最大10万円の補助金がある日本製の電動バイク「AA-Cargo」に大注目【バイクのコラム】

■電動の原付バイクにも補助金が出る!

ファーストフード店でのデリバリーなどで見かけることも増えている「AAカーゴ」シリーズ
ファーストフード店でのデリバリーなどで見かけることも増えている「AAカーゴ」シリーズ

日本政府が、電気自動車普及のために「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」という政策をとっているのはご存知でしょうか。

CEV補助金という名称に見覚えはなくとも、「EVに最大85万円の補助金」というフレーズを見たことはあるのではないでしょうか。それがCEV補助金です。

そんな補助金の対象は四輪EVだけではありません。四輪でいえばプラグインハイブリッド車や燃料電池車も給付の対象となりますし、またミニカーや電動バイクといった二輪・三輪の小型電動モビリティもCEV補助金の対象となっています。

国産・電動バイクのパイオニアといえるaidea社。新型モデル「AAカーゴ」は荷台が傾斜しないタイプも設定する予定
国産・電動バイクのパイオニアといえるaidea社。新型モデル「AAカーゴ」は荷台が傾斜しないタイプも設定する予定

原動機付自転車カテゴリーの電動車両も補助金の対象に含まれています。電気をわけてもらう旅番組でおなじみヤマハ発動機のE-Vinoほか、スズキe-Let’s、そして郵便配達などで使われているホンダのベンリィe:シリーズなどが補助金を受けられるモデルの代表です。

そしてホンダ、ヤマハ、スズキといった日本を代表する二輪メーカーと並んで、電動原付の補助金対象リストにいるのがaideaのAA-Cargoです。

ファーストフードのデリバリーサービスなどで採用実績があるので、名前は知らなくともそのスタイルを見れば、「あー、見たことがある!」という方も多いのではないでしょうか。

先日、訪れた第50回 東京モーターサイクルショーには、aidea社もブースを構えていましたから、AAカーゴをはじめとしたラインナップに跨るなど触れることができました。

●個人所有したくなるスタイル

イタリアンデザインのビジネスモデル「AAウィズ」はスタイリッシュ。個人ユースにもマッチしそうだ
イタリアンデザインのビジネスモデル「AAウィズ」はスタイリッシュ。個人ユースにもマッチしそうだ

AAカーゴ・シリーズは複数のバリエーションを用意しますが、補助金対象となっているのは原付二種相当のAA-Cargo β8と原付一種相当のAA-Cargo α4の2モデル。補助金の上限額は前者が10万円、後者が6万円となっています。

モーターサイクルショーの同社ブースで見かけて印象的だったのは、補助金対象ではないのが残念に思えるスタイリッシュなモデル「AAウィズ」でした。スクータースタイルですが、どこかスポーティなツアラーを思わせる顔つきが印象的で、日本車にはないテイストです。

基本的にはビジネスユースを考えたモデルですが、一充電航続距離は123km、四輪用の普通充電器も使えるということでツーリングも楽しめそう。個人的には愛車候補の欲しいものリストに追加したくなる出来映えでした。

そのセンスがいいスタイリングから、aidea社は海外メーカーかと思いきや、違います。赤坂(東京)に本社があり、相模原(神奈川)に生産工場を持つ純国産メーカーなのです。

原付クラスの電動スクーターというと、中華ブランドが中心となっているイメージもありますが、日本には二輪メーカーが多くあり、多数の二輪エンジニアがいます。優秀な人材を確保しやすいという点で、日本は新興メーカーを立ち上げやすい環境にあるといえるのかもしれません。

●電動バイクの国産化は広がる?

二輪車用チェーンで知られるD.I.D(大同工業)は原付クラスの電動バイク・プロトタイプを展示していた
二輪車用チェーンで知られるD.I.D(大同工業)は原付クラスの電動バイク・プロトタイプを展示していた

東京モーターサイクルショーでは、そうした動きを感じさせるプロトタイプを見ることもできました。

その好例といえるのが大同工業のブースです。D.I.Dブランドの二輪用チェーンで知られている同社は、研究目的で試作したという電動バイク(原付二種クラス)を展示していました。

スクータークラスの電動バイクではインホイールモーターを採用することも少なくありませんが、D.I.Dの名前を冠する電動バイクですから、しっかりチェーン駆動になっているのは大同工業のプライドを感じさせるところ。

チェーン駆動を採用した理由は駆動系設計における多様性確保、フリクションの少なさといったメリットもあると教えてもらいました。

電動モビリティはエンジン車より参入障壁が低いため新興メーカーが生まれやすいという見方はずいぶん昔からありますが、いよいよ日本企業が電動バイクへ参入するケースが増えてくるかもしれません。そんな息吹を感じた東京モーターサイクルショーでした。

自動車コラムニスト・山本 晋也

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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