スバル新型「レヴォーグ レイバック」登場! 今、あらためて歴代「レガシィ」のデザインを振り返ってみる【クルマはデザインだ】

■ヒットした4代目までのデザインを振り返る

歴代レガシィのデザインを見てみる
歴代レガシィのデザインを見てみる

2023年9月7日(木)に先行予約が開始された、SUBARUの新型レヴォーグ レイバック。車高を上げた悪路走破性が話題ですが、デザインはもっと変化があっても良かったのでは?との声も。

そこで、今回は前身に当たる初期型レガシィのデザインを振り返り、レヴォーグに至る歴史に触れてみたいと思います。


●初代:社運をかけたオールニューのツーリングマシン

80年代後半、過度なアメリカ市場依存により経営危機にあった当時の富士重工業。その打開策として、レオーネに代わるオールニューの高性能ツーリングカーを企画、10万km世界速度新記録を引っ提げ、1989年に登場したのが初代レガシィです。

クサビ型のボディがスポーティな初代のボディ。とくにワゴンのプロポーションは独特で「レガシィらしさ」を初代で完成させた
クサビ型のボディがスポーティな初代のボディ。とくにワゴンのプロポーションは独特で「レガシィらしさ」を初代で完成させた

走りを予感させるプレーンなクサビ型ボディの上には、初代アルシオーネのデザインテーマを踏襲し、すべてのピラーをブラックアウトしたグラスキャノピーが。ただ、キャビンが過度に軽く見えないよう、リアピラー部でベルトラインを段付きさせ(セダン)、車名のエンブレムを置くことでアクセントとした点が秀逸です。

一方、目玉のツーリングワゴンは2段型のルーフを用いることで、リアにボリューム感を持たせた独自のウェッジプロポーションを獲得。車名を配したリアの赤いガーニッシュを含め、初代にして「レガシィらしさ」を完成させました。

後に、デザイン担当執行役となる杉本清氏によるダイナミックなボディは、初期デザインに関わったG・ジウジアーロ氏のアドバイスもあって、実にシンプルな仕上がりとなりました。この成功が2代目以降の盤石な基礎となったのです。


●2代目:外国人デザイナーを招いた繊細ボディ

会社の危機を救うヒット作となった初代ですが、その2代目のデザインをどうするのか? 当時の富士重工業が出した答えが、元メルセデス・ベンツのデザイナーであるオリビエ・ブーレイ氏の起用でした。日本のメーカーで、外国人デザイナーがチーフになるのは初めてだったといいます。

薄いランプやグリル、細いキャラクターラインなどにより、繊細な表情を見せた2代目。ピラーはボディ色に変更された
薄いランプやグリル、細いキャラクターラインなどにより、繊細な表情を見せた2代目。ピラーはボディ色に変更された

5ナンバーを継続したボディは、ホイールベースの延長でより安定感のあるスタンスに。薄いランプと一体になったスリムな台形グリル、細くシャープなキャラクターライン、横長のリアランプなど、ピラーがボディ色になった割には、初代に比べるとより繊細な佇まいが特徴的です。

ただ、「継承・熟成」の開発テーマのとおり、全体のまとまり感は明らかに向上しており、たとえばGT-Bに設定された淡いイエローのようなポップなボディ色もしっかり似合っていました。また、セダンのスリムな佇まいが、初代のインプレッサと共通の造形を感じさせたのも興味深いところです。


●3代目:5ナンバーを堅持した骨太デザイン

初代に続き、2代目もヒットしたことで、1998年に登場した3代目の開発テーマは「レガシィを極める」というド直球なものとなりました。車種構成も、クロスオーバー仕立てのワゴンである「ランカスター」を追加、セダンも「B4」として再構築されたのです。

大型化したランプとグリル、強いキャラクターラインと張りのある面により力強さを打ち出した3代目。赤いブリッツェンの登場は鮮烈だった
大型化したランプとグリル、強いキャラクターラインと張りのある面により力強さを打ち出した3代目。赤いブリッツェンの登場は鮮烈だった

スリムだった先代に対し、上下2段構成で大型化されたランプと、これに準じる台形グリルがフロントの特徴。より深く明快なキャラクターラインや、フロントと同様に大型になったテールランプを含め、ボディ全体に力強い張りを感じさせました。

3代目はいくつかの特別仕様車を設けましたが、このカタマリ感の強さをさらに磨き上げたのが、ポルシェデザイン社監修による「ブリッツェン」です。とりわけ、超プレーンになった前後バンパーにより、鮮やかなプレミアムレッドがピッタリ似合っていたのが印象的でした。


●4代目:美しさを標榜した3ナンバーボディ

最後に紹介するのが、2003年に登場した4代目です。「走りと機能と美しさの融合」を開発テーマに掲げた同車は、欧州など海外市場への対応から、いよいよ3ナンバーに拡幅。スバルファンからは、レガシィ史上最高傑作とされており、同社初の日本カー・オブ・ザ・イヤーも受賞。

レガシィ史上最高傑作との声が大きい4代目。キリッとしたランプとグリル、シャープなショルダー面など、硬質で大人の表情を見せたスタイル
レガシィ史上最高傑作との声が大きい4代目。キリッとしたランプとグリル、シャープなショルダー面など、硬質で大人の表情を見せたスタイル

まず、鷹の目のようにキレのあるフロントランプと、新たに示されたヘキサゴングリルのバランスが抜群。これは、アルファ ロメオ164などを手掛けたエンリコ・フミア氏の提案とされていますが、「顔だけ担当?」という素朴な疑問は残ったままです(笑)。

サイド面の特徴は、このフロントから始まる広いショルダー面のシャープさです。3代目までの「線」から「面」に移行したことで、レガシィに新しい表情を与えました。リアではセダン、ワゴンとも、キリッとした逆三角形のランプが新鮮。歴代のガーニッシュを廃することで大人びた佇まいとなりました。


さて、今回はレヴォーグの前身となる初期型レガシィのエクステリアデザインを振り返ってみました。当時はまだ「Dynamic×Solid」といったデザイン・フィロソフィはありませんでしたが、それでも優れたデザインが展開されていたのが印象的です。

スバルは次のステージとして「BOLDER」を掲げていますが、今後はより高い次元のデザインを期待したいところですね。

(すぎもと たかよし)

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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