マツダ「ビアンテ」デビュー。一代限りのミドルクラスミニバンはなぜ終焉した?【今日は何の日?7月8日】

■MPV、プレマシーに続いたミニバン第3弾のビアンテ登場

2008年にデビューしたミドルクラスミニバンのビアンテ
2008年にデビューしたミドルクラスミニバンのビアンテ

2008年(平成20年)7月8日、マツダからミドルクラスのミニバン「ビアンテ」が発売されました。

当時人気があったトヨタ「ヴォクシー/ノア」や、日産自動車「セレナ」、ホンダ「ステップワゴン」に対抗するためにマツダが投入。マツダのミニバンとしては、MPVとプレマシーに続く第3弾となります。


●ミニバンブームの中、MPVに続いてプレマシーも発売

1990年、マツダから大型ミニバン「MPV(マルチ・パーパス・ビークル)」がデビュー。当時は、まだミニバンブームは起こっておらず、MPVはミニバンのパイオニア的な存在でした。

1990年にデビューしたMPV(スポーツパッケージ)
1990年にデビューしたMPV(スポーツパッケージ)

ただし、MPVの米国を意識したシンプルなデザインと大き目のボディは、狭い日本の道路では扱いにくく、販売は思うように伸びませんでした。

一方で、同年にデビューしたスタイリッシュなデザインのトヨタ「エスティマ」や、1994年のホンダ「オデッセイ」が登場して、空前の大ヒットに。これを機に日本では、乗用車ライクなミニバンの一大ブームが起こります。MPVは堅調な販売を続けますが、ブームには上手く乗れませんでした。

1999年にデビューした初代プレマシー
1999年にデビューした初代プレマシー

1999年には、マツダは取り回しのしやすさと広い室内空間の両立を狙った、5ナンバーサイズのコンパクトなプレマシーを投入。3列シートを備えるために、低いフロアを利用した独自のパッケージングを活用し、ミニバンブームの中では地味でしたが、堅調な販売を続けました。

●MPVとプレマシーの間を埋めるミニバン第3弾ビアンテ登場

2008年のこの日、マツダのミニバン第3弾となるビアンテが発売されました。

ビアンテのリアビュー
ビアンテのリアビュー

ビアンテは、当時のライバル車と同様、3列シート8人乗りの箱型ボディ、両側にスライドドアが装備されたトールタイプのコンパクトミニバン。サイドに切れ上がった長いヘッドライトと、リアに向かって流れるような躍動感のあるフォルムに、クラストップの室内長と室内幅によって生まれた、広い室内空間が特徴です。

パワートレインは、2.0L直噴エンジンおよび2.3Lエンジンと4速&5速ATの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDが用意されました。

ビアンテのシートアレンジ
ビアンテのシートアレンジ

ビアンテは、MPVとプレマシーの中間的なミドルクラスの位置づけですが、大型で高級感を重視したMPV、ミドルクラスで室内スペースを重視するビアンテ、使い勝手の良いコンパクトなプレマシーという棲み分けでした。

ビアンテは、商品力で劣っていたわけではありませんが、ヴォクシー/ノア、セレナ、ステップワゴンの3強の壁は高く、販売台数は期待通りに伸びてはいきませんでした。

●マツダはミニバンから撤退、SUVに注力する戦略に

MPVは、1999年の2代目でFF化し、スタイリッシュなミニバンとなり、2006年登場の3代目ではスポーティに進化。コンパクトなプレマシーも、2005年に3ナンバー化してスタイリッシュに変貌、ビアンテはモデルチェンジせず、複数回マイナーチェンジを実施して商品力の強化を図りました。

2007年にデビューして人気となった2代目ヴォクシー
ビアンテのライバル、2007年にデビューして人気となったトヨタの2代目ヴォクシー

しかし、いずれもミニバンブームの中で、期待通り販売を伸ばすことはできずに、MPVは2016年、プレマシーとビアンテは2018年に生産を終了します。

マツダは、これをもってミニバン市場から完全撤退し、SUVに注力する決断をしたのです。


当時、ミニバンの人気は、日本特有と言えるものでした。海外では商用の野暮ったいクルマというイメージが強く、あまり人気がありません。大規模メーカーの余力があるわけではないマツダにとっては、生産車種において“選択と集中“は必須。ミニバンを止めて、世界中で起こっているSUVブームに注力していく、それもまた当然のことだったのでしょう。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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