三菱新型「デリカミニ」と「デリカD:5」のエクステリアデザインが似ていないように見える理由は?【東京オートサロン2023】

■カッコ可愛さを狙った新型デリカミニのデザイン

以前お伝えしたように、三菱自動車から発表された新型デリカミニは、両側スライドドアを備えた軽スーパーハイトワゴンです。eKクロススペースと同じプラットフォームを使い、同社が得意とするSUVテイストが盛り込まれています。

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新型デリカミニ。写真は用品装着車

プレスカンファレンスに登壇したのは、商品企画を担当したチーフ・プロダクト・スペシャリストの藤井康輔氏。

冒頭で「環境に優しく、どんな路面や環境でも安心、安全に走行できるクルマ作りをしている同社の特徴を新型デリカミニにも注ぎ込んだ」と触れています。

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商品企画を担当したチーフ・プロダクト・スペシャリストの藤井康輔氏

地球温暖化による異常気象や台風の上陸、ゲリラ豪雨なども増えている中、デリカであれば家族の元に確実に帰れるという安心感を提供していると説明しています。

2023年で55周年を迎えるデリカは、商用車として1968年にデビュー。55周年の節目に新型デリカミニが投入されることになります。

現行デリカD:5は、ミニバンとSUVを融合させた唯一無二の存在としてアウトドア派から絶大な支持を集めています。

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新型デリカミニと現行デリカD:5

新型デリカミニは「デリカの世界観をまとった三菱らしい軽スーパーハイトワゴン」と説明しています。精悍な中にも愛嬌のある表情、力強い走りを予感させるSUVテイストのスタイリング、広々で快適なキャビンや多彩なシートアレンジを備え、可愛さとカッコよさを併せ持った軽SUVとも解説しています。

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新型デリカミニのリヤビュー

ベースとなったeKクロススペースも、精悍さという意味では、軽スーパーハイトワゴンの中でも際立っているように感じられますが、ゴツすぎるという意見もありそう。一方の新型デリカミニは、愛嬌のあるヘッドライトによる顔つきが目を惹きます。

●デザイン担当者を直撃

そこで、デザインを担当したデザイン本部 プログラムデザインダイレクター 松岡亮介氏に話をうかがいました。

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デリカミニのヘッドライトのシグネチャー

Q「デリカの末弟として意識した点はありますか? 見た目はデリカD:5とはかなり異なるように映ります」

A「デリカのデザインテーマを新型デリカミニにそのまま持ってきたということは、まったくありません。プレスカンファレンスにもあったように、デリカがもつ世界観を表現しました。ワクワクする感じや三菱自動車っぽいSUVらしさを意識し、過去からインスピレーションを受けていますが、そこはかとなく感じていただければいいと思います」

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新型デリカミニのエクステリア

Q「デリカD:5とのスケール感(サイズの違い)もありますか?」

A「そのとおりです。D:5と同様に、前後にDELICAとロゴを入れていて間接的に関係性を持たせていますが、あくまで親しみやすいモデルとして捉えていただければ幸いです。デリカというと、男のクルマ、ゴリゴリ感を抱く方もいるので、軽自動車に落とし込むため親しみやすさを重視しました」

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東京オートサロン2023出展車両の新型デリカミニ「SNOW SURVIVOR」とデリカD:5「SNOW SURVIVOR」

Q「具体的な見どころは?」

A「とくにフロントマスクです。個性的なヘッドライトのシグネチャーにこだわりました。弊社では、デザインパーソナリティという言い方をしているのですが、クルマを擬人化し、そのクルマがどんなキャラクターなのか決めて、そこからデザインをブラッシュアップしています。
イメージとしては、小学校低学年の男のコ。やんちゃ坊主といいますか、すごく元気なんだけどお母さんからすると、放っておけない、カッコ可愛いイメージでデザインしました。とくに、女性ユーザーは、デザイン、とくにフロントマスクを見た時に目(ヘッドライト)が可愛いとか、鼻がどうとか、口がどうとか、という話をする方がいるように思いますので、こうした点を意識しました」

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新型デリカミニとコールマンのコラボモデル(参考出品)

Q「ダイナミックシールドも踏襲されていますね」

A「1980年代から90年代のRVブームの時代に、弊社はプロテクトバーのようなモデルが多かった歴史があります。デリカミニでは、現代風にダイナミックシールドと合わせてボディに組み込むことで精悍さを醸し出しています」

Q「ベース車がeKクロススペースということで制約はありましたか?」

A「確かに、スタートは制約の方が多かったのですが、プラットフォームなど関係なく、コンパクトなデリカを作るというコンセプトを掲げ、若いデザイナーがスケッチをたくさん描いていました。その中のスケッチ案からほぼそのままカタチになっています。デリカミニとして元々、存在していたコンセプトが具現化したことになります。
また、外板パネルは、ドアは基本的に同じです。リヤは、テールゲート中央部に構造体が入っているのですが、そこにフロントと同じようにDELICAのロゴを入れて、バンパー下側に完全にブラックアウトにしてリフトアップ感を出しています。インパネもeKクロススペースから流用している部分が多くなっています。
FFでもデリカミニの世界観を感じていただけますが、ぜひ大径タイヤを履く4WDモデルの方に注目していただければと思います」

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新型デリカミニのインパネ

一方のインテリアや使い勝手について、チーフ・プロダクト・スペシャリストの藤井康輔氏は、標準装備の撥水シート、PPV仕様の後席シートバックの採用によるユーティリティ性の高さをアピールしています。

後席スライドやハンズフリーオートスライドドアの使い勝手の高さ、多彩な収納スペースなどにより、アウトドアや日常使いでの利便性の高さも上げています。

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両側スライドドアを採用

運転もしやすく、シートポジションを最適化させ、アイポイントを高めにすることで、良好な前方視界、周囲を見渡せる視界を確保。

パドルシフトやシフトレバー、各種スイッチも操作しやすい形状と節度感を備え、ヒルディセントコントロールの搭載により、急な下り坂でもスイッチ操作ひとつでブレーキを制御し、ハンドル操作に専念できるなどの安心感もアピールポイントと説明しています。

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新型デリカミニのシフトレバーまわり

なお、走り込みも自車テストコース内のオフロードコースでも徹底的に行い、とくに4WDモデルは、キャンプやスキーなどのアウトドアレジャーでも頼れる走行性能が確保されているようです。

(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠、塚田 勝弘、三菱自動車)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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