猛暑の車内は危険がいっぱい! 火災・爆発の防止や大切な命を守るためにも、こんなものは置き忘れ厳禁!!

■スマホやスプレー缶、人や動物まで

連日のように猛暑が続く昨今。2023年7月16日には、埼玉県や栃木県など関東8地点で39度を超えるなど、まさに命に関わるような災害級の暑さに見舞われています。

外気温が35℃の炎天下に数時間クルマを駐車した場合、わずか30分で車内の温度は約45℃を記録するという
外気温が35℃の炎天下に数時間クルマを駐車した場合、わずか30分で車内の温度は約45℃を記録するという

こんな時に、炎天下の野外などにクルマを駐車すると、ちょっとの時間でもクルマの中は灼熱。そして、そんな車内に、ついうっかり「少しの時間なら」と残しておくと、後で大変なことになってしまうものは意外にたくさんあります。

ちなみに、JAFが実施したテストによると、外気温が35度の炎天下に数時間クルマを駐車した場合、わずか30分で車内の温度は約45度を記録。

しかも、サンシェードを装着したり窓を開けておくなどの対策をしていても、「温度抑制効果は低く、人や動物が耐えられない温度となり、車内温度の上昇を防ぐことはできない」のだそうです。

ここでは、そういった車内の温度が上昇した場合に、クルマの中に残しておくと絶対に危険なものをいくつか紹介します。

●炭酸飲料の缶やペットボトル

まずは、炭酸飲料の缶やペットボトル。これらは、高温になると炭酸ガスが膨張して爆発。それにより、容器の缶やペットボトルが破裂してしまい、車内にジュースをまき散らしてしまいます。

炭酸飲料の缶
炭酸飲料の缶

そうなると、拭き掃除や匂いの除去をしなければならず大変。ちゃんと拭き取っておかないと、いつまでもジュースが付着した部分がベトベトしてしまい、不快になりますしね。

暑い日は、とても美味しい炭酸飲料ですが、くれぐれも車内に残したままにしないよう注意しましょう。


●スプレー缶

キャンプなどアウトドアに必需品の虫除けスプレーや冷却スプレー。ほかにも、消臭スプレーやヘアスプレー、油膜取りスプレーなど、LPガスを使っているスプレー缶は、高温になると爆発する恐れがあるといわれています。

スプレー缶
スプレー缶

しかも、もし車内で爆発してしまうと、窓ガラスを割るほどの威力があるともいわれていますから、かなり危険です。

油膜取りスプレーなど、洗車用のスプレー缶を車内のグローブボックスなどに常備している人も多いと思いますが、夏は車内から出しておくことをおすすめします。


●ガスライター

喫煙者はもちろん、キャンプなどで火をおこすなどで便利なガスライターも、高温で破裂や発火する危険性があります。

ガスライター
ガスライター

炎天下に駐車したクルマのダッシュボードにガスライターを置き忘れてしまうと、2〜3時間でガスが抜けてしまったという実験結果もあります。

また、キャンプ愛好家などは、ガスボンベも同様。これらは、絶対に車内に放置しないようにしましょう。


●化粧品の容器

化粧品のプラスチック容器は高温になると溶け出します。

化粧品の容器
化粧品の容器

それが車内に付着して固まると、除去が大変。もし、幸いなことに付着をまぬがれたとしても、中味の化粧品が劣化したり、容器がフニャフニャになるなどでデザインが崩れることなどもあり得ます。

しかも、口紅はドロドロに溶け、一緒にポーチの中に入れていたファンデーションやコームまでもが真っ赤っか(涙)になった経験者も…。

化粧品も車内に残さず、持ち歩くようにしましょう。


●アルコール消毒液

コロナ禍により、持ち歩く人も増えたアルコール消毒液。これも、プラスチックの容器入りであれば、化粧品と同じく高温で容器が溶ける可能性があるほか、破裂する危険性すらあります。

アルコール消毒液
アルコール消毒液

これは、アルコール消毒液の主成分であるエタノールが、温度が上昇すると可燃性ガスが発生し膨張し、ボトルに圧力がかかって破裂する場合があるためです。

また、ボトルが破裂した場合、密閉空間である車内全体にガスが充満してしまい、たばこやライターの火、静電気などで引火する恐れも。車両火災に繫がる危険もあります。


●スマホやタブレット、ノートPC

専用のホルダーなどを使い、スマホのナビアプリをカーナビ代わりに使っている人も増えてきました。ですが、炎天下で駐車中に車内に置き忘れると、本体が熱くなることで「熱暴走」と呼ばれる症状が出て、動作が不安定になったり、故障の原因に繋がります。

スマホ
スマホ

また、内蔵されているリチウムイオン電池のバッテリーが劣化したり、場合によっては発火や爆発することもあるので、十分に注意しましょう。

ちなみに、スマホ以外でも、タブレットやノートPCなども同様。気温が上がった車内に入れたままにすると危険です。


●ETCカード

クルマの車載器にETCカードを挿しっぱなしにしている人も注意しましょう。

ETCカード
ETCカード

ETCカードには、クレジットカードに付帯するものと、ETC専用の「ETCパーソナルカード」がありますが、いずれも熱に弱いのが特徴。高温の車内に放置してしまうと、ICチップが故障したり、カード自体が変形してしまう場合があります。

そして、破損してしまったETCカードを、気づかずにそのまま使うと大変。正常な通信が行われない恐れがあり、高速道路のETCレーンを通ろうして、最悪のケースではゲートが開かずバーに衝突することも。また、後続車との事故につながる危険性もあります。

ちなみに、ETCカードの挿しっぱなしは、車上荒らしなどにより盗難にあう恐れもあります。夏でなくても、駐車時には車載器から抜いて、大切に保管することをおすすめします。


●子どもや高齢者、ペット

そして、最も気をつけたいのが、「もの」ではなく「人やペット」。近年、炎天下の車内に子どもやペットを残したままにすることによる熱中症などが原因の死亡事故は、社会問題となっています。

少しの時間でも、子どもを車内に取り残すのは危険
少しの時間でも、子どもを車内に取り残すのは危険

これもJAFのデータですが、2021年8月1日〜8月31日の一ヵ月間に、JAFが出動した「キー閉じこみ」の救援のうち、子どもやペットが車内に取り残されたままであったケースは全国で99件(子ども63件、ペット36件)もあったのだとか。

しかも、これらのうち、生命に危険を及ぼす影響が高いと判断され、通常の開錠作業ではなく、ドアガラスを割るなどで対処したケースも9件あったといいます。

さらに、これらの原因について、JAFが聞き取り調査を行ったところ、

「子どもに鍵を持たせていたら、ロックボタンを押してしまった」

「ペット(犬)が誤って運転席ドアのロックボタンを踏んでしまった」

といった内容もあったそうです。つまり、車内に残すつもりはなくても、結果的に閉じ込めてしまった、というケースもあるのです。

大切なペットも置き去りは厳禁
大切なペットも置き去りは厳禁

さらに、JAFでは、車内温度の検証テストに関するデータも公表。それによれば、気温35度の炎天下に駐車した車内の暑さ指数は、窓を閉め切った状態でエンジンを停止後、「わずか15分」で人体にとって危険なレベルに達したといいます。

ちなみに、子どもやペットだけでなく、高齢者も高温の車内に残しておくと危険。くれぐれも、「少しの時間なら大丈夫」という間違った判断はしないようにしましょう。

(文:平塚 直樹

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
続きを見る
閉じる