バイク真夏の祭典「鈴鹿8耐」、ホンダ・ワークスがCBR1000RR-R SPで2連覇。全車周回遅れの圧倒勝利!

■216周を走り2年連続ポールトゥウイン達成

バイクファンにとって真夏の一大祭典といえる鈴鹿8時間耐久ロードレース、通称「鈴鹿8耐」。日本で最も観客が集まるバイクイベントとして有名ですが、その第44回大会が2023年も8月6日(日)に開催されました。

高橋巧選手の走り
高橋巧選手の走り

今回も灼熱の鈴鹿サーキット(三重県)を舞台に、8時間もの長丁場をトップライダーたちがハードな走りを披露し、様々なドラマが生まれましたが、なんといっても圧巻だったのがホンダのワークスチーム「Team HRC with日本郵便」。

ライダーに高橋 巧、長島哲太、チャビ・ビエルゲを擁し、なんと2022年大会に続き2年連続で2位以下を全車周回遅れにする圧倒的強さで見事に優勝。ホンダにとって、鈴鹿8耐29回目の栄光を余裕の走りでもたらしました。

●ライダーには直前で長島選手が加入

1978年の初開催以来、夏の風物詩として40年以上続く伝統のレースが鈴鹿8耐。最盛期の1990年代初頭には4日間で30万人以上が集まったという、まさにバイクファンにはおなじみのイベントです。

コロナ禍の影響で、3年ぶりの開催となった2022年大会では、3年ぶりにホンダ・ワークスが復活。ホンダの1000cc・スーパースポーツ「CBR1000RR-RファイヤーブレードSP」をベースにしたワークスマシンを駆り、長島哲太、高橋 巧、イケル・レクオーナ組が参戦しました。

Team HRC with日本郵便のスタッフ
Team HRC with日本郵便のスタッフ

そして、前述の通り2位以下を全車周回遅れにする圧倒的強さで、2014年以来8年ぶり通算28回目となる快挙を達成したのです。

そして、2連覇を狙う2023年大会。当初はMFJ全日本ロードレース選手権ST1000クラス(以下、ST1000)に参戦している高橋 巧選手、WorldSBK(FIMスーパーバイク世界選手権)で闘うイケル・レクオーナ選手とチャビ・ビエルゲ選手の布陣で参戦する予定でした。

ところが、イケル・レクオーナ選手が同日に行われるMotoGPの第9戦イギリスGPへ参戦することとなり、代わりに元Moto2ライダーで、2022年の優勝者でもある長島哲太選手が加入。

チームにも、新たなパートナーとして日本郵便が加わり、新たな体制でレースに挑みます。

●序盤は激しい混戦が展開

予選では、長島選手が2分5秒722でトップタイムを記録し、チームの平均タイムでも2番手となり、予選タイムの上位10チームで争われ、決勝グリッドを決める「トップ10トライアル」に進出。そのトップ10トライアルでも、やはり長島選手が2分5秒329の最速タイムを記録し、2年連続のポールポジションを獲得しました。

長島哲太選手の走り
長島哲太選手の走り

そして決勝当日。スタートライダーは昨年と同じく、鈴鹿8耐で4回の優勝経験を持つベテラン高橋選手が務めます。

レースは、これも伝統のル・マン式スタートで開始。コース右脇にずらりと並べたバイクへ、反対側に並んだライダーたちが駆け寄って発進させる方式です。

高橋巧選手の走り
高橋巧選手の走り

ホールショットを奪ったのは「YOSHIMURA SERT Motul(以下、ヨシムラ)」(スズキ・GSX-R1000)。第1ライダーのグレッグ・ブラック選手が素晴らしい脚力、そしてマシンも俊敏なダッシュ力を発揮し、オープニングラップからトップを快走します。

ホンダの高橋選手は、その後なんとか抜いてトップに。ところが、今度は優勝候補でもあるヤマハのトップチーム「YART Yamaha Official EWC TEAM(以下、YARTヤマハ)」(ヤマハ・YZR-R1)が襲いかかります。

そこからはホンダ、ヤマハ、そしてスズキを駆るヨシムラなどが激しいトップ争いを切り広げ、レース序盤は耐久レースとは思えない、スプリントレースさながらの混戦模様となりました。

●強敵がまさかの脱落

時間の経過とともに、様々なトラブルが発生したライバルたち。それに対し、ホンダ・ワークスは安定感ある走りを維持し、徐々に後続を引き離していきます。

チャビ・ビエルゲ選手の走り
チャビ・ビエルゲ選手の走り

特に、今回の鈴鹿8耐も、ワークスマシン「CBR1000RR-RファイヤーブレードSP」の速さは、かなり際立っていましたね。

たとえば、鈴鹿サーキットの約800mあるメインストレートでは、まるで「排気量がワンクラス上なのでは?」と疑ってしまいそうになるくらいのスピードを発揮。コーナーが速かったYARTヤマハのYZF-R1を、あっさりとストレートエンドで抜いてしまうほどの速度差があったようです。

それでも、YARTヤマハがコーナーで食い下がり、面白いバトルが展開されたのですが、なんとレース開始から約1時間30分が経過した13時過ぎ頃に、YARTヤマハのYZF-R1にマシントラブルが発生。西ストレート付近でストップしてしまいます(その後レースに復帰し23位でフィニッシュ)。

●安定感と速さが際立ったホンダ

強敵の1台がいなくなったホンダ・ワークスは、それ以降も順調な周回を繰り返し、速さとバツグンの安定感を披露。前述の通り、2位以下を全車周回遅れにする圧倒的強さで、216周を走り切って、見事に優勝を決めたのです。

表彰台の1位から3位までをホンダ系チームが独占
表彰台の1位から3位までをホンダ系チームが独占

なお、今回の優勝により、ライダーの高橋選手は鈴鹿8耐の優勝回数で最多タイの通算5勝目をマーク。長島選手は2年連続2度目、ビエルゲ選手は初参戦での優勝を飾ったことになります。

また、今回の鈴鹿8耐では、2位「TOHO Racing」、3位「SDG Honda Racing」、4位「F.C.C. TSR Honda France」と、上位をホンダ系チームが独占。まさに、「ホンダ祭り」の様相を呈した大会となりました。

(文:平塚 直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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