ポルシェ「911 ST」52年ぶりに復活。「ポルシェスポーツカー75周年」の2023年6月8日に公開か?

■フロントフェンダー後部の独特なエアベントが初めて露出

ポルシェがワールドプレミアを控える、911の派生モデル「911 ST」、その市販型の最新プロトタイプをカメラが捉えました。

ポルシェ 911 ST 新型スパイショット
ポルシェ 911 ST 新型スパイショット

同ブランドでは現在、伝統のスタイルを再定義したヘリテージシリーズを展開していますが、その最新モデルとして登場するのが「911 ST」です。特別エディションとして蘇るSTは「911 GT3ツーリング」をベースに開発が進められています。

レース界が加熱していた1970年代。フォードやBMWなどのメーカーによる競争の場でもあったサーキットで、ポルシェはこれらを打ち倒すべく開発を進めていました。

そんな中で誕生したのが「911 ST」です。この新しいレースカーは1970年から1971年にかけて投入され、デイトナ、タルガフローリオ、ニュルブルクリンクなどの様々なレースに参戦、ル・マンのGTクラスでも優勝しました。しかし、1年の間にわずか24台しか製造されておらず、幻のモデルとなっています。

ポルシェ 911 ST 新型スパイショット
ポルシェ 911 ST 新型スパイショット

路上で捉えたプロトタイプは、フロントフェンダー後部の独特なエアベントが初めて露出するなど、エアロの秘密が明らかになっています。

これまでのスパイショットでは、ホイールとドアの間のフロントフェンダーの下部がカモフラージュで覆われていました。その下には、垂直フィンを備えたGT3 RSのフェンダーのような形状が予想されていましたが、STはフィンが短く、ボディからあまり出ていないこと、フェンダーとの接続が2ヵ所であること、上部の隙間が少ないなど、若干異なることが発覚しました。

また、STのフェンダーにはGT3 RSのホイールアーチ上の鋸歯状の通気孔(ノコギリの歯のようなギザギザ)も欠けています。

興味深いのは、後輪後ろのリアバンパーにある、フロントフェンダーのカットアウトを再現していないところでしょう。

ポルシェ 911 ST 新型スパイショット
ポルシェ 911 ST 新型スパイショット

また、ボンネットベント、リアディフューザー、スポイラーのないテールを備えているなど、GT3ツーリングと見間違えやすいですが、STにはスポーツクラシック同様のダブルバブルルーフ、エンジンリッドの異なるスタイルのメッシュカバー、左側の円形の「ヘリテージ」バッジとともに、ダウンフォースを向上させる小さなリップスポイラーが装備されています。

パワートレインは不明ですが、GT3ツーリングをベースとしていることから、4.0リットル水平対向6気筒エンジンを搭載、最高出力は502psと予想されています。ただし、非常に限定された特別エディションとなるため、パワーアップされる可能性を秘めています。基本はATと想定されますが、MTバージョンが提供されるかも注目です。

ポルシェは先日、ライブストリームイベント「ポルシェスポーツカーの75周年」を6月8日に開催し、未来のスポーツカービジョンを初公開すると発表しました。6月8日は、1948年にポルシェの名を冠した最初のスポーツカーが認証された、ポルシェにとって特別な日ですが、ST新型はこの日のデビューが予想されています。

(APOLLO)

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アポロニュースサービス代表取締役。1965年東京生まれ・世田谷区在住。通信社を経て1996年に独立、レンタルポジ&ニュース配信会社アポロニュースサービスを設立した後、2016年にはカーメディア「Spyder7」編集長に兼任、多数のメディアへ新車スパイショット配信も手掛けております。
通信社入社と同時に新車スクープに関わり、これまで35年間、新型モデル開発を追い続け、現在は新車スクープ原稿を年間800本以上執筆、日本で一番新車スクープ記事を書く男としてギネス申請中!?
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