JR東日本E653系が新色となって常磐線に里帰り

■2023年10月から臨時列車で運行

2013年まで常磐線の特急「フレッシュひたち」で活躍した後、羽越本線の特急「いなほ」に転用されたE653系が、新色となって常磐線に里帰りしました。

新色となって常磐線に戻ってきたE653系
新色となって常磐線に戻ってきたE653系

E653系は特急「ときわ」の前身となる「フレッシュひたち」用の車両として、1997〜2005年に7両基本編成8本、4両付属編成4本の合計72両が製造されて、勝田電車区(現・勝田車両センター)に配置されました。

「フレッシュひたち」時代は常磐線沿線の観光資源をイメージして、車体カラーがスカーレットブロッサム(赤)・ブルーオーシャン(青)・イエロージョンキル(黄)・グリーンレイク(緑)・オレンジパーシモン(橙)の5色が存在しました。

2010年12月7日に、JR東日本はE653系および「スーパーひたち」用651系の後継車として、E657系の導入を発表しました。当初E657系は、2012年春以降順次導入し、2012年秋に上野〜いわき間の特急列車をE657系に統一する計画でした。いわき〜仙台間にはE653系を使用した特急を新設することとして、列車名を公募しました。

E653系・651系の後継車となるE657系は2012年3月にデビュー
E653系・651系の後継車となるE657系は2012年3月にデビュー

しかし、2011年3月11日に発生した東日本大震災で常磐線が被災したため、「スーパーひたち」のいわき〜仙台間の運行を打ち切りました。E657系は2012年3月17日から「スーパーひたち」に投入しましたが、いわき〜仙台間のE653系特急はそのまま立ち消えとなりました。

「いなほ」用に転用改造されたE653系1000番代
「いなほ」用に転用改造されたE653系1000番代

2013年3月16日にE653系が「フレッシュひたち」から撤退。6月26日にE653系7両基本編成を、羽越本線の特急「いなほ」に転用すると発表しました。「いなほ」の転用に伴い、E653系は1000番代に改造して新潟車両センターに転属。車体カラーを日本海に沈む夕陽と稲穂をイメージしたデザインに変更し、耐寒耐雪性能を強化したほか、1号車をグリーン車としました。

「しらゆき」用に転用改造されたE653系1100番代
「しらゆき」用に転用改造されたE653系1100番代

2014年8月27日には、4両基本編成を1100番代に改造して、信越本線の特急「しらゆき」を新設すると発表。車体カラーは、アイボリーを基調として紫紺と朱赤を配色し、新潟車両センターに転属。北陸新幹線・長野〜金沢間が開業した2015年3月15日から運用を開始しました。

2017年には「いなほ」編成のうち2編成を瑠璃色、ハマナス色に塗装変更しています。

E653系「いなほ」ハマナス色(右)と瑠璃色(左)
E653系「いなほ」ハマナス色(右)と瑠璃色(左)

2018年に「いなほ」編成のうちの1編成を国鉄特急色に塗り替えて、勝田車両センターに里帰りしました。この編成は、臨時列車に使われる波動用編成として使用しています。

国鉄特急色となって臨時列車に使用されている勝田K70編成
国鉄特急色となって臨時列車に使用されている勝田K70編成

今回、2編成目の里帰りにあたって、11色目の車体カラーが登場しました。塗り分けは「フレッシュひたち」用0番代を基本として、水色を配色しています。これは主に臨時列車で活躍する編成であるので、海や川、そして澄み切った空などの広大な自然をモチーフとしています。

勝田への里帰り編成第2弾は水色で塗装されています
勝田への里帰り編成第2弾は水色で塗装されています

E653系新色の登場を記念して、9月9日に勝田車両センターで撮影会を開催。今後は東海道本線、東北本線、高崎線、常磐線など、主に首都圏の各路線で運用します。

(ぬまっち)

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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