トヨタ「クラウン」5代目デビュー。洗練された原点回帰スタイルで成功へ【今日は何の日?10月25日】

■5代目「クラウン」は4代目の不評だったスタイルイメージを払拭

1974(昭和49)年10月25日、トヨタの高級車「クラウン」の5代目がデビュー。個性的過ぎたスタイルが不評で販売が低迷した4代目のイメージを払拭するため、わずか3年8ヶ月でフルモデルチェンジして登場した5代目。原点回帰によって、落ち着きと風格、上質感を重視したスタイリングで、人気を復活させることになりました。

1974年に登場した5代目クラウンハードトップ。スポーティな角目2灯のヘッドライト (C)Creative Commons
1974年に登場した5代目クラウンハードトップ。スポーティな角目2灯のヘッドライト (C)Creative Commons


●クラウンの誕生と4代目までの歴史を振り返る

・初代クラウン誕生(1955年~1962年)

1955年にデビューした初代クラウン「トヨペットクラウン」。日本初の純国産乗用車。
1955年にデビューした初代クラウン「トヨペットクラウン」。日本初の純国産乗用車。

1955年1月7日、完全オリジナルの純国産車として、初代クラウン「トヨペットクラン」が誕生。当時は、国産車と言っても名ばかりで、GMやフォードの部品と技術を使って組み立てるだけのクルマでした。

しかし、クラウンは純国産車。歴史的にも大きな意味を持った存在となりました。世界に通用する乗用車を目指して、初代クラウンには多くの新しい技術が採用され、当時の外国部品で組み立てた国内車より優れていました。

・2代目クラウン(1962年~1967年)

初のモデルチェンジによって、より広く、長く、低いヨーロピアンスタイルに変貌。高速道路の整備が進む中、高剛性の“X型プラットフォーム”を採用していました。国産初のV型8気筒エンジンを搭載した「クラウン・エイト」も登場しました。

・3代目クラウン(1967年~1971年)

“ペリメーター・フレーム”を採用し、低床化を実現。静粛性や乗り心地を改良し、公用車でなく個人ユーザーへの拡販を狙って、白いクラウンキャンペーンなどを積極的に推進。さらに2ドアハードトップを追加して、高級パーソナルカーのイメージをアピールしました。

・4代目クラウン(1971年~1974年)

1971年発売の4代目クラウン、個性的過ぎて不評
1971年発売の4代目クラウン、個性的過ぎて不評

4代目の車名から、トヨペットが外されてトヨタ・クラウンに改称されました。

スピンドルシェイプと呼ぶ、先進的かつ個性的なスタイリングが採用されましたが、個性的過ぎたため、落ち着いた保守的なユーザーには受け入れられませんでした。1955年以来守り続けてきたクラストップの座を、日産自動車の「セドリック/グロリア」に明け渡し、3年の短命で終了しました。

●落ち着きのある高級感へ立ち帰った5代目クラウン

4代目のイメージを払拭すべく、わずか3年8ヶ月で5代目クラウンが登場。4ドアセダンと2ドアハードトップに、4ドアピラードハードトップも追加されました。

5代目クラウンセダン。丸目4灯ヘッドライト (C)Creative Commons
5代目クラウンセダン。丸目4灯ヘッドライト (C)Creative Commons

スタイリングは、ロングノーズ/ロングテールで、セダンは落ち着いたイメージの丸目4灯ヘッドライト、ハードトップはスポーティなイメージの角目2灯ヘッドライトを装備。インテリアは、余裕の室内空間に上質の素材を使ったシート、遮音による防音対策など、快適さ、静粛性が大幅に改善されました。

パワートレーンは、2.0L&2.6L直6 SOHCのキャブ仕様とEFI仕様のエンジンと、3速/4速ATおよび3速/4速/5速MTの組み合わせ。後に追加された世界初のオーバードライブ付き4速ATは、大きな注目を集めました。

スタイリッシュで風格あるスタイルと豪華なインテリア、優れた走りなど、クラウン本来の高級感を復活させた5代目クラウンは、順調に販売を伸ばし、1万台/月を超えることもありました。もちろん、トップの座を奪回しました。


2022年9月から販売が始まった16代目クラウン(クロスオーバー)
2022年9月から販売が始まった16代目クラウン(クロスオーバー)

冒険しすぎた4代目の反省を踏まえて、オーソドックスで落ち着いたスタイリングに原点回帰して成功した5代目。

先だっては大胆に変貌した16代目クラウンが市場に登場。飛びつく人もいそうですが、離れる人もいそうです。もう少し様子を見ないと、成功かどうか分かりませんね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

この記事の著者

Mr. ソラン

Mr. ソラン 近影
某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きなクルマで、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。