量産車世界初、F1由来の「エレクトリック・エグゾーストガス・ターボチャージャー」を採用する、メルセデスAMG C 43 4MATIC+が発売

■2.0Lターボエンジンで1000万円超えの価格設定も納得のハイテクエンジン

2022年10月22日(土)、メルセデス・ベンツCクラスのセダンおよびステーションワゴンに、スポーツモデルの「メルセデスAMG C 43 4MATIC+(以下、C43)」が追加されました。

メルセデスAMG C 43 4MATIC
セダン、ステーションワゴンに設定された「メルセデスAMG C 43 4MATIC」

C43の注目点はまず、直列4気筒エンジンとして初めて「One man, One engine」の主義に則り、熟練のマイスターが手作業で丹念に組み上げた「M139」型が搭載されていること。

最高出力408PS(300kW)、最大トルク500Nmを発揮するユニットにより、力感あふれる走りを享受できます。

そして、この「M139」には、量産車としては世界初となる「エレクトリック・エグゾーストガス・ターボチャージャー」が採用されているのが、最大の見どころ。

同ターボはF1直系の技術で、「メルセデスAMGペトロナスF1チーム」がモータースポーツの最高峰であるF1で長年採用し、実績を上げてきたシステムをベースとするものだそう。

メルセデスAMG C 43 4MATIC
「C43」のステーションワゴンのエクステリア

使用するモーターは厚さ約4cmで、排気側のタービンホイールと吸気側のコンプレッサーホイールの間のターボの軸に直接一体化されています。このモーターが電子制御によりターボチャージャーの軸を直接駆動し、コンプレッサーホイールを加速。通常のターボと同様に、排気の流れによってコンプレッサーホイールが駆動されるまでモーターによる駆動が行われます。

これにより、アイドリング時から高負荷域までの全エンジン回転域にわたって、ハイレスポンスを実現。アクセル操作に対するエンジンレスポンスがより自然になり、ダイナミックな走りをもたらします。

さらに、ターボの電動化は低回転域のトルクを高める効果をもたらし、俊敏性や発進性、加速性の向上にも貢献。なお、アクセルから足を離したり、ブレーキを踏んだりした場合でも「エレクトリック・エグゾーストガス・ターボチャージャー」は、常にブースト圧を維持することが可能であるため、素早いレスポンスが途切れることなく得られるということです。

●ターボは48Vシステムを電源として使用

このターボは、48Vシステムを電源として使い、最大17万5000rpmまで動作することで、非常に高い空気流量を可能としています。また、ターボとモーター、電子制御ユニットはエンジンの冷却システムに接続されていて、常に最適な温度管理が行われています。

メルセデスAMG C 43 4MATIC
「C43」のセダンのリヤビュー

C43のBSGは第2世代になり、48Vシステムの中ではマイルドハイブリッドとしても機能します。短時間ではあるものの、出力を10kW(16PS)高めるブースト機能も実現。セーリングモードや回生ブレーキによる高効率化も図られています。

同時に、48Vテクノロジーにより、ECOスタートストップ機能やセーリングモードへの切り替えがほぼ感じられないほど滑らかに行われるそうで、快適な走りにも寄与します。

メルセデスAMG C 43 4MATIC
メルセデスAMG C 43 4MATICのインパネ

トランスミッションは、従来は最上級仕様の63モデルにのみ搭載されていた「AMGスピードシフトMCT(9速AT)」が、43モデルに初めて搭載されています。

トルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチが積まれ、ダイレクト感のある素早いシフトチェンジと高い伝達効率を実現。トルクコンバーターのロスを低減するとともに、軽量化もあいまってレスポンス向上に貢献します。

ほかにも、シフトダウン時の自動ブリッピング機能やレーススタート機能が、ダイナミックな走りを支えています。

さらに、高速走行時などにアクセルから足を離すと、エンジンとトランスミッションを切り離して燃料消費を抑えるセーリング機能により、省燃費を優先する「Comfort」、よりスポーティなドライビングを享受できる「Sport」「Sport+」、滑りやすい路面を安全に走行する「Slippery」、様々なパラメーターを個別に設定できる「Individual」の5つのモードが設定されています。

●駆動方式は前後トルク配分が「31:69」の「AMG 4MATIC」

パフォーマンス志向のフルタイム四輪駆動システム「AMG 4MATIC」は、前後トルク配分が「31:69」というAMG独自の後輪重視型になっています。ダイナミックなハンドリングが得られるだけでなく、加速時のトラクションも向上されています。

メルセデスAMG C 43 4MATIC
メルセデスAMG C 43 4MATICのインテリア

さらに、ハンドリングと操縦安定性を高める後輪操舵システム「リヤ・アクスルステアリング」が標準装備され、約100km/h以下では後輪を前輪とは逆方向に最大約2.5度傾け、取り回し性を向上。約100km/hを超えると、後輪を前輪と同じ方向に最大約0.7度操舵することで、走行安定性を大きく高めます。

そのほか、AMG RIDE CONTROLサスペンション、高性能ブレーキシステム、AMGパフォーマンスステアリングホイール、AMGエグゾーストシステム、AMGリアルパフォーマンスサウンド、Burmester 3Dサラウンドサウンドシステムなどの専用アイテムが備わるほか、先進安全装備も完備されています。

●車両本体価格

メルセデスAMG C 43 4MATIC:1116万円
メルセデスAMG C 43 4MATICステーションワゴン:1146万円
※いずれもBSG搭載モデル、ステアリング位置は左/右両方に対応

塚田 勝弘

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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