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■大型ツアラー「トレーサー9シリーズ」のフラッグシップ
ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)は、イタリアのミラノで開催されているEICMA2022(通称ミラノショー、2022年11月8〜13日)で、新型の大型スポーツツアラー「トレーサー9GT+(TRACER9 GT+)」を発表しました。
888cc・直列3気筒エンジンを搭載するスポーツツアラー「トレーサー9GT」をベースとする新型は、最新デバイスを充実させ、ヤマハ製ツーリングモデルのフラッグシップとして開発されたバイクです。
トレーサー9GT+は、新たにミリ波レーダーを搭載。レーダーと連携する新型ブレーキシステム「UBS」や、高速道路などで前走車と一定の間隔を自動で保ちながら追従するACC(アダプティブ・クルーズコントロール)など、先進機能を満載しています。
しかも、このモデルは日本でも2023年夏以降に発売されるといいます。
●数々の新技術を投入するスポーツツアラー
ヤマハのトレーサー9シリーズは、ネイキッドモデル「MT-09」をベースに開発された、2015年発売の「MT-09トレーサー」を元祖に持つ、ヤマハの大型スポーツツアラーです。
2018年に、モデル名を「トレーサー9」と変更。現在は2018年に追加した上級モデルの「トレーサー9GT」のみを国内でラインアップしています。
2021年にモデルチェンジを受けた現行モデルのトレーサー9GTは、最高出力120ps/最大トルク93Nmを発揮するトルクフルな888cc・直列3気筒エンジンをCFアルミダイキャスト製の軽量フレームに搭載。
軽量・高剛性のスピンフォージド・ホイール、電子制御サスペンションなど、数々の新技術を投入することで、高いスポーツ性能と実用機能を両立していることが特徴です。
●レーダー連携ブレーキシステム「UBS」とは?
そのトレーサー9GTの上級バージョンとして登場する新型トレーサー9GT+では、まず、レーダー連携ユニファイドブレーキシステム「UBS」を採用しました。
これは、ミリ波レーダーとIMUが感知した情報をもとに、前走車との車間に対し、ライダーのブレーキ入力が不足している場合、前後配分を調整しながら自動でブレーキ力をアシストする機能。
ブレーキだけでなく、電子制御サスペンションとも連動させることで、ライダーに負担の少ないフィーリングを実現しているといいます。
なお、ミリ波レーダーとUBSの連携した機能はモーターサイクルでは世界初。まさに、先進の技術を採用しているモデルといえます。
加えて、ACC(アダプティブ・クルーズコントロール)も新採用。これは、高速道路などで先行車両に追いつくと、一定の車間を保って追従走行を可能とするもの。
4輪車ではかなりおなじみですが、バイクではまだまだ採用例がすくない機能ですね。なお、ヤマハ製のモーターサイクルとしても初採用となります。
ほかにも、加速時、減速時に関わらず、シフトアップ&ダウンに対応する第3世代の新型クイックシフターも装備。
イルミネーションライト装備の新ハンドルスイッチや、スマートフォンとの接続によりナビゲーション機能も使用可能な7インチ高輝度TFTメーターなど、充実した装備が満載です。
しかも、前述の通り、欧州だけでなく、日本にも2023年夏以降に導入されるといいますから、かなり注目ですね。先進装備の採用で、どのように安全性が向上し、快適な乗り味を実現しているのか、今からとっても楽しみです。
(文:平塚直樹)