「GT-R」「アリア」「エクストレイル」学生でも最新の日産車に乗れる!日産横浜自動車大学校のプログラムが画期的だった

■日産系自動車大学校で唯一の直営校が横浜校

●直営校の利点を生かし、日産自動車に最も近いプログラムを実施

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グランドライブを走る自動車整備科2年生たち

私事ながら、仕事で最新の車両に乗ることができますが、そういう話をすると、かなりの確率で「羨ましい」って声をいただきます。まあ、仕事とはいえ、ありがたい立場なんだと思います。

発売間もない新型車、それも一般的な乗用車ではなく、最速のスーパースポーツや最先端の電気自動車、自動運転機能付き車両に一気乗りができるといったら、魅力的ですよね。

それが学生のうちに可能になってしまうのが、日産横浜自動車大学校のカリキュラムです。

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これらに学生が試乗します

そのステージは、日産GRANDRIVE(グランドライブ)。ここはテストコースであり、我々メディアや重要顧客などに向け、最新の、あるいはまだ発売となっていない新型車の試乗イベントなどを行う特別な場所です。少し前までは、その存在すらあまり公にされていなかったような場所です。

そんなスペシャルステージで、日産横浜自動車大学校の「授業」が行われます。

●GT-Rからサクラまで、最新の日産車が勢揃い

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GT-R

今回用意されていたのは、外周路を走るのに、GT-R、アリア、エクストレイル、サクラ、ノートオーラ、スカイラインなど。

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サクラ

これら全車に試乗し、様々なドライブシーンで車両を感じることを学びます。特に、まったく同じステージで別のクルマを走らせるという、意外とできない経験により、車両の違いによる走りの違いを感じることができます。

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スカイライン400R

加速、減速、向きを変えるといった動きだけでなく、振動や音の侵入なども含め、クルマの個性を身を持って知ることができるのです。また、全車に2人1組で乗るため、後席でのインプレッションも得ることができるのです。

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エクストレイル

助手席には普段からお世話になっている教員が乗り、クルマの感じ方をレクチャーしてくれます。今どきの出来の良い新車、普通に乗っていると問題なく走れるので、どこが違うのか教えてくれるのは安心です。

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GT-R

直線ではアクセルを思い切り踏むように指示されます。

GT-Rの暴力的な加速も、サクラの軽自動車らしからぬ滑らかでかつ力強い加速も、一般道では簡単には体験できないことを経験できるわけです。

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キックス
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アリア
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ノートオーラ


●公道では真似できないVDCオフでスピン体験を

そして、今度はFR車であるスカイラインによるVDC体験試乗を行います。

VDCはいわば車両安定制御装置。横滑りを防いでスピンなどを抑制してくれます。

この体験試乗には、テストコース定番の滑りやすい路面「低μ(ミュー)路」を使います。早速VDCをオフにして低μ路で車線変更すると、スカイラインはくるりと簡単にスピン。

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VDC「OFF」
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VDC「OFF」
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VDC「OFF」
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VDC「OFF」
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VDC「OFF」
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VDC「OFF」
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VDC「OFF」
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VDC「OFF」


次に、VDCを通常通りオンにして車線変更をすると、何事もなかったかのように通り抜けることができます。

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VDC「ON」
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VDC「ON」
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VDC「ON」


まさに、VDCとは?ということを身を持って知ることができるわけです。教科書に載っていることを読んで「へー」と思う。それとはわけが違いますね。

将来、自動車ディーラーに勤めたとき、お客さんとの会話でVDCについての話が出たときの引き出しがまったく違うものになるでしょう。

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プロパイロットの追従走行体験

そしていよいよ、リーフを使ったプロパイロット走行、アリアを使ったプロパイロットパーキングの体験へ。

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プロパイロットパーキングの体験

最先端の安全運転支援技術は説明として耳にすることはあるでしょうけれど、実際に試したことのある人はまだまだ少ないもの。新車を買える人が少ない学生さんにとってはなおさらです。


●この経験を学生たちは一様に「将来の役に立つ」と認識

これらを体験してどうだったか。

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谷口公人さん

4月からはすでに販売会社への就職が決まっている、自動車整備科2年の谷口公人さんによると、

「実際に乗ってみて、サクラの軽自動車と思えない静粛性や、日産最高峰のGT-Rの加速・止まる・曲がる動作に驚きました。一番印象に残ったのはVDCの体験で、その重要性やON/OFFができる意味をよく理解することができました。プロパイロットやプロパイロットパーキングといった最新技術のレベルの高さにも驚かされました。こうした経験が、この4月に就職してからもとても役立つと思いますので、自分の糧としていきたいです」

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田邉大希さん

普段、学業の傍ら、レンタカー会社でアルバイトもしている、自動車整備科2年の田邉大希さんは、

「サクラは腹下のバッテリーのせいか、軽と思えない安定性で、連続旋回時のローリングや、ブレーキ時のピッチングも少なく、乗っていて安心できました。ただ、遮音性は今までの軽自動車同様に感じたのが少し気になりました。エクストレイルは旋回の安定感とショックの少なさが今回のラインアップでトップクラスに感じました。GT-Rは、まず乗り込んだときのコクピット感が強く、気落ちを高くあげてくれます。加速では体感で1秒もなく100km/hを上回るように感じて、今までに体感したことのないものでした。VDC体験ではこうしたアシスト機能とタイヤ、自身の運転を組み合わせて初めて安全にドライブできる、ということを今後意識したいと思いました」

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村田みずきさん(左)と姚 光源さん

村田みずきさんは、宮崎の出身で、地元の日産系ディーラーに就職し、その後、企業留学というカタチで日産横浜自動車大学校に通っている、社会人学生です。就職した会社からお給料をいただきながら、整備士の国家資格を取得する勉強をする。学費も企業から補助されるという、とても理想的な制度をうまく活用しているのです。そんな村田さんは今回の体験について、

「本当は運転するのは怖いと思って好きではないんですけど、普段乗れないようないろんなクルマに乗る機会はないので、とてもいい経験でした。普通はなかなかできないVDCの体験が一番印象に残っています。プロパイロットやプロパイロットパーキングは『映画の世界』みたいですよね」

と語っていました。学生さんたちは皆さん、「なかなかできない、いい体験だ」と感じているようです。


●日産DNAの誇り、そしてクルマの楽しさを理解してもらいたい

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木村先生

こうした試乗イベントに、日産横浜自動車大学校はなぜ取り組んでいるのでしょうか。木村先生にお話をお聞きしました。

「日産のメーカー校として、日産のクルマ、日産に関して興味を持ってもらおうというのが始まりです。そうしてもらうことで、日産のDNAを感じて日産の仕事をすることに誇りに持ってもらおうというのが狙いです。

それに、今実習でやっているのがどんなことに繋がっていくのかを実体験してもらうことで、よく理解が深まり、個々の発展になっていくと思っています。

販売会社に就職する事が多いので、それをお客さんに伝えることができる点で有利になります。

体験して、いままで知らなかった部分、聞いただけだった部分が、ああ、こういう動きだったんだ、というのをわかってもらえるのは、とても有意義です。

また我々が横に乗ってあげることで、クルマの楽しさを学生たちに教えてあげることもできます。このクルマの見るポイントはこうなんだよ、という気付きも与えることができるんです」。

日産車の特徴と言える、電動化、自動運転(安全運転支援)技術などは、どこでも体験できるものではありません。危険な状態を想定するVDCをOFFにした滑りやすい路面など、あってはならない状況を再現するのですからなおさらです。

学生さんたちが自動車整備や販売の最前線に立ったとき、一度でもその経験があるかないかは、同期の人たちに対しても大きなアドバンテージとなるし、なによりその経験のおかげで、お客さんへ親身になってお話ができるのではないでしょうか。


●ニスモとの共同プログラムも行うモータースポーツ科

そんな学生思いのカリキュラムを導入する日産横浜自動車大学校には、その他にどんな特徴があるのか、市橋 天校長に聞いてみました。

――まず、横浜校の特徴を教えて下さい

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市橋 天校長

横浜校は、日産自動車グローバル本社がある横浜にあるという立地もそうですが、成り立ちも日産自動車の企業立校で母体は日産自動車です。敷地も日産自動車の教育センター内にあり、隣には日産販売会社向けの教育センター、その隣には日産自動車の従業員向けの施設があります。ですので、日産自動車と密接な環境で教育できるのが大きな特徴です。

ニスモ(日産直系のモータースポーツ部門)と共同プログラムも行っているモータースポーツ科の授業などは、特に日産自動車のお膝元だからこそ可能になる課程かと思われます。

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モータースポーツ科の実習室

モータースポーツ科は、モータースポーツ、ハイパフォーマンスカーを活用し、クルマ本来の魅力や楽しさを再認識してもらいながら、より深い知識、技術を習得してもらう場所です。チューニングした車両、こだわりのニスモ、オーテック車両などのメンテナンスができる人材の育成を目指しています。

――具体的に、モータースポーツ科はどのような活動を行うのでしょうか。

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モータースポーツ科のZ33フェアレディZ nismo

ニスモとの共同プログラムでは、Z33 nismoのメンテナンス、チューニングを実習として行います。具体的にはチューニングの前後でサーキット走行を行い、チューニングの効果や意味を身を以て知ってもらいます。有名プロドライバーから直にレッスンを受ける機会も設けています。ニスモファクトリーでの実習も行っています。

モータースポーツ科は自動車整備科で2年間、または一級自動車工学科で4年間学び、国家資格を取得して、3年目または5年目に進級します。この1年間はモータースポーツやチューニングに特化したカリキュラムとなるので、資格試験のことなど考える必要もなく、かなり贅沢に学ぶことができると思っています。

――このような学生さんに入学してほしいとの考えは?

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電気自動車の実習ももちろんある

来てほしい学生さんとしては、クルマに興味がある、モータースポーツが好き、というかたにはもちろんですが、整備士を目指したいがクルマにはまだ詳しくない、4年制の大学などと迷っている、といったかたにも来ていただきたいです。クルマの勉強だけでなく、もっと幅広く一般の大学のように学びたいというのであれば、放送大学と提携していて、併修制度がありますので、通信教育で学士を取得することも可能になります。

せっかく日産と連携した授業がありますので、日産が推進している電動化技術、自動運転技術といった日産インテリジェントモビリティについて学んでいってほしいです。これらは、将来的にも必ず自動車業界で役に立つ知識だったり経験だったりするはずです。

――横浜校で学んで、どんな人間に育ってほしいと思いますか?

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市橋 天校長

手にした技術というのも重要ですが、なにより社会人として生きていく人間力を身に着けていってほしいですね。学校の活動に参画して、積極的に自分で考え自分で道を開いていっていただきたい。卒業して資格をとるというのを単なるゴールにするのではなく、その後の社会に出て活躍できる人を育てていきたいと日々思っています。


●少人数でレッスンが受けられるモータースポーツ科は贅沢の極み

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敷地内にはS15シルビアなどスポーツカーもゴロゴロ

モータースポーツ科の施設を見学させていただくと、Z33フェアレディZやS15シルビアなどの車両、整備場など、思った以上に充実している模様。それなのに、現在のモータースポーツ科の学生はたった3人(2022年度)だといいます。それだけの少数で、こんな施設と、今や価格高騰の日産スポーツカーを使えるとは! しかも、サーキットやニスモファクトリーでの実習、レーシングドライバー・影山正美選手などからのレッスンもその人数で行われるとは、なんと贅沢!

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最新のリーフからトラックのアトラスまで、日産車の整備が身につく

ちなみに、モータースポーツ科の卒業生の就職先を聞いたところ、やはり他の卒業生と同じく、販売会社がもっとも多いとのことですが、その学生時代の活動は就活時に圧倒的に有利となるし、なにより就職後に、クルマ好き、モータースポーツ好きのお客さんとかなり近い目線で話すことが出来たり、気持を交わすことができるといいます。

整備士の資格を取るために入学するのも、もちろんありです。でも、重要なのは社会人として生きていく人間力を育てること。それが他の自動車整備専門学校と違う、日産横浜自動車大学校の特徴だと強く感じました。

(文:小林 和久/写真:井上 誠・小林 和久)

●日産横浜自動車大学校
〒241-0014 神奈川県横浜市旭区市沢町910
https://www.nissan-gakuen.ac.jp/yokohama/

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この記事の著者

編集長 小林和久 近影

編集長 小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務める。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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