新しいクラウンはSUVになる?セダンはなくなった?識者はどう見るのか、発表会に出かけてみた

■今度のクラウンは明治維新

新型クラウン発表会
発表会場のエントランスには歴代クラウンがずらり
新型クラウン発表会
初の日本製本格乗用車として登場した初代クラウン

この数ヵ月、クルマ好きの心をざわつかせてきた次期型クラウン。セダンがなくなるとか、SUVになるとか、「え、それでもクラウンなの?」と思わせるようなニュースが飛び交っていました。その決着を見届けようと、発表日の7月15日、会場の幕張メッセに足を運んでみました。

「うおー」といきなり声が出たのは、発表会場手前に用意されたエントランス。通路を挟む形で、歴代クラウンがずらりと並べられていたのです。

クラウンは、日本車初の本格乗用車として1955年にデビューしました。その記念碑ともいえる初代を筆頭に、自家用車時代を予見して白いボディをアピールした3代目や、「いつかはクラウン」という名コピーを生んだ7代目、ニュルブルクリンクで足回りを鍛えた「ゼロクラウン」の12代目など、15代、67年にも及ぶ歴史はすごいのひと言。

新型クラウン発表会
歴代クラウンの映像を前にスピーチする豊田章男社長

肝心の発表会も、その歴史を受け止めるように始まりました。オープニングムービーは、歴代主査(開発責任者)の言葉を紹介する形で15代のクラウンの歴史を紹介。そこに登場した豊田章男社長も主だった主査の偉業を取り上げ、新しいクラウンがそのレガシィの延長線上にあることを強調します。

いっぽうで豊田社長は「江戸時代の徳川家も15代。16代目となる新型クラウンはいわば明治維新です」とも語り、今度のクラウンが決定的に新しい価値観を身に着けたことも強くアピールしました。

●4つのボディがある「クラウン・ファミリー」

新型クラウン発表会
左からクロスオーバー、スポーツSUV、セダン、エステートというボディタイプ

そして豊田章男社長のコールとともにステージ奥から姿を現したのは、4つのボディ形状を持つクラウン。クロスオーバー、スポーツSUV、セダン、エステートという、乗用車の主要マーケットをがっちり押さえる「クラウン・ファミリー」の誕生です。

とはいえ、エクステリアのデザインは過去のクラウンとは完全なる別物。ボディカラーも赤や黄色がラインナップされ、従来の「おじさま向け」といった印象はまるでありません。日本市場にはまずクロスオーバーが導入されるそうですが、これだけバリエーションがあればスクープ情報も錯綜するわけです(笑)。

さて、クロスオーバーの詳細は他記事にゆずるとして、今回のクラウンのポイントをまとめると以下のようになるでしょう。

新型クラウン発表会
新型クラウンのプレゼンを行う中嶋裕樹ミッドサイズ・ビークル・カンパニー・プレジデント

・ライフスタイルの多様性に合わせて車型を見直した
・当初はセダンとクロスオーバーというラインナップだけだったが、開発陣からスポーツSUVとエステートの提案があり4車型となった
・FFプラットフォームを採用するが4WDとすることで新しい走りの楽しさを提案
・世界およそ40の国と地域に輸出され、量産規模は20万台に達する
・4車型の発売順序や時期、販売地域については未定

つまり新型クラウンは世界各国に輸出される「国際派」であり、4車型も地域によって売り分けられる可能性があるわけです。その詳細は明かされませんでしたが、「国や地域によって『クラウン』の姿が異なる」なんて事態が起きるのかもしれません。

●メディア関係者に話を聞いてみると

新型クラウン発表会
クラウン・クロスオーバー

実車展示の会場で居合わせたメディア関係者に新型クラウンの印象を聞いてみました。

こもだきよしさん(モータージャーナリスト)
「クラウンとは思えないほどカッコいいよね。後輪駆動じゃなくてFFベースってとこがちょっと心配だけど、乗るのを楽しみにしています」

飯嶋穣さん(ベストカー編集長)
「クロスオーバー、非常に新しいチャレンジだと思います。応援したいなと思いました。楽しみです!」

新型クラウン発表会
クラウン・クロスオーバー

会田肇さん(モータージャーナリスト)
「コネクテッド系に着目すると、機能は盛りだくさんでハンズオフとか一通りそろっている。ただ特別目新しいものはなくて、トヨタがいままで熟成させてきて安心できるものを載せたのかなと思いました。そんな点もある意味クラウンらしいと感じましたね」

新型クラウン発表会
クラウン初となる横置きエンジン

山本シンヤさん(モータージャーナリスト)
「ボクにとってクラウンって『太陽に吠えろ』の劇用車なんですよ。身近ではないんだけど身近。正義の味方ですよね。クラウンって悪いことしてお金を稼いで乗るイメージじゃなくて、ビジネスマンが一生懸命頑張って最後にたどり着くクルマって気がします。
ただ、そんな人もヴェルファイヤに乗るようになって、いままでのイメージが通用しなくなってきた。クラウンもそのまま死に絶えるのはまずい。それで変わる必要があった。で、すごく変わったと思いますね。
発表会では『トヨタのフラッグシップ』って言ってたけど、ボクは『あなたのフラッグシップ』だと思います。セダンの好きな人にはセダンのフラッグシップ、SUVが好きな人にはSUVのフラッグシップ。それぞれが好きなジャンルでたどり着いたフラッグシップがクラウンなんじゃないかって気がしますね」

皆さん、思い思いの「クラウン像」を持っているようで、「やっぱりクラウンって愛されているなあ」と感じた取材でした。「クラウン祭り」はまだまだ続きそうな勢いです。生まれ変わったクラウンの姿を、ディーラーへのぞきに行ってはいかがでしょうか。

(角田 伸幸)

この記事の著者

角田伸幸

角田伸幸 近影
1963年、群馬県のプロレタリアートの家庭に生まれる(笑)。富士重工の新米工員だった父親がスバル360の開発に立ち会っためぐり合わせか、その息子も昭和期によくいた「走っているクルマの名前が全部言える子供」として育つ。上京して社会人になるもクルマ以上に情熱を注げる対象が見つけられず、自動車メディアを転々。「ベストカー」「XaCAR」で副編集長を務めたのち、ポリフォニー・デジタルにてPlayStation用ソフトウェア「グランツーリスモ」シリーズのテキストライティングに携わる。すでに老境に至るも新しモノ好きで、CASEやパワートレインの行方に興味津々。日本ディープラーニング協会ジェネラリスト検定取得。大好物は豚ホルモン(ガツとカシラ)。