ドライブレコーダーに記録は残されていた。あおり運転された実体験を報告します

■判断難しいあおり運転が記録に残っていた

あおり運転の報道は残念ながら絶えることがありません。むしろ、ドライブレコーダーの普及で増えているようにさえ思えます。テレビ局なども、ドライブレコーダーの衝撃映像は数字が取れるのか、意図的に増やしている感も否めません。

あおり運転のイメージ
あおり運転のイメージ

ところで、高速道路を走っている時、「あー、あのクルマやけに車間距離短いな」と思うことは日常茶飯事。衝突のリスクを下げるためにも、自分の運転による精神のすり減らしを防ぐためにも、車間距離が短いのは百害あって一利なし、と言えるでしょう。もし、間に車両が割り込んできても、到着時間やその他に大きな影響は無いはずです。

そんな中、とあるロケの帰り道、先日高速道路を運転中、あおり運転される経験をしました。

状況は、平日の夕方近く、関東のとある高速道路の東京方面へ向かう上り線で、3車線がまんべんなく埋まって流れているくらいでした。追い越し車線も前車にすぐ追いついて詰まり気味で流れている感じです。

こちらは、一番右側の追い越し車線をACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を100km/hにセットして走っていました。が、順調に流れたり、やや前車との距離が縮まるなどで、おそらく80-100km/hの間で走っていたと思います。

なので、走行車線と追い越し車線の速度差はあまりなく、場合によっては追い越し車線の流れが中央の走行車線より遅くなることも時々あるような状態です。

ある時、左前方を走るセダンの動きが少し変だなと思いました。前車に近づいたり離れたり、速度を一定にしていないのがよくわかります。こちらは追い越し車線を走っていたのでそのセダンを抜いたのですが、その後に車線変更をしてセダンは私の後ろを走ることになりました。

数分くらいは随分と車間距離を空けて走るなぁ、というのがバックミラー越しにわかります。けれど、しばらくすると、突然加速を始め、みるみるバックミラーのセダンは大きくなってくるではありませんか!

●後続車が見る見る接近。ドライブレコーダーは捉えていた

1.あおり判定の20秒前。加速しています
1.あおり判定の20秒前。加速しています
2.近付きながら、やけに右寄りを走っています
2.近付きながら、やけに右寄りを走っています
3.車間距離を最短に詰めた状態が3-4秒続いて記録されました
3.車間距離を最短に詰めた状態が3-4秒続いて記録されました


バックミラーから見て、ヘッドライトが見えないくらいまで近づいて、感覚にして3-4秒程度、後続車が「後ろに張り付いた」感じが続くと、装着されたドライブレコーダーから「チャラン」という警告音が聞こえました。

「後方注意!」
あおり運転を感知すると「後方注意!」のアラート画面が立ち上がる

運転していた車両には、パイオニアがこの春にリリースしたドラブレコーダーユニット「カロッツェリアVREC-DZ800DC」が装着されていました。

その製品の特徴は、後ろに近づいたクルマがあおり運転であると判断した時、ドライブレコーダーの映像を上書きされないように保存するというもの。このとき、車内には記録したという警告音とともに、画面には「後方注意!」の文字が映し出されます。

4.一旦車間を取ったものの、また近づいて来ました
4.一旦車間を取ったものの、また近づいて来ました
5.車間距離は8mの白線プラスアルファくらいの距離です
5.車間距離は8mの白線プラスアルファくらいの距離です
6.車体を右に寄せていわゆるあおりの典型的な様子に見えます
6.車体を右に寄せていわゆるあおりの典型的な様子に見えます


一旦、車間距離を空けていったのですが、その後また近づいてきました。2度目のほうが近く感じます。正直、なんか悪いことしたかな?って気持ちになります。

記録された映像により路面の白線(高速道路の場合、8mの白線と12mの空間で20mを1セットで構成)から推測するに、車間距離は最短で20m以下だったのではないでしょうか。ルームミラーで見る限り、知り合いなら誰だかはっきりその顔から判別できるくらいの見え感です。

一般に高速道路の車間距離は、日本の場合100km/hで100mと推奨されることが多いようです。ただ、これを守っているひとはほとんど見かけません。その他の基準として、全走車の位置に2秒で到達するのが目安とされる例もあります。この場合100km/hでは50m程度となり、まあまあ現実的な数値かもしれません。いずれにしても20mというのは極めて近づいた距離です。

今回、VREC-DZ800DCがあおりと判断したときは、非常に近いな、嫌だな、と感じた適切な距離感だったと思います。

VREC-DZ800DC
カロッツェリア「VREC-DZ800DC」フロントカメラ部

今回、その後トラブルなどに発展しなかったため、ドライブレコーダーの記録が大きく役立ったとは言えませんが、思わぬ経験をした時、ちゃんと記録されているというのはとても安心感に繋がるのを身を以て実感しました。

VREC-DZ800DC
カロッツェリア「VREC-DZ800DC」リヤカメラ部

もちろん、そのときの前方の様子、一般道であれば信号なども同時に記録されているわけですから、確実に記録を残せるドライブレコーダーは、もはや無くては不安だと思えるようになりました。

さらに、これが無謀運転への抑止力となって、安全な交通秩序が保たれることへ繋がってほしいと願いたいものです。皆さんも安全運転を心がけてくださいね。

(小林 和久)

※画像は一部修正してあります。

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この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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