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■先進技術を盛り込んで開業
2023年3月18日のダイヤ改正で大阪駅うめきた地下ホームが開業しました。
うめきた地下ホームは東海道本線梅田貨物支線(以下梅田貨物線)を、地下ルートに移設して新設しました。
地下ホームは現在工事中のうめきたエリア2期区域の下にあり、うめきた地下口へは仮設通路を設置。また、うめきたエリア先行区域にあるグランフロント大阪方面と地下通路で結ばれています。
うめきた地下改札口には、顔認証自動改札を設置しました。今回は実証実験で、新大阪〜大阪間のICOCA定期券の所有者がモニター登録することで利用することができます。
うめきた地下改札口のきっぷ売り場には、AIを活用した指定席券販売機「みどりの券売機プラス+AI」を設置。また、改札内外2ヵ所にAI案内所を設置しています。
コンコースにはサイネージを活用した案内パネルを設置。顔認証自動改札機やみどりの券売機プラス+AI、AI案内所と共に未来的な雰囲気となっています。
うめきた地下口のほか、東海道本線・大阪環状線の高架下に西口を新設しました。西口からは既存の高架ホームへの通路と、うめきた地下ホームへの通路を設置。これらの通路を通ることで、うめきた地下ホームと高架ホームが結ばれ、10〜15分で乗り換えることができます。
うめきた地下ホームは21〜24番乗り場。このうち21番乗り場は世界初のフルスクリーンホームドアを採用していて、車両のドアの数、位置に合わせて自在に可動します。また、乗車位置案内などにサイネージを採用しています。
うめきた地下口・コンコース・ホームには先進的な技術が盛り込まれているのが特徴で、関西を代表する駅であることを強調しています。
●うめきた地下ホームのメリット
うめきた地下ホームが設置された梅田貨物線は、東海道本線・新大阪駅から大阪環状線・西九条駅を直結していて、京都方面から関西空港を結ぶ特急「はるか」や新大阪・京都から南紀方面を結ぶ特急「くろしお」を運行しています。
しかし、梅田貨物線は大阪駅から離れていたため、「はるか」「くろしお」は大阪駅に停車できませんでした。そのため、大阪駅から関西空港や南紀エリアに行く場合、天王寺駅などで特急に乗り換える必要がありました。大阪駅から関西空港へは関空快速が直通していますが、所要時間が1時間8分程度と、特急乗り換えの52〜58分よりも時間がかかっていました。
うめきた地下ホームが開業したことで、大阪駅から関西空港と南紀エリアに特急で直通できるようになりました。特に特急「はるか」は大阪駅と関西空港を47分程度で結び、所要時間は20分程度短縮され、今後のインバウンド需要の増加を考えると、所要時間の大幅な短縮は大きなメリットです。
●おおさか東線もうめきた地下ホームに直通
開業したうめきた地下ホームには、おおさか東線も発着するようになりました。
おおさか東線は、新大阪〜久宝寺間を結ぶ路線でしたが、今回のダイヤ改正で運転区間を大阪に延長しました。鴫野駅・放出駅では学研都市線、久宝寺駅では大和路線に接続していて、大阪南東部・奈良県方面から大阪へのアクセスルートの選択肢が増えました。
梅田貨物線は、2025年に開催される大阪万博へのアクセスルートとしても期待されています。梅田貨物線が大阪環状線と合流する西九条駅から分岐する、JRゆめ咲線の終点となる桜島駅からは、夢洲にある万博会場へのアクセスバスを運行する計画で、JR西日本は新大阪〜桜島間にアクセス列車を運行。同区間を20分で結ぶ計画です。
●今後更に発展するうめきたエリア
うめきたエリアは大阪駅前の新たな拠点として整備を進めていて、2013年に先行開発区域として開業したグランフロント大阪に続き、2期区域が2024年夏頃に一部先行まちびらきを行い、2027年度に完成を予定しています。
2031年春には、大阪駅うめきた地下ホームと大和路線JR難波駅・南海電鉄難波駅を結ぶ、なにわ筋線の開業を予定しています。なにわ筋線のルートは、大阪環状線の大阪駅と新今宮駅をショートカットしていて、大阪駅・新大阪駅から関西空港へのアクセス向上が期待できるほか、大阪市内を南北に結ぶルートの強化もできます。
うめきた地下ホームの開業により大阪駅は鉄道の拠点・まちづくりの拠点として大きく発展していくことでしょう。
(ぬまっち)