1年に1か月だけ通行できる北海道の幻の道「道道1116号線」に行ってみたら絶景だった

■僅かの期間だけ楽しめる絶景

道道1116号線のハイライトである、絶景を楽しめる嶺雲橋
道道1116号線のハイライトである、絶景を楽しめる嶺雲橋

雪国には冬季通行止となる道路がたくさんありますが、通行止となる期間が11か月もある道路があります。それが道道1116号線です。

幻の道道区間は忠別湖と旭川市21世紀の森の間にあります
幻の道道区間は忠別湖と旭川市21世紀の森の間にあります

わずか1か月しか通行することができないにもかかわらず、絶景ポイントがあることで多くの人が訪れています。

まるで林道の入口みたいなチョボチナイゲート
まるで林道の入口みたいなチョボチナイゲート

道道1116号線は北海道富良野市を起点として上川町を終点とした総延長約87kmの道路として計画されました。

このうち美瑛町上字幕別〜旭川市東旭川町瑞穂までの約26kmが供用されていますが、東川町ノカナンのチョボチナイゲートから東川町北7線の東川北7線ゲートまでの12.4kmが幻の道道と呼ばれている区間です。

2023年の開通期間は9月7日11時から10月12日11時まで
2023年の開通期間は9月7日11時から10月12日11時まで

チョボチナイゲートは忠別湖の北側にありますが、まるで林道の入口みたいに狭い道が分岐していて、油断すると通り過ぎそうになります。

ゲートの脇には道路状況の標識も建っていて、2023年は9月7日11時から10月12日11時まで開通となっています。

チョボチナイゲートから始まる道道1116号線は狭く、11%の急勾配・急カーブで登っていきます。舗装されてはいますが所々に段差があるなど、やっぱり林道の様相です。

狭隘区間を走ること5.4km、ここで急に拡がり、センターライン付きの2車線道路となります。カーブも緩くなって道路の規格が全く変わるのが印象的。


2車線になって少し走ると一気に視界が開け、大きくカーブしている嶺雲橋に到着します。幌倉沼川の支流が流れる谷を渡る橋の長さは406mで、かなりの高低差があります。

また、遠くに旭川の市街地を見渡すことができ、道道1116号線随一の絶景ポイントとして人気を集めています。この日も外国人を含め色々な人たちが訪れていました。


2車線区間には幌倉沼川を渡る長さ140mの祥雲橋、倉沼川を渡る長さ174mの景雲橋、倉沼第一沢側を渡る長さ120mの清水橋が架かっています。

2車線区間を走りきると、この区間の終点となる東川北7線ゲートです。こちらには道道1116号線を示す標識も建っています。

旭川市21世紀の森付近にある瑞穂ゲートが現在の道道1116号線の終点
旭川市21世紀の森付近にある瑞穂ゲートが現在の道道1116号線の終点

さらに走ると瑞穂ゲートに到達します。ここが現在の道道1116号線の終点で、この先は未着工です。

ここは旭川市21世紀の森に隣接しているので、こちら側からアプローチする方が楽かもしれません。

●どうして11か月間も冬季通行止?

ところでなぜこの区間は11か月間も冬季通行止なのでしょう? 実は2012年9月にこの区間が開通した時は、周辺の道路と同様に10月から翌年5月まで冬季通行止とする計画だったそうです。

しかし、一部の区間で地滑りの危険性があることが判明し、2013〜2017年まで通年通行止となりました。

北海道最高峰の旭岳の雪解け水による地滑りの危険性が幻の道道を生みました
北海道最高峰の旭岳の雪解け水による地滑りの危険性が幻の道道を生みました

地滑りの原因は北海道最高峰の旭岳からの雪解け水がこの付近の地下水の水位を上げていることであることが判明。そのため地下水の水位が落ち着く9月ごろまで冬季通行止とした結果、1か月間しか通行できない幻の道道が誕生しました。

2023年は10月12日までこの区間を走ることができます。絶景は見応えがあるし、走ってて楽しい道路なので、ぜひ行ってみることをオススメします。

(ぬまっち)

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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