日産「サファリ(160型)」デビュー。3代目パトロールを国内でサファリと名乗り163.0万~180.5万円(ディーゼル車)で販売【今日は何の日?6月6日】

■本格オフローダーの初代サファリ(パトロール3代目)登場

1980年にデビューしたサファリ(3ドアショート・ハードトップ)
1980年にデビューしたサファリ(3ドアショート・ハードトップ)

1980(昭和55)年6月6日、日産自動車はクロカン車「パトロール」の3代目を、国内で「サファリ」としてデビューさせました。

元祖のパトロールは、1951年に誕生、その3代目となるサファリは、本格4WDオフローダーにSUVの要素を取り入れたのが特徴です。


●元祖パトロールは、警察予備隊用に開発された最強オフローダー

1951年に登場した日産初代パトロール4W61
1951年に登場した日産初代パトロール4W61

パトロールの起源は、1951年に自衛隊の前身である警察予備隊が使う制式車両の入札のため、各自動車メーカーが試作した小型4輪駆動車に遡ります。

採用されたのは、米国カイザー・ウィリス社と技術提携していた中日本重工業(現在の三菱重工のルーツのひとつ)の「三菱ジープ」でした。そのとき試作競争に参加した日産とトヨタの試作モデルを量産化したのが、日産「パトロール」とトヨタ「ランドクルーザー」なのです。

パトロールは、ラダーフレームに、4輪リジット・リーフ式サスペンション、エンジンは大型トラック用の4.0L直6エンジンを搭載した頑強なオフロード4WDで、最強のクロカン車でした。しかし、当時はまだ庶民のレジャー用としての需要は少なく、農林業や建設土木業などの用途に限られました。

●乗用車的なSUV要素を強めたオフローダーのサファリ

3代目パトロールのスタイリングは、それまでの武骨でボクシーなスタイルから、SUV色を強めたスマートなイメージに変貌。スタイルが一新され、名称も国内ではサファリと名乗ったのです。

1980年にデビューしたサファリ(5ドアロング・メタルトップ)
1980年にデビューしたサファリ(5ドアロング・メタルトップ)

ボディは、3ドアショートボディ・FRPハードトップ(乗用車登録)と、5ドアロングボディ・メタルトップ(貨物登録)の2モデル。パトロールと同様に悪路走破性と耐久性を確保するため、車体はラダーフレーム+4輪リジット・リーフ式サスペンションの構成が踏襲されました。

パワートレインは、3.2L直6ディーゼルエンジンと4速MTの組み合わせ、駆動方式はパートタイム4WDで163.0万~180.5万円で販売。これらは、先代のパトロールから受け継がれたもので、海外仕様には2.8L直6 SOHCガソリンやATも用意されました。

サファリは、ライバルのトヨタ「ランドクルーザー」と三菱「パジェロ」とともに、日本のみならず世界のSUV市場を席巻するヒットモデルとなったのです。

●2代目・3代目で販売が低迷、国内販売は終了

1997年に登場した3代目サファリ(Y61型)
1997年に登場した3代目サファリ(Y61型)

その後サファリは、1987年に2代目サファリ(Y60型)が登場、人気TVドラマ「西部警察」で特装車として活躍して話題になりました。

1997年には、3代目(Y61型)へと移行し、4ドアロングには4.5L直6ガソリンと4.2L直6ディーゼルターボ、2ドアショートには2.8L直6ディーゼルターボを搭載し、オフロードを走る機会の多いマニアからは支持されました。

1991年にデビューした2代目パジェロ。パリダカでも活躍してRVをけん引
1991年にデビューした2代目パジェロ。パリダカでも活躍してRVをけん引

ただし、万人受けするデザインや装備を取り入れたランクルやパジェロに対し、サファリはSUV要素を取り入れたとは言え、ライトなオフローダーが好まれるようになった時代の流れに上手く乗れずに販売は低迷します。

その結果、2007年に国内販売を終えましたが、海外では「パトロール」として、特に中東で人気があり、2016年には北米で「アルマーダ」として好評を博しています。


初代のサファリはRVブームに上手く乗れましたが、2代目、3代目は時流に乗れず、国内ではややマニアックな印象が強くなりました。ただし、中東のパトロールや北米のアルマーダは、今も高い人気を獲得しており、本格的なオフロード性能が必要な地域では、成功しているのです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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