日産マーチのオープンモデル「マイクラC+C」が日本デビュー。欧州で人気のクーペカブリオレ【今日は何の日?7月23日】

■1500台の日本限定販売

2007(平成19)年7月23日、日産自動車はNMUK(英国日産自動車製造)で製造され、2005年11月から欧州で発売されていたマーチのオープンモデル「マイクラC+C」を日本で発売。「マイクラ」は、コンパクトカー「マーチ」の海外名で、ベースとなったのは3代目マーチです。

2007年に日本でデビューしたマイクラC+C(欧州は2005年から発売)
2007年に日本でデビューしたマイクラC+C(欧州は2005年から発売)

●コンパクトカーの世界戦略車として成功したマーチ

マーチは、世界に通用するハッチバックのコンパクトカーとして、1982年10月にデビューした世界戦略車です。洗練された親しみのあるデザインと運転のしやすさが人気を呼び、コンパクトカーのパイオニアとして高い評価を受けました。さらに1992年に登場した2代目マーチは、欧州と日本で「カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど人気を不動のものにしました。

2002年にデビューした3代目マーチ
2002年にデビューした3代目マーチ

2002年に登場した3代目マーチは、キープコンセプトながら2代目よりさらに丸みを持つエッジを効かせたデザインを採用。新たに開発した1.0L、1.2L、1.4Lの4気筒エンジンは、低燃費、高出力を実現し、初年度の販売は平均1万台/月を超え、その後も安定して5000台をキープする人気モデルとなりました。

●3代目マーチにガラスルーフのハードトップを乗せた小粋なオープンモデル

マイクラC+Cは、欧州で2005年11月から販売されて好評だったことから、約2年遅れで日本での発売になったものです。マイクラC+CのCは、「クーペ+コンバーチブル」の略です。

マイクラC+Cの電動ルーフ。トランクスペースが確保されている
マイクラC+Cの電動ルーフ。トランクスペースが確保されている
マイクラC+C(フルオープン時)
マイクラC+C(フルオープン時)

3代目マーチの小粋なスタイルはそのままですが、車高は110mm下げ、全長は90mm延長されました。注目のガラスルーフは、欧州のオープンカー製造で定評のあるドイツ・カルマン社が開発を担当。ボタンひとつで操作できるルーフの開閉時間は約22秒で完了します。パワートレインは、日本製マーチには設定されていない1.6L直4 DOHCエンジンと、5速MTおよび4速ATの組み合わせ。駆動方式は、FFのみですが、剛性を高めたボディによって快適な乗り心地と軽快な走りが魅力でした。

2010年8月に、限定販売1500台を達成して日本での販売を終了しました。

●英国の合意なきEU離脱問題もひとまず収束

NKUKは、1984年に英国タインアンドウィア州サンダーランド市に設立された日産の欧州生産拠点です。最初の生産車は「ブルーバード」、その後「プリメーラ」、「アルメーラ(日本名:ブルーバードシルフィ)」、1992年からはマイクラの生産を始めました。

その後も「ノート」、「インフィニティQ30」、「キャッシュカイ」、「ジューク」、「リーフ」と順調に増産していきました。ところが、2019年に起きた英国の「EUからの合意なき離脱」問題で、ホンダは英国生産撤退、日産も生産縮小というニュースが飛び込んできました。英国がEUから離脱すれば、英国生産であってもEUに輸出する場合に関税がかかり、大きな打撃を受けてしまうことが危惧されたのです。しかし結局のところ2020年、英国はEUから今まで通り関税ゼロを勝ち取って、まだ楽観視はできないものの、ひとまず大騒ぎは収束しました。ホンダは英国から撤退しましたが、日産は現在リーフの生産を増やし、またリチウムイオン電池の工場を建設予定だそうです。


オープンモデルが登場すると注目は集まるものの、数が出ないため、いつの間にか姿を消すということがよくあります。ファンが限定されるモデルを長きにわたり生産することは難しいですが、マツダの「ロードスター」のように、長くブランドを維持しているオープンもありますね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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