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■発進停止以外クラッチ操作不要なクイックシフター
クルマはMTで操作してこそ楽しい! と主張する方は少なくありません。クラッチとシフトチェンジのタイミングがピッタリ合うのが楽しいんだ、といった話を聞いていると、それこそバイクに乗ればいいのにと思います。
スクーターや電動バイク、そして一部の大型バイクを除くと、ほとんどの二輪車はクラッチを備えたガチのMTばかりだからです。
とはいえ、スーパースポーツ系にカテゴライズされるスポーツモデルでは、速く走るためにクラッチを使わなくて済む機能を備えていることがあります。
それが「クイックシフター」などと呼ばれるもので、じつは筆者の愛機であるCBR1000RR-R FIREBLADE SPにも備わっています。おかげで、シフトアップ・シフトダウンの操作時には、左手で操作するクラッチレバーを基本的に触ることはありません。
左足によるシフト操作をセンサーで検知、エンジン制御によりスムースで素早いシフトチェンジを実現してくれます。基本的には0.001秒を競うモータースポーツ向けの機能ですが、筆者のようなリターンライダーは街乗りでもクイックシフターの恩恵にあずかりまくりです。
●クラッチ操作の99%は信号待ち?
ただし、クイックシフター機能は「発進・停止を除く」という条件があります。市街地を走っていて赤信号で止まるのは日常ですが、そうしたときには減速しながらクラッチレバーを握って停止。信号が青に変わったら、右手でアクセルをひねりながら左手でクラッチ操作をして発進します。
おかげで、信号待ちの間ずっと左手はクラッチレバーを握っていることになってしまいます。
いやいや、信号待ちはN(ニュートラル)に入れておけばクラッチレバーを握っておかなくとも大丈夫だろう、というご指摘もあるでしょう。筆者もそうしたいのはやまやまですが、身長165cm(これでも最近、2cm伸びた)と低身長かつ、股下が短めという体型のために、停止中にNから1速に入れるというシフト操作が苦手なのでした。
バイクの運転シーンを想像していただければわかると思いますが、信号待ちでは右足はリヤブレーキを踏んで、左足でバイクを支えることになります。Nから1速に入れるには、右手でブレーキをかけ、右足を地面について、左足でシフト操作をしなければなりません。
●低速での半クラッチは減らせるが…
足つきに不安のない方にとっては、なんてことのない操作でしょうが、低身長を顧みず憧れだけでシート高830mmというリッタースーパースポーツに乗っていると、バイクを支える足を入れ替えるときに、やじろべえのようにどちらの足もついていない時間がけっこう長くなってしまい、これが不安なのです。
結果として、減速するときに1速に入れておいて、停止中はクラッチを切った状態で待つというのが安心できるのでした。つまり、信号待ちの多い街乗りをしていると、最初に左手の疲労が訪れるということになってしまいます。
四輪では、かつてトヨタMR-Sにクラッチ操作のみ機械がやってくれて、シフト操作自体はすべて人間が担うというトランスミッションが採用されたことがありました。クイックシフターを備えたリッタースーパースポーツも発進・停止時にもクラッチ操作不要となるような機構が入ってくれると、もっと毎日乗りたくなるのになぁと思います。
ちなみに、渋滞などの低速走行についても、基本的には半クラッチが必要なのですが、最近ではクラッチは完全につないで、アクセルとリヤブレーキで速度を調整するようにしているので、左手の負担は軽減しています。
ただしリヤブレーキ(パッド)の負担はかなり増えているようなので、左手の疲労を減らしたぶんだけメンテナンスはしっかりしないといけません。
負担軽減をお金(メンテナンスコスト)で買っているわけです。ある意味、リターンライダーらしいスタイルなのかもしれません。