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■意外と知らない継ぎ足し給油の危険性
セルフ式ガソリンスタンドで給油する際、オートストップで自動停止した後に「まだ入るよね」とついやってしまう継ぎ足し給油。
でも、実はこの行為は禁止事項となっていて、火災など大きな事故にもつながる可能性があるのです。それはなぜか? 理由をご説明しましょう。
●ガソリンを吹きこぼすと火災の危険性も
継ぎ足し給油が危険な理由は「吹きこぼれの原因」になるため。ガソリンが吹きこぼれて給油口からあふれてしまうと、クルマの塗装を傷めるのはもちろんですが、周囲にまきちらすと引火の危険性が高くなります。
ガソリンはきわめて爆発性が高い物質で、マイナス40℃といった低温でも気化(気体になる)し、引火しやすくなります。わずかな火花、たとえば静電気でも爆発することがあるほどです。そのため、各ガソリンスタンドのセルフ給油機に表示されている「給油方法」には、「自動停止したら追加給油をしないでください」といった事項が明記されているのです。
そもそも給油機がオートストップするのは、燃料タンク内の油面が給油口に差し込んだノズルに付いているセンサーに触れるため。つまり、オートストップ機能が働いたということは、すでにタンク内は満タンで、ガソリンの一部がインレットパイプまで逆流してきている状態だといえます。
●ギリギリ給油が危ないワケ
この時、「まだ入る余地がある」と考える人もいるでしょう。ですが、溢れない程度に継ぎ足し給油ができて、燃料キャップを閉められたとしても必ずしも安全とはいえません。
ガソリンは、熱により体積が増えて膨張する特性があるため、たとえば気温が低い朝に入れたとすると、昼間に気温が上がると容量が増えることもあります。
物質の増加体積の公式は「元の体積×温度差×体膨張率」で、ガソリンの体膨張率は0.00135。たとえばガソリンを40リッター入れ、気温が10度上昇した場合に、増えるガソリン量は40リッター×10×0.00135=0.54リッター。
増加量自体はちょっとした差かもしれません。
ですが、ガソリンを給油口ギリギリまで入れ、消費しないままの状態で気温が上昇したとすると(季節にもよりますが、最近は気温差10度という日もざらですし)、ガソリンがタンク容量を超え溢れてしまう危険性は十分にあります。
いかがでしょう? 継ぎ足し給油の危険性がお分かりになったでしょうか。
最後に、念のため、以下に正しいセルフ給油の方法をご紹介しておきます。
1. エンジンを停止する
2. 油種を選択する
3. 給油キャップ・給油口のフタを開ける
4. ノズルを給油口の奥まで確実に差し込む
5. ノズルのレバーは止まるまで引く
6. 自動で止まったらレバーを戻す(継ぎ足し給油はしない)
7. ノズルを給油機の元の位置へ確実に戻す
8. 給油キャップ・給油口のフタを忘れず閉める
なお、給油前には、給油機に付いている静電気除去にさわり静電気を除去してから作業を行ないましょう。前述の通り、ガソリンは爆発性が高く、静電気でも引火する危険性があるからです。
また、給油機のノズルは、誤って地面などに落下させないように注意しましょう。先端にあるオートストップのセンサーが壊れてしまい、オートストップ機能が働かない可能性もあります。
※写真は全てイメージです
※2020年11月27日の記事を2023年7月12日に追記・再編集しました。
(文:平塚 直樹)