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■旧車のパーツに関するアンケート調査
近年、国産スポーツカーを中心に盛り上がりをみせている旧車ブームですが、旧車のパーツは製造が終了しているものも多く、残った在庫も数が少なくなっていることも現状です。
そのため、旧車を手放す理由として「部品が手に入らないから」ということを挙げる人もいるようで、旧車の維持はなかなか大変なようです。
そんな中、旧車に特化した買取サービス「旧車王」を運営するカレント自動車では、旧車に興味のある204名を対象に、旧車パーツの入手方法や今後の動向などについて、アンケート調査を実施。
その結果、旧車をオリジナルで乗りたい人が63.7%と過半数以上を占める一方、愛車のパーツが今後なくなることを不安に感じている人も多いことなどが分かりました。
●旧車好きは販売当時の状態を保ちたい人が多い
今回の調査は、2022年8月18日〜2022年8月28日の期間、インターネットのアンケート形式で行われたものです。また、ここでは2010年以前のクルマを旧車と定義しています。
調査では、まず「旧車はオリジナルで乗りたいですか? カスタムしたいですか? 」という質問を実施。結果は、
・「オリジナルで乗りたい」 63.7%
・「カスタムしたい」 36.3%
と、オリジナル派が圧倒的多数でした。
やはり旧車は、販売された当時の状態を保ったオリジナルで乗りたいと考える人が多いようです。ということは、旧車のパーツも、なるべく純正品を使いたいと考える人が多いことがうかがえます。
●旧車パーツの入手方法で多いのは?
次に、調査では、「旧車パーツの入手方法について教えてください」という質問を実施。結果は以下の通りです。
1位:「ネットオークションやフリマ」 121票
2位:「ディーラーから買う(復刻パーツ含む)」 85票
3位:「ネット通販」 84票
4位:「整備工場」 45票
5位:「部品取り車」 32票
6位:「海外のサイト」 28票
7位:「知人から」 25票
8位:「そのほか」 9票
最も多い回答を集めたのは「ネットオークションやフリマ」でした。たとえば、ヤフオクやメルカリなどのサイトはクルマのパーツの取り扱い数も多く、利用者も多いようですしね。また、ヤフオクでは、クルマを売却などで出品するために利用している人も多く見られます。
2位は「ディーラーから買う(復刻パーツ含む)」。もし、まだメーカーからパーツが販売される車種であれば、純正品が入手できますし、車種は限られますが、最近は各社メーカーで旧車のレストアサービスや復刻パーツ(ヘリテージパーツ)の販売も行っていますからね。
また、3位は「ネット通販」がランクイン。2位と僅差でしたが、この場合は、純正パーツの入手というよりも、どちらかといえばカスタムパーツの入手でしょうか。
純正品がなくなるなどでパーツの入手が困難な車種などであれば、内装の小物や灯火類などなら、ちょっとしたカスタムパーツを使うのも手ですからね。
ちなみに、「そのほか」の回答の中には、「自分で設計/製造」「中古部品商」「解体屋から買う」などがあったそうです。欲しいパーツが簡単に手に入らない場合、工夫して調達されていることが推察できます。
●旧車のパーツ入手に困っている人も一定数いる
調査では、さらに、「乗っている旧車のパーツが今後なくなることについて、不安を感じていますか?」という質問も実施。その結果は、以下の通りです。
1位:「はい」 62.7%
2位:「いいえ」 16.2%
3位:「すでに困っている」 16.2%
4位:「わからない」 4.9%
「はい」と回答した人が62.7%と最多なことから、今乗っている旧車のパーツが今後なくなることに不安を感じている人がかなり多いことが分かります。
旧いクルマはすでに製造がされていないパーツも多く、中古品の数も年々減っていますから、今後も旧車に乗り続けたい人にとっては、やはり不安は大きいようです。
ちなみに、特に不安を感じていない「いいえ」と答えた人と、「すでに(パーツがなく)困っている」と答えた人はどちらも16.2%。
不安を感じていない人の場合は、純正品にこだわらず、代用できる部品などを使っていることがうかがえます。
また、すでに困っている人も一定数いることで、車種によっては調達が困難な旧車パーツがすでに多いことも分かります。
●メーカーの復刻パーツは対象車種が少ない
このように、今回の調査をみるかぎりでは、旧車はオリジナルで乗りたい人が多く、それゆえ今後旧車のパーツがなくなることに不安を感じている人も多いということが分かります。
前述の通り、最近は、国内の各メーカーで復刻パーツの販売やレストアサービスを展開していますが、まだまだ対象車種が少ないのも現状です。
ちなみに、現在、国内メーカーが行っている主なサービスは次の通りです。
まず、トヨタが行っている「GRヘリテージパーツ」という純正パーツの復刻販売サービスでは、対象車種が「2000GT」(1967年〜1970年)、「スープラ」のA70型(1986年〜1993年)とA80型(1993年〜2002年)、「カローラレビン・スプリンタートレノ」のAE86型(1983年〜1987年)、それに「ランドクルーザー40」(1960年〜1984年)。
日産の純正パーツ復刻販売サービス「NISMOヘリテージパーツ」は、対象車種が「スカイラインGT-R」のR32型(1989年〜1994年)、R33型(1995年〜1998年)、R34型(1999年〜2002年)。
ホンダでは、「ビート」(1991年〜1996年)の純正パーツ復刻販売サービスを実施。
マツダは、「ロードスター」の初代「NA型」(1989年〜1998年)のレストアと復刻パーツ販売サービス。また、「RX-7」のFC型(1985年-1992年)とFD型(1991年〜2003年)の純正パーツ復刻販売サービスも行っています。
このように、まだまだメーカーによる、旧車の復刻パーツ販売は対象車種が限られていることが分かります。
国産車には、まだまだ名車と呼ばれるモデルは数多くありますし、「日本のクルマ文化」を後世に伝えるためにも、ぜひ対象車種が拡大されることを期待します。
(文:平塚直樹)