車両重量:1840kg
エンジン:直列4気筒
総排気量:1993cc
最高出力:145ps(107kW)/6200rpm
最大トルク:175Nm/3500rpm
モーター最高出力:184ps(135kW)
モーター最大トルク:315Nm
駆動方式:FWD
トランスミッション:電気式無段変速機
サスペンション:前マクファーソンストラット 後トーションビーム
タイヤ:前後205/55R17
車両本体価格:391万2700円
●日産セレナ e-POWER ルキシオン 主要諸元
全長×全幅×全高:4765×1715×1885mm
ホイールベース:2870mm
車両重量:1850kg
エンジン:直列3気筒
総排気量:1433cc
最高出力:98ps(72kW)/5600rpm
最大トルク:123Nm/5600rpm
モーター最高出力:163ps(120kW)
モーター最大トルク:315Nm
駆動方式:FWD
サスペンション:前ストラット 後トーションビーム
タイヤ:前後205/65R16
車両本体価格:479万8200円
(写真:萩原 文博/まとめ:クリッカー編集部)