軽自動車の歴史を変えた名車「N360」の第3世代「NIII360」デビュー。N360からNIIへ、そしてNIII360へとモデルチェンジ【今日は何の日?1月28日】

■N360の人気を堅持するためにNIII360へとモデルチェンジ

1970(昭和45)年1月28日、ホンダ「N360」が2回目のモデルチェンジで第3世代「NIII360」へ移行しました。軽自動車の歴史を変えたN360のコンセプトを継承しつつ、快適性や静粛性の改善が図られました。

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1970年にN360の2回目のモデルチェンジで登場したNIII360


●軽の常識を打ち破った名車「N360」の誕生

ホンダ初の4人乗り乗用車N360がデビューしたのは、1967年です。

軽の限られた室内空間を最大限生かせるFFパッケージング、徹底した軽量化、高性能エンジンによる卓越した動力性能を実現した軽自動車N360は、画期的でした。

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1967年にデビューし、大人気となったN360

ボディに薄板鉄板を多用し、車重475kgを達成。実績あるバイクエンジンのハイチューンで31PSを発揮する高性能の空冷356cc 2気筒4サイクルエンジンを搭載。最高速度は115km/h、0→400m加速は22秒と、1.5L搭載車に負けない軽として卓越した動力性能を誇りました。

N360は、広い室内空間と優れた動力性能、さらに安価な価格設定によって、発売後2ヶ月で軽のシェア30%を超え、瞬く間にトップモデルに君臨。それまで10年間独走していた「スバル360」から、販売首位の座を奪い取り、歴史に残る軽自動車となりました。

●快適性と静粛性をレベルアップしたNIII360

N360 は、1969年にNIIへとマイナーチェンジしますが、NIIは僅かな変更にとどまり、Nシリーズの人気を不動にするために1970年に登場したのが、NIII360です。

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1970年にデビューしたNIII360カスタム

NIII360は、フロントグリルやボンネット、ホイールキャップ、バックアップランプなどを一新して、より洗練したデザインとし、座り心地を追求したシートや遮音材の増強などで、快適性と静粛性の向上が図られました。

エンジンは、空冷356cc 2気筒4サイクルエンジンが継承されましたが、トップグレードの最高出力は36PSを用意。トラスミッションは、それまでの4速ドグミッションからフルシンクロミッションに変更されました。

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1970年に誕生した初代Z、FFのスぺシャリティカ―

その後、装備を充実させたさまざまなグレードの設定や、市街地走行を重視したモデル「NIIIタウン」を追加するなど、ラインナップの充実によって人気を維持しました。1970年には、派生車の軽初のスペシャリティカー「ホンダZ」がデビューして話題になりました。

●ホンダ初の4輪車はT360、初の乗用車はS500

名車として名前が上がるN360ですが、実はホンダにとって初の4輪車は、1963年にDOHCエンジンを搭載した軽トラック「T360」です。その2ヶ月後には、ホンダのスポーツモデルの“Sシリーズ”の元祖、ホンダ初の乗用車「S500」がデビューします。

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2011年にデビューして大ヒットしたN-BOX

したがって、1967年に登場したN360は、ホンダ初の4人乗りの乗用車となります。1970年には、軽のスペシャリティカー「Z」、そして1971年にファミリカー志向の「ライフ」が登場。ところが、1972年にデビューしたシビックが世界的に大ヒットし、限られたリソースを小型車に専念させるために、ホンダは1974年にライフの生産を終了し、軽自動車から一時撤退しました。

その後、1997年に2代目ライフによってホンダの軽が復活、そして2011年に「N-BOX」が登場して、Nシリーズが復活したのです。


現在Nシリーズは、「N-BOX」や「N-ONE」、「N-WGN」、「N-VAN」として復活し、長く軽の販売トップの座に君臨しています。性能と室内空間、扱いやすさなど、ホンダの軽自動車の元祖N360の基本的な設計思想やコンセプトが継承されていますね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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