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■2つのタイプとターボ仕様の追加で、男性ユーザーの獲得も狙う
軽ハイトワゴンで、両側スライドドアを備えた初代ダイハツ・ムーヴ・キャンバスは、2016年9月に発売されました。ホンダN-BOXやスズキ・スペーシアなどに代表される軽スーパーハイトワゴン、あるいはかつてのダイハツ・タントほどの売れ行きまではいかなくても、スマッシュヒットといえる人気を獲得。
主に女性ユーザーをターゲットに据え、軽ハイトワゴンの両側スライドドアというジャンルも確立し、ヒットの鉱脈を探り当てました。
初代は「母娘」で共用するというユーザーを想定し、若年層を中心に支持されたそう。初代のモデルライフは6年近くになり、月間販売目標台数の5000台を超える平均5600台で推移。初代の累計販売台数は38万台超となっています。
初代ムーヴ・キャンバスから遅れること5年後に発売されたスズキ・ワゴンRスマイルは、全高こそ若干異なるものの、コンセプトは似ていて、ワゴンRシリーズの販売増に貢献しています。
ムーヴ・キャンバスもワゴンRスマイルも、スーパーハイトワゴンほどの室内高の広さはないものの、大人4人が座っても窮屈感を抱かせないキャビンの広さを備え、両側スライドドアと低床設計による乗り降りのしやすさ、積載性の高さを備えています。
主に2人までの乗車が多いユーザーから小さな子どもさんが2人いるファミリー層まで、十分に対応してくれる利便性の高さも備えています。
それでいて、スーパーハイトワゴンやタントほどのファミリーテイストではなく、パーソナル感も抱かせるのも魅力。
●男性ユーザーも狙った上質でシンプルな「セオリー」を設定
2代目のムーヴ・キャンバスは、こうした美点をさらに磨き上げているのが特徴です。新型ムーヴ・キャンバスは、「母娘」で共有するイメージの女性ユーザーをメインとしながらも、シンプルで大人の雰囲気が漂う「セオリー」という新タイプを設定。
初代からの買い替えやメインの女性客には、新たに「ストライプス」と命名された、可愛らしくもすっきりしたイメージの初代の進化系を設定しています。さらに、初代になかったターボ仕様を設定することで、男性ユーザーも含めたより幅広い層に訴求しています。
新タイプの「セオリー」は、モノトーンのボディカラーのみで、「ストライプス」は、ホワイトルーフなどが目を惹く、文字どおりストライプの2トーンカラー(「ストライプスカラー」)のみとなっています。
インテリアカラーは、「セオリー」がシックなブラウン基調でネイビーとの2トーンを採用。「ストライプス」がボディカラーとコーディネイトされたホワイト基調の2トーンとなっています。
初代が登場した際は、「可愛い」という価値観にアピールしていましたが、2代目の「ストライプス」は可愛いだけでなく、すっきりしたデザインも含めてシンプルさも抱かせます。
新設された「セオリー」は、シックな内外装のカラーに加えて、セオリー専用のメッキ調のピンストライプやメッキリヤバンパーモールを備えることで、上質感をアピール。
「セオリー」の内装には、本革巻ステアリングホイールやTFTカラーマルチインフォメーション、本革巻シフトノブなども用意されています。
●軽初を含めた多彩なポケッテリアを用意
使い勝手の面では、初代から好評の「置きラクボックス」を踏襲しながら、片手で2ステップで立ち上がる機構に進化。手荷物を床に直接置くのではなく、後席下の引き出し式収納に置けるアイディア装備です。
さらに、前席裏のユーティリティフックは耐荷重3kgで、エコバッグなどを掛けることができます。
収納系の装備で軽初となるのが、保温機能を備えた「ホッとカップホルダー」。室温25度前後なら約2時間、飲み物を42度で維持できるため、冬でも冷めずに温かい物を楽しめます。身体を冷やしすぎない、いわゆる「温活」に対応してくれる機能です。
さらに、スマホが置けるインパネセンタートレー、インパネアッパーボックスなどが設定されています。
そのほか、前席両側のシートヒーター、電動パーキングブレーキ&オートブレーキホールド機能、360°スーパーUV&IRカットガラスなどの快適、便利装備も充実。
最新のディスプレイオーディオの設定もトピックスです。ワイヤレスで「Apple CarPlay」に対応するほか、エアコンやオーディオ操作も可能な音声認識機能、ワイヤレス充電のQiなどに対応。ディーラーオプションで、10インチナビやドライブレコーダーなども設定されています。
●後席は左右別々にスライド、リクライニングが可能
乗降性にも磨きが掛けられています。両側スライドドアに「タッチ&ゴーロック機能」「ウェルカムオープン機能」が新たに設定され、両手が塞がっている際などもラクに乗降できます。
また、後席は、左右別々に240mmのロングスライドに加えて、左右別々にリクライニングも可能です。身長171cmの筆者が運転姿勢を決めた後方には、こぶしを縦にして膝前に3つ半、頭上に2つほどの余裕が残ります。頭上も足元空間も、国産コンセプトカーを超える広さを確保。
後席は、背もたれの天地高はもちろん、座面の前後長も長く、実測で約52cmの前後長が確保されています。
荷室は開口高も広く、荷物の出し入れもしやすそうで、奥行きはスライドで調整できます。後席背もたれを前倒しした際は、完全にはフラットにはならず少し斜めになるものの、実用上、大きな影響は少ないはず。後席は座面の厚みもあり、床面から座面先端までの高さ(ヒール段差)も確保されているため、座り心地優先の設計といえそうです。
さらに、座面床下にラゲッジアンダーボックスを備え、フロアボードを後席ヘッドレストにストラップで固定することで、観葉植物などの大きな荷物も安定して積み込めます。
●価格帯:149万6000円〜191万9500円
(文:塚田 勝弘/写真:ダイハツ、塚田 勝弘)