ホンダ「NSX」特設Webサイトで公開。世界を驚かせた誰でも快適に操れる新世代スーパースポーツ【今日は何の日?9月13日】

■ポルシェやフェラーリとは違う、走りと快適性を追求したNSX

1990(平成2)年9月13日、ホンダのスーパースポーツ「NSX」の全貌が、特設Webページで公開されました。高い動力性能と快適さを両立する、これまでのスーパースポーツとは異なる“人間中心のスーパースポーツ”は、世界中のスポーツモデルに衝撃を与えました。

1990年にデビューしたミッドシップスーパースポーツNSX
1990年にデビューしたミッドシップスーパースポーツNSX

●世界初のオールアルミ・モノコックボディに高回転高出力エンジン搭載

当時は部分的にアルミが使われることはあっても、骨格やボディのすべてにアルミを適用したのは、NSXが初めてでした。強度と剛性を維持しながら、加工や溶接技術の難しいアルミを多用すること自体、画期的でした。部位によって5種類のアルミ合金を使い分け、一般的な鋼板ボディに比べて140kg、クルマ全体で200kgの軽量化に成功。車重1350~1390kgいう驚異的な軽量化と高い剛性の両立が実現されました。

最高出力280PSを発揮する3.0L V6 DOHC24V VTECエンジン
最高出力280PSを発揮する3.0L V6 DOHC24V VTECエンジン

エンジンは、ドライバーの背後に3.0L V6 VTECエンジンをミッドシップ搭載。高回転高出力化のために、エンジンをショートストローク化し、超軽量チタンコンロッドやモリブデン鋼のカムシャフトなどF1エンジン並みの材料を惜しみなく使用し、NA(自然吸気)ながら最高出力280PS/最大トルク30.0kgmを発揮しました。

軽量化ボディに高出力エンジンをミッドシップ搭載したNSXは、MT仕様の0→100km/h加速は5.0秒(ATは6.8秒)、最高速度は270km/hと、他を圧倒する走りと安定した操縦安定性を誇りました。

●快適性も追求した誰でも操れる新世代スーパースポーツ

NSXのホールド性に優れた黒基調のシート
NSXのホールド性に優れた黒基調のシート

優れた走りを具現化したNSXですが、扱いにくいスパルタンなスポーツカーでなく、誰でも快適に安全に操れるスーパースポーツを目指しました。オートエアコンや電動パワーシート、パワーウインドウ、BOSEサウンドシステムが装備され、5速MTに加えてスーパースポーツでは珍しい4速ATも用意されました。

さらに、誰が乗っても快適に運転できるように、ドライバーを自然な体勢で座らせることを前提に、人間工学に基づいてペダルやハンドル、メーターなどの位置が決められました。

価格は、800万~860万円とスーパースポーツとしては、安価に設定されていました。

●進化を続けたNSX 、2代目はハイブリッドモデルに

2017年に復活した2代目NSX。パワートレインがハイブリッドへ変更
2017年に復活した2代目NSX。パワートレインがハイブリッドへ変更
1995年にデビューしたNSX-タイプT
1995年にデビューしたNSX-タイプT

デビュー以降も、排気量アップや空力改善など改良を重ね、軽量化によって性能向上を達成した「NSXタイプR」や、脱着式オープントップの「NSXタイプT」、さらにスポーツ志向を高めた「NSXタイプS」といったモデルが追加され、NSXの魅力を高めました。初代NSXは、世界中で約1万8000台が販売され、2005年に生産を終えました。

その後12年の時を経て、2017年に2代目NSXが復活。2代目NSXは、3つのモーターを使ったハイリッドパワートレインで大きな注目を集めました。


ポルシェやフェラーリにはない、誰でも乗りこなせる操縦安定性や快適性を持った、ドライバーに優しいミッドシップのスーパースポーツ、それがNSXでした。中途半端と揶揄する人もいましたが、日本が誇れるスーパースポーツであったことは紛れもない事実です。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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