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■燃費が良いはずのルーテシアE-TECHフルハイブリッドを更に好燃費とする秘策は?
ルノー主催で、メディア対抗燃費チャレンジ企画が行われました。神奈川・横浜→愛媛・松山の片道を、もっとも燃費よく走破したチームに栄冠が与えられるというもの。優勝者には、ルノー本拠地であるパリ行きの往復チケットが授与されるという豪華景品につられ(?)、クリッカーチームも満を持して参戦! その栄誉を我が物にすべく、燃費運転に一家言もつ自動車ジャーナリスト・国沢光宏さんの「腕」に頼ることとしたのであります。 果たして、その結果とは……?
●ポイントは「空気を読む」こと!?
久し振りのメディア対抗燃費競争である! 聞けば24媒体がエントリーしているとのこと。レギューレーションは簡単。横浜をスタートし、最短ルートだと796km離れた愛媛県松山市まで優れた燃費で走ったチームが勝ちというもの。車両は空気圧を含め改良不可。同じ数字(100km走行あたりの燃料消費量)なら、所要時間が短い方を上位とするそうな。書き忘れた。クルマはルノー・ルーテシアのE-TECH FULL HYBRIDです。
ルーテシアといえばWRC出場に於ける私の相棒! E-TECHはレッキ車として使ったので、ここは少しばかり意地もあります。東京からWRCの開催地である豊田市まで行く際、燃費チェックしたことがあって、その時は80km/h巡航だと100kmあたり3.5L(28.6km/L)くらい。ということから推測すると、70km/h巡航で100km/3.0L(33.,3km/L)か。ただ高速道路を70km/Lで走るのは怖いし迷惑だ。
とはいえ70km/hで走る強心臓の人もいるだろうから、優勝ラインは100km/2.9Lくらいになると予想。ルートは渋滞の状況など見て決めることにした。横浜からの担当は小林編集長。6時に出発し、東名道~新東名道を経由して鈴鹿PAまでの360kmを走る。そこまでの燃費は100km/3.2L。相当頑張りましたね! 車速、ゆっくり走っている大型トラックと同じ75km/hくらいです。これなら迷惑掛からない。
しかし! 前述の通り必ずや70km/h以下で走る強心臓もいる! 何とか2.9Lを目指したい。どうするか? こらもう簡単。大型トラックのトゥ(スリップストリーム)を使うしかない。といってもトラックの直後に付けたら明確な「あおり運転」になっちゃう(笑)。しかも運転に超集中しなければならず、長い距離を走ることなど不可能。ここからは企業秘密になるのだけれど、大型トラックの後方っていろんな渦が出来ているのだった。
20年くらい前のこと。空力分析を見て気付く。なるほどトラック直後は素晴らしい! ここに入れば空気抵抗ほとんど無くて済む。されど距離を離していくと、むしろ空気抵抗大きくなってしまう。空気が渦になって乱れており、クルマの正面からキチンと風も当たらない。さりとて遠ければ全くトゥ効果無し。面白いことにどんな基準を持ってしても安全な車間距離で、案外空気抵抗少ない場所がある。
ここに入ればいい。難しいのはトラックの形状によって適正な距離が微妙に違うこと。加えて良い感じの距離って車両1台分の5mくらいしかない。そこを外すと、むしろ悪化するか、あまり効果ないかのどちらか。どうやって選ぶかというのは企業秘密です(笑)。物理的なテクニックとしちゃ簡単。75~80km/hで走るトラックを探し、アダプティブクルコン使って追走するだけ。ルーテシア、レーンキープも付いてるから楽です。
●クリッカーチームの成績は、果たして!
ルートだけれど最短は淡路島経由。ただ大阪近辺の渋滞など考えるとリスクあります。そこで交通量少なく比較的平坦な瀬戸大橋経由を選ぶ。距離は796kmから863kmに伸びるけれど、燃費ということを考えたら問題無し。もうひとつ。同じ数字だったら到着時間が短い方を上位とするレギュレーションなので、平均速度は75km/hを上回りたいし、休憩だって安全を確保出来る最短時間で済ます!
ということでリザルトは4月12日の発表日までナイショらしい。100km/3.2Lより良い数字になったということだけ書いておきます。総走行距離863km。横浜を6時に出て松山に20時15分着。所要時間は休憩を含め14時間15分でここはけっこう頑張った! 同じ数字なら所要時間で勝てると思う! ちなみに物理的な運転はクルコンをセットするだけだから誰にでも出来る。音楽聴きながらの快適なドライブでした!
驚くべきは863km走った時点での燃料残量と航続可能距離。5分の2を残しており、さらに350km走れるとな! 熊本を超える1213km走れるということ。参考までに申し上げておくと、WRCのレッキで山の中を500kmくらい走った時のルーテシアE-TECHの燃費は、20km/Lを割らなかった。高速巡航もさることながら、一般道を元気良く走っても燃費いいし、なによりダイレクトなドライブフィールが楽しかったことを紹介しておきたい。